33.???
一説によると魔王は変位をし、転生を繰り返すとされている。宿主を探し、徐々にそのものの力を吸い取りながら転生へと至る、しかしその器は凄まじい力を持ったその超越者たり得るものでなくてはならないそうだ。
勇者セルファシアに初めて誕生した魔王は相打つことになった。そこから魔王の転生の能力が発動する。
1回目は聖騎士ハイフレードが宿主とされていたが、彼は宿主としてはあまりに強すぎて魔王の思惑からは外れることとなった。
2回目の転生では仮面騎士シセレッサが宿主とされていた。
仮面騎士シセレッサ、彼女の実力は謎に包まれている。フォラリフェやグラスとは違って国単位で強大な戦果を挙げるわけでもなく、実績なしで勇者パーティーに入ることになった異例の存在である。
勇者セルファシアは勇者パーティーを作る時に選定基準としていたのが、実績と目に見える実力である。シセレッサが見せたのは圧倒的実力ではなく、圧倒的実績の方だった。
彼女は複数の仮面を持っていて、一つ一つに違った能力が備わっている。復活の仮面、魔眼の仮面、洗脳の仮面、分身の仮面、幻覚の仮面、俊信の仮面。
いずれも厄介な能力ばかりで、シセレッサと対峙した相手に不可解な現象を度々見せていたと言えるだろう。
そして洗脳と幻覚の仮面を使って自身の経歴を詐称、勇者パーティーへもぐりこんだという事だ。
そもそもシセレッサは見たところ魔王軍の奴らに懐柔されていたようだな。それだけに精神は歪み、他人の不幸を嘲笑うようになったらしい。その上魔王を崇拝するしそうまで植え付けられたものと来た、これは中々酷い素性で面白いものだ。
魔王軍消滅と共に懐柔されていた人々は解放されることになったが、中にはシセレッサを始めとして魔王を崇拝する連中も現れたそうだからな。
魔王を信仰する存在、そのうち現状で最も強い意思を持っていたのがシセレッサだったのだろう。
魔王はそんな彼女に目を付けた……仮面に自信の欠片を付与して仮面騎士としてシセレッサを作り出した。
その他の信仰者にも復活への布石はいくつか配置していたようだが、シセレッサが一番大きな存在だったと言えるな。
晴れて魔王は新たな姿に転生をしたという事だ。魔王は転生を繰り返す程、その強さを増し名前を変えるわけであるが、今の魔王に勝てる存在なんて果たしているのやら……。
「しかしお前が契約をしてやった割には、勇者セルファシアの奴も中々爪が甘いな。仮面騎士如きの策略に踊らされて、魔王復活まで許してしまうとは……こんな事をしていてはいずれ彼の未来もそう明るくわなさそうだ」
部屋で一人そうつぶやくその人物は扉の奥の存在に話しかける。
「戻ったか?」
「はい、このシテリィセリア只今戻りました」
「どうだったか魔王と勇者、双方の力持つあの男の力は」
「そうですね……まだ発展途上のようですが、凄まじかったです。力を使いこなせばあの世界では太刀打ちできる相手はいないのではないでしょうか」
「ハハハハハハハハ! こらこら……魔王様が復活して風格も増したところで、そんな水を差すことを言う出ないわ」
「すいません……」
「さて、勝敗を楽しんだら、一行を我が根城に案内したいとこであるな。あの男は世界に生まれた特異点と言えるであろう。丁重にもてなさなければなるまいよ」
「かしこまりました。シェヘレラフォード様」
ふふふ、面白くなってきた。究極の演算応力と、出力能力、そしてその双方が集まった力、一体だれが勝つか見者であるな。
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