夢と魔法と心と悪①
夢を見た。夢を見て初めて思い出す、今夜で五日目の同じ夢だ。
暗闇で自分自身が消えていく夢。自分がだれかなのか、自分の大切な人、ここがどこなのか、それらすべてが消えていく夢。誰かが呼んでいる気がするがそれも曖昧。そうして、うやむやに夢が終わる。
だが今夜は、暗闇が切り裂かれた。光が広がって…
彼女の名前は、猫田たまの 今年から高校二年生である。
しかし学校生活は楽しいものではなかった。たまのは、今までに友人関係を持てたことがないのだ。いじめられていたり無視されているわけではない。
彼女の顔や行動は他人の記憶に残りにくいのである。理由は分からない。
そのため彼女は他人と関わることに億劫になっていた。
今日も誰とも会話できず憂鬱な一日を過ごした。そして一人家に帰り一日が終わる。はずであった。
たまのは帰り道、後ろから頭を触られた気がした。
恐る恐る振り向くと、同い年くらいの少女がいた。その少女はまっすぐたまのを見ていた。
「え…っと、こ、こんにちは。もしかして今さ、頭触られた?」
少女は、若干戸惑いながらそう聞いてきた。
たまのは小声で う、うん… と答える。
「そっか、ごめんね!私がやったの!私は 白牛朱音 って言うの。」
少女の名前は 白牛朱音 彼女は小柄でかわいい印象を持つ。髪は真っ白であった。現実的でない色だが全く違和感を感じさせない。不思議な少女である。
後に、たまのと朱音は親友となる、そしてその友情は生涯途切れることはなかった。
「あなたも、魔法使い?」
朱音は突拍子もなく訪ねてきた。
「な、何のこと?」
たまのは、戸惑った。もちろん自分は魔法使いではない。
ほぼ初投稿です。お手柔らかに