表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
序盤で死ぬなんて耐えられない  作者: ききたれ
生まれてからのいろいろ編
15/62

15

 お茶会も、終盤に近づいていた。

 それとともに、私のお腹も満腹に近かった。美味しかったのだもの、仕方がないだろう。


 お腹が満たされ、幸福感に浸っている私とは違い、数名のご令嬢方はどこか疲れているように見受けられた。初めの自分をよく見せようとしていた姿とは、えらい違いである。


「皆様、疲れているようですね」


 スサナ様に聞いたが、彼女もお茶菓子に夢中になっていたらしく、知らないようだった。

 これは本人達に聞いてみるしかないか。


「アンヌ様。なんだか疲れていますね。どうかされたのですか? 」


 スサナ様は気になるのか、耳を傾けている。

 アンヌ様は力なく首を振るだけだった。けれど、リュシール様を一瞥した。リュシール様関係で何かあったのだろう。


「ちょっとこっちへ」


 アンヌ様は私とスサナ様を、バラの生垣まで誘導した。ここならリュシール様どころか、誰にも話し声など聞こえないだろう。


「リュシール様ってば、自分の気持ちばかり押し付けて。殿下が鬱陶しがっていることにも気づいていないのよ。いやんなっちゃうわ」


 近くで繰り広げられるバカバカしいやり取り、というよりもリュシール様による茶番劇に辟易していたらしい。


「アンヌ様もおつらいでしょう。ご自分が慕うお方が絡まれているなんて」


 スサナ様が痛ましそうに言った。たしか、アンヌ様は先程殿下に似合うよう……云々と言っていた気がする。

 けれどアンヌ様あっけらかんとしていた。


「別に、私は殿下の婚約者になりたい訳では無いのよ。国や家のためを思っているのは誰でも同じでしょう」

「ええ」


 アンヌ様は国や家のためを思って来ていたのか。私もそうであったし、スサナ様もどちらかといえばそういうことになるのだろう。

 鉄鉱業のご令嬢は分からないが、リュシール様は違う。


 目的は同じでも、理由が一人だけ違うから目立って見えるのだろう。


「言動はどうであれ、あんなに一途に思われているなんて。殿下が羨ましくも思うわね」


 スサナ様がのほほんとした口調で言った。

 確かに。周りが見えていない……いや、よく言えば一途な姿はそう滅多に見られるものではなかろう。




 私たちはお茶会が終わるまで、色々なことを話した。


 

 お茶会での収穫は、友人と呼べるであろう人達を得たことだろう。


**


 お茶会は終わったはずなのに、私達はまだ帰れないでいた。


 理由は簡単。

 エド兄様と馬車へ向かう途中、殿下に捕ま……呼び止められたからだ。


「エドウィン。今から帰るとこかい? 」

「ああ、そうだが」


 殿下の呼び掛けに、エド兄様は砕けた口調で返した。案外、仲が良いのだろうか。不機嫌さを微塵も隠そうとしない様子からも、そう思う。


「お茶でも飲んでいくかい? 君は大人たちと一緒にいて、退屈していただろう」


 エド兄様はお茶会の間、別の部屋で他の親族達と一緒にいたらしい。情報交換の場、と考えたらいいのかもしれないがまだ子供であると考えたら、つまらないものであっただろう。


「いや、今日はこれで帰らせてもらう。マーティと出かける約束をしているのでね」


 そうであった!

 お茶会が無事に終われば、王都にあった菓子店へ連れて行ってくれると、約束していたのだ。


「そうでしたね、エド兄様。無事に終わりましたものね」

「ああ、そうだね。マーティ」


 喜びに目を輝かせエド兄様を見上げると、エド兄様も楽しみにしていたのか口元が緩んでいた。

 けれどそんな様子が面白くないのが、殿下である。


「無事、ねぇ。あんなことがあって、無事と言えるのかな」


 殿下が不穏なことを口にする。

 エド兄様はその事に直ぐに気づき、先程まで緩みきっていた口元を真一文字に引き結び、真顔になっていた。怖い顔である。



 が、私はなんの心当たりも無いもので。内心首を傾げるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ