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45.脱出の糸口


「ご主人様、随分と外は閑散としていますね」


「そうだね、魔王は倒したのに、不気味な雰囲気も感じるぞ」


 僕達は魔王ブォネエセテラのあの形態を倒して魔王の拠点を抜け出していた。これからセルファシアさん達への援軍へ向かう予定である。


「どうだエルカ何か感知できないか」


「うーん、この拠点に入ってから外部の情報が遮断されている気がするのだ。だから全く分からない」


「そうなのか……」


 念話を使えば一発で状況が分かるのであろうかと言いたいところであるが、それもこの拠点に入っているから遮断されているようである。つまり今は全く僕達は外の状況を把握できていないのだ。


「そういえばさっきから同じ場所をずっと行き来していないか」


「確かに!」


 僕達は気づけば魔王の拠点に閉じ込められていたことに気づくのであった。


「もしかしてこれも魔王ブォネエセテラの作戦だったのか!」


 この時初めて自分達がはめられたことに気づいたのである。





「しかしどうやって戻るかな。何回も同じ場所を行き来するなんてどう考えてもおかしくないか」


「似たような効果を持つ結界について聞いたことがあります。繰り返しの結界、ひとたび足を踏み入れれば、出口に出てもまた直ぐに戻ってしまうとかなんとか」


「そうなんだー……」


 でたー! レピティの博識。毎回なんでこんなことを知っているんだろうって思う。


「その繰り返しの結界の解除方法とか知らないか?」


「そうですねえ……術者と同じ魔力をコアに注ぐといいと聞いたことがありますよ」


 術者と同じ魔力ね……っ!


「プレセネリテがいれば何とかなるんじゃないか」


「それですね! しかしプレセネリテさんは今結晶化してしまっているのでは?」


「そうなんだよな。それにコアがどこにあるのかまだ分からない」


「それなら心配はなさそうだぞ」

 

 その時エルカが話しに得意そうに混ざってくる。


「もしかして感知できたのか!」


「ふっふっふっ、確かに外部の魔力感知は遮断されていたようだが、内部は当然のことに問題なかった、そして結界のコアはこの中にあるようだぞ」


「す、凄い! 流石エルカ! そしてレピティの博識も流石! 本当に二人がいて良かったよ!」


「そ、そんなに直球に言われてしまうと嬉しすぎますよ」


「お、おう、いつも通りことだろうが!」


 2人とも凄く嬉しそうな反応をしてくれるのだった。


「一先ずコアの場所へ行こう!」


 僕達はそれからエルカの感知能力を伝って、繰り返しの結果のコアの元へ行こうとしたのであった。





「ここが結界のコアか……」


 コアがあったのは魔王の拠点の地下であった。周囲に光が宿っていて中心部に結晶がある。


「ここに魔力を流し込むわけだが」


 僕は次の問題であるプレセネリテの結晶について見つめていく。


 プレセネリテをもう一度目覚めさせれば、魔王ブォネエセテラと同種の魔力をコアにつぎ込みここから脱出できるはずなのだ。


「うーん……」


「中々の難題ですねご主人様、プレセネリテさんの結晶化の現象の解決策は正直見当がつきません」


「うーん、一先ず感知を結晶に掛けてみたけど、これと言って普通の魔力結晶と同じに思えるな。私も解決策があまり思いつかない。すまないグラス」


 レピティの知恵とエルカの感知でも打開できそうにないこの局面、残るはやっぱりこれしかないな。


「よし! 2人とも下がってくれないか。ちょっと試したいことがあるんだ!」


「おっ何か妙案を思いついたのか? 流石グラスだ!」


「ですね、ご主人様なら絶対何かあると思ってました」


 ま、まあ確信はあまりないのであるが、僕は出力60%まで初めて解放したことによって、魔力の質が変わったと感じている。この変化はもしかしたら分析にも変化をもたらすかもしれない、そんな予感が頭をよぎったのであった。


「分析!」


 驚くことに僕の分析能力は恐るべき程に向上していた。本来数値化できるのは魔法陣のみであったが、今回は薄々とコアの構造を数値化して把握することができるようになっている。魔法陣の様に実体化させることは不可能であるが、うまくいけば把握くらいならできるかもしれない。


「……」


「何かわかりましたか?」


「ああ、全部わかったよ」


「本当かグラス!」


「流石ですご主人様! どうやってプレセネリテ様を目覚めさせるのですか」


「そうだな……それはな、プレセネリテの好みをちらつかせることだ!」


「は?」


「え?」


 唐突な僕の返答にエルカとレピティは驚くことになるのだった。





「それでは始めたいと思います!」


 エルカが掛け声を放つ。。


「プレセネリテ様の大好物! それは……闇の魔素です!」


「闇の魔素は僕が魔法陣で作ることができますよ! そおれ」


 僕達は結晶化したプレセネリテに囁くように、息を合わせて闇の魔素をちらつかせた。どうやら分析によると儀式を行うかのように闇の魔素をちらつかせることでプレセネリテが反応するというのだ。


「それそれそれそれ!」


 とはいいつつもこれには違和感しか思わないかもな……。


「ご主人様! これは中々恥ずかしいのではないですか」


「おいグラス! 本当にこんなんで反応するんだろうな」


「多分大丈夫だと思うんだけど……あっでもほら! 結晶が徐々に光始めてるよ!」


 僕達が魔素をちらつかせていくとそれに反応してプレセネリテの結晶が点滅していくのが分かった。


「これは、確かに反応してますね!」


「私の感知でもさらに強く認知できるぞ! 続けていこう!」


 そして結晶の点滅を続けていくと、あたりが紫色の光に包まれるのであった。


「ぷ、プレセネリテ? お前なのか」


「う、ゥゥゥ……お前達は……グラスたちか?」


 プレセネリテの結晶化を無事僕達は解除することができたのであった。


「面白かった、続きが読みたい!」


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