32.復活
「なんだよ、あの爆発は」
「行きましょうご主人様!」
「ああ」
「魔、魔王様……あと少しなんですよ。ここまで私は誘導を全てうまく……」
「あ、あれはシセレッサ!」
僕達が爆発の起きた方向へ向かうと全身黒焦げになったシセレッサが落ちたコアに手を向けて倒れていた。
「く、クソがあのゴミフォラリフェの奴、私の効果を無効化するほどの範囲攻撃が出来るなんて……」
「ふん、見たところあの小僧にしてやられたようだな」
「お、お前はセルファシア!」
「私が選抜勇者パーティーに選んだ奴だ。最低限の働きは絶対こなしてくれる、他からしたら優秀な人材だからな。同じパーティーメンバーが衝突すれば、結果はこうなるのは分かり切っていたさ……こいつは返してもらうよ」
「そ、それをとるな!」
「どうした、あの時の高笑いは……随分と余裕がなくなったようだな。それもそうかお前の復活の仮面の能力は一定範囲までしか効果を発揮しないし……小僧の範囲攻撃で仮面は全壊したようだしな」
「お、お前、私の能力を知っていて……」
「当たり前であろうが、私は勇者だぞ、その程度の事は把握している。私を欺けるとでも思ったか」
僕は会話をしている2人の元へ行く。
「よう」
「お、お前はあのメガネ……ふふふ、元気そうね」
「ああお陰様でな、そっちは随分と様変わりしたようで。まあ自分のしたことが帰ってきたって奴だな」
「お、お前……私を哀れんだ目でみるな!」
「別にそんな目で見てないけど……ただ人を陥れる時はあんなに楽しそうだったのに、自分が陥れられると、凄い不愉快そうな態度をするんだなって、少しは人の痛みが分かったか?」
「な、何を……」
「さて、こいつはほっといて戻りますか、セルファシアさん……どうしました?」
僕が帰ろうかと提案するもセルファシアさんは無視して、シセレッサの周囲に魔法陣を展開した。
「な、何を」
「お前は勇者である私のパーティーに潜入して、あろうことか私を出し抜き陥れようとした。その罪は万死に値する」
「や、やめて……」
「多重魔法暴発」
「ぎゅああああああああああああああ」
僕はその光景を見て驚きで目を見開いた。
「ちょっ……やりすぎじゃないですか?」
「ふん、勇者を陥れた罰だ」
セルファシアさんの魔法の暴発で広がる爆炎、そんな中シセレッサの仮面が吹き飛び落ちると、砕け散る。
「ふん、最後の復活の仮面が割れたか。中々面白い魔法が見れたな……っ!」
「魔王様……今から私が供物となります」
その時、仮面の中からシセレッサと何らかの魔力が放出されて、セルファシアさんが持っていたコアの中に入り込んだ。
「こ、この魔力は……」
コアはセルファシアさんの手から離れて、空中に凄まじい魔力を帯びて解き放たれる。
各地のひずみからオーラを集めだした。
「ひずみから魔力が、これはどういう事なんですか」
「まずいことになったな、わたしが魔王は精霊体、痕跡に気づいて以前から通路を遮断していたのだが……ひずみがなくなったから再び通り道が出来てしまったようだ。このタイミングが来るまでに早急にひずみを作る方法を考えていたのだが、正かこんなに早く魔王復活の手順が始まるとは……」
「そんな、じゃあこれは魔王が復活してしまうという事なんですか」
「そのようだな……この計算しつくされたタイミング、魔王軍の拠点にいた生き残りといい、仮面騎士シセレッサの奴は全て最初から入念にこのタイミングを仕組んでいたのかもしれん。ただ自分がまさかやられてしまうとは思わなかったのだろうが」
「そんなことが……」
「来るぞ!」
「ゴゴゴゴゴゴ」
空中に浮かぶコアを中心として、空間が歪みだす。
遅れてきたレピティとゼーネシアさんとエルカがこの異変に驚きを示すのだった。
「ご主人様! これはどういう状況ですか」
「これはまずいことになったようですね……あの魔力はどうやら魔王が復活してしまうようです」
「う、嘘だろ……」
ゼーネシアさんの一言により、レピティとエルカは戦慄するのであった。
「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……シュッ……」
空間のねじれが終わると中から少年が現れた。
「私の名前は魔王ブオネエセテラ」
そして自らの名をそう名乗るのだった。
「プォネエセテラ? 魔王って名前があるんですかセルファシアさん」
「いや、私も分からん。以前戦った魔王には名前などなかったはずだが……」
僕もハイフレードに憑依した魔王と戦ったことはあるが、名前を名乗っている様子はなかった、というかあの時の魔王は小物感が凄かったんだが、今のこの魔王からはそんなものが感じられない気がする。
「魔王の好きにさせるわけないだろ!」
僕は動揺しているみんなの先陣を切って魔王を追求する。
「貴様は……知っているぞ、グラス・グライシス……私の前回の転生を止めた男……ん? そこにいるのは勇者セルファシアか! まさかお前もこの時代に生きていたとは」
「どうやら姿形が違えど、しっかりと記憶は魔王の中に刻まれているようだな」
「どうしますかセルファシアさん迎え撃ちますか」
「私はまだ万全ではないが、準備は出来ているぞ」
「師匠! グラスさん! 私達も準備出来ています」
「よしみんなで、ここで魔王を仕留めるぞ」
臨戦態勢に入る僕達を見て魔王プォネエセテラは少し考えた表情をする。
「ふむ、転生前の私を倒した勇者に、初期転生の私を葬った冒険者、この2人を片付けるのにはちょっとこの舞台では味気ないな」
「よそ見とは随分な余裕な事ですね!」
先陣を切ったのはゼーネシアさんだった。先ずは魔王の背後に回り一達を入れようとする。
「スルっ」
「なっすり抜けた?」
「まあ、焦るなよ。私はここでお前達と戦うつもりはない」
「何を?」
「来るべき舞台を日時を整えて、用意したいと思う。そうだな……日時は一ヶ月後、私は魔王軍の軍勢を再び引き連れてお前達の拠点を襲撃する。それまでに精々戦力をととのえておくんだな」
「何を言って……っ!」
「そう言い残すと魔王ブォネエセテラはその場から消え去ったのであった」
「これは……宣戦布告ですかね」
迫りくる新たな魔王によって、僕達は新たなる局面に僕達は向かうことになるのだった。
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