夢と魔法と心と悪②
『魔法』とは、何もないところから火や水を出すなど現実にはないフィクションが強い。
そんな魔法について目の前の少女は、まっすぐな目でこちらに使えるのか聞いてくる。
「あなたも、魔法使い?」
白牛朱音と名乗る少女はふざけているのか?あまりに現実味のない質問であるが本気である。
「ち、違う..と、思います…。」
心当たりのない猫田たまのはそう答える。
「え?違うの?そっか… ね!今から暇?家きて!いろいろ説明するから!」
朱音はそう言ってたまのの目の前に押し寄せる。
たまのが 「ひ、暇だけど…」 と答えると、朱音は「じゃ!行こう!」と言ってたまのの手を引いて連れて行った。
朱音の家はすぐに到着した。家に入るとリビングでお茶をしながら本題に入った。
「じゃ、改めて自己紹介!私は 白牛朱音。17歳、高2で、魔法使いだよ。よろしく!あなたは?」
元気にはきはきしていた。
「わ、私は 猫田たまの です…。 同級生で…。あ、あと、魔法使いじゃないです。」
弱気にぼそぼそしていた。
「やっぱり魔法使いじゃないんだね。」
若干さみしそうに言った。続けざまに先程の出来事の経緯を話しはじめた。
「魔法使いはね、悪夢を祓うことができるの。たまのちゃんさ、最近、同じ悪夢見てるでしょ?」
たまのは少し考えた、そして毎晩同じ夢を見ていたことを思い出した。
「見てます!同じ夢…。」
たまのは、驚いて言う。
「そう!その悪夢を綺麗にするのが魔法使いなのだ!! でね、基本は寝ている人、夢を見ているところに魔法をかけるんだけど…。たまのちゃんの悪夢は祓えなかったんだ…。」
朱音はちょっと申し訳なさそうに言うと、さらに付け加える。
「ごめんね…。それで、さらにね、直接的に魔法をかけようとしたんだ。それがさっきの。 あと悪夢はどうにか祓ってみせるから、安心して!」
自信満々で安心感があった。
この話はやはり現実味のない話だが、朱音の口調や雰囲気が現実味を帯びさせる。一切目をそらさず、確かな口調で、さぞ当たり前のように『魔法』について語っているのだ。
ここで、朱音が紅茶を口にした。
「あ、あの、なんで私を魔法使いだと、思ったの?」
たまのは最もな質問をした。彼女が魔法使いで、私の悪夢を祓おうとしてくれたことはなんとなく飲み込めたが、まだまだなぞは多いのだ。
「あ!えっとね、魔法使いの『魔法』に気づけるのは魔法使いしかいないの。だから、そうかな~と思ったんだけど……なんで、たまのちゃんは気づいたんだろ?魔法使いじゃないのに。」
朱音もわかっていないようだった。すると何か思いついたようだ。
「ね、たまのちゃん。ちょっと魔法使えるか試してみない?」