あの有名なアニメ映画を今まで見てこなかった理由
知り合いにとある有名なアニメ映画を見たことがないと告げると、とても驚かれた。理由を聞かれたわけでもないのに、「なんとなく。特に理由はないけど」と、言い訳のように言った。すると、「あの映画、面白いから見てみなよ。」と言われた。
その映画を知ったのは、映画の紹介サイトだったと思う。何年も前の事なので、そこら辺はおぼろげだが、確かに覚えてるのは「この映画、絶対見るしかない」 と思ったことだった。
その当時、TSや入れ替わりにはまっていた。元男が女性の快楽に抗えず最終的にメス堕ちする、その過程に興奮を覚えた。
その日も、何か良い作品はないかなと、ネットを見ていた。その時とある映画の紹介を見つけた。その映画は、まだ公開すらされていない、紹介文だけのものだった。内容は、少年と少女が入れ替わる話だった。これは良いものを見つけたと思い、監督を調べると作画がきれいなことで有名らしかった。そして、実際過去の作品の予告映像を見ると、きれいで「これは絶対見るしかない」と思った。
公開予定日までかなり期間があったが、メス堕ちはあるのか、あるとしたら、どんな風にメス堕ちするのかなと、妄想しながら待っていた。しかし、その後忙しかったこともあり、すっかりその映画の事は忘れてしまっていた。
少し経ち、とある映画が大ヒットしているという話を、友人やSNS、果てはテレビでも聞いた。はじめは、アニメ映画でそんなに大ヒットするなんて珍しいと思う程度だった。しかし、その映画の話を聞き、気がついた。その大ヒットしている映画って、あの絶対見ようと思っていた映画の事なのではないかと。
そんなはずはない。なぜなら、あの見ようと思っていた映画は、少年が快楽に抗えず、メス堕ちする話のはずだ。そんな映画が大衆受けするはずない。
しかし、冷静になって思い出してみる。あらすじには「入れ替わる」とあっただけで、それ以外については書かれていなかった。つまり、メス堕ち云々は、俺の妄想ではないか。
確かに、恋愛ものは好きだし、作画がきれいなものも好きだ。でも、それでも、俺が見たかったのは、男がメス堕ちするまでの過程だ。
勝手に期待して、勝手に裏切られたような気持ちになった俺はこんな映画絶対見るものかと心に固く誓った。
それからというもの、友人に誘われても適当な言い訳で断り。テレビで放送されると聞くや、絶対見るものか思い、その時間はテレビにすら近づかないようにした。そんな風に半ば意地になっていた。
それから何年か経っても、あの頃の誓いを守っていた俺に美人な先輩は言った。
「あの映画、面白いから見てみなよ。」
見てしまった。
面白かったです。
男ってちょろいね。