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44.抵抗


「師匠あれはやばくないですか?」


「奇妙な光景だな」


 前戦からも巨大な魔物のシルエットが見えていた。


「あんなデカいのをどうやって倒せばいいんだよ!」


「……っ!?」


「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!」


 その時巨大な魔物の霧に隠れたシルエットが動き出す。


「光?」


「バリバリバリ!」


「うわああああああ!」


「しまった魔道砲が壊された!」


 巨大な魔物は魔道砲目掛けて光線を放った。これにより連合軍の戦況を変えた魔道砲が破壊されてしまったのである。


「あちらの方向は確かセイラや王女様がいた方向だぞ」


「それはまずいですね」


「ぎゅわあああああああ!」


 更に魔物の勢いも同時期に増していく。


「これはそろそろまずいかもしれない。一旦撤退をするか」


「そうですね。セイラや王女様の状況も気になりますし、いったんそちらに向かいましょう」


「ああ分かった」




 魔道砲が設置されていた付近は荒れ果てていて、多数のけが人が倒れていた。そんな現場にセルファシア達が向かうことになる。


「これはひどい状況だな」


「ええ、至急医療班を呼びましょう」


「セイラは何処に行ったんだ!」


 現場に訪れたもののレネとセイラの居場所が見当たらない。再度みんなで見まわす。


「どうやら、見当たりませんね……っ!」


「あれエイマじゃない?」


 その時遠くからセイラの声が聞こえる。


「みなさーん! こちらですよ」


 セルファシア達はエイマ達が何とかしのいでいた避難所にいることに気づくのであった。


「けが人は結構多そうだな」


「そうですね。いきなり飛んできたあの攻撃を躱すのは至難の業でした。運良く生き延びた人はここの避難所にいるんですが」


「そうなのか……とはいえセイラが無事でよかったよ」


「ありがとうエイマ、そっちも無事でよかったよ」


「そういえば王女様はどうなったんだ」


「レネお嬢様ですか……無事でしたが軽いけがをしてしまったようなので安静な状態で待機させてますよ」


「本当ですか」


 それからエイマ達がレネのいるところに行くと、レネは不覚を取ったかのように悔しがっていた。


「迂闊でした。まさか魔弾砲目掛けてあの巨体が遠距離攻撃を仕掛けてくるだなんて。完全回避も出来ず怪我をしてしまうこのざまでは、私は全く成長出来ていないじゃありませんか」


 悔しがるレネにセルファシアが話しかける。


「レネ殿、精霊女王との協力の件はよくやってくれました。確かに魔弾砲の件は予想外でしたが、それまでは確かに戦況が覆されることになっていました。私はあなたのがんばりに感謝を致します」


「そんなこと……出来て当然のことですよ。問題は成果ですから……私は協力を取り付けることが出来ましたが、魔道砲は破壊され結局最終的には戦況を戻されてしまいました」


「……」


 かなり自分に厳しいレネにみんなは押し黙る。


「それに今連合軍はかなり劣勢なのでしょう、このままでは壊滅してしまいます。何か手が打たなくてはなりません」


「そうですね……何か作戦を立てましょう」


 連合軍の主要メンバーが集まるこの場で作戦会議が開かれようとした時、突如見張りの冒険者が焦ったようにこの場に入ってくる。


「大変です! 魔物がいよいよこちらの陣営にまで侵攻してきました」


「っ! 直ぐに外へ出ましょう!」


 




「ぎゅわああああああああ」


「ぐごごごごご!」


「ぐががあああああ」


「こ、これは……」


「想像以上に早かったみたいだな」


 面々が拠点の外にでると、連合軍の陣営はほとんど魔物達に進行されていた。もう外にいる冒険者や兵たちは壊滅状態と言っていい状況であった。


「ぎゅわあああああああ」


「……っ!」


四方八方から現れる魔物達、いよいよ連合軍は主要メンバーが倒れれば終わりな状況に立たされたのである。


「みなさん……覚悟は決めましたか。山場到来ですよ」


「当たり前だろ」


「流石に体力を気にした方がよさそうですね」


「わ、私は後衛から支援するよ!」


「ふん……まさか私がここまで力を使うことになるなんてね」


「ぎゅわあああああ!」


「来ました! 迎え撃ちますよ!」


 そして連合軍の主要メンバーであるセルファシア、ゼーネシア、エイマ、レネ、セイラたちと残存兵による、魔王軍の魔物への最後の抵抗が始まったのである。


「面白かった、続きが読みたい!」


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