最終話
エレンはゼロとの戦いに敗れ、正気を取り戻していた。既にゼロはレディリオスとの決戦のためこの場にはいない。
「私は間違っていたのですか…」
「今更気づいても遅かろう」
「…ですね」
どこからともなくやってきたアサギにそう返され、苦笑する。
最後に勇者としての役目を果たすべきだろう。
「アサギさん。お願いが」
圧倒するゼロ。レディリオスには防ぐ事ができずいくつもの傷を負う。だが勇者でなければ止めを刺されないのも事実。世界転覆計画完成まで耐えればいい、それがレディリオスの考えだった。
しかし突如として体が倒れた。
「何…?」
「勇者が命を賭してそなたに死を与えたのじゃ」
「ぐぅ…、忌まわしき勇者!やはり取り込むべきではなかった!」
「かもな。だがここで終わりだ」
一閃。化物の体へと戻りつつあったレディリオスの首を斬り捨てた。綺麗に斬られたそこからは血が噴き出る事もない。それほどの達人技。
「会いにはいかぬのか?」
「いや、行くべきじゃないだろう」
「こちらとしてもそれを支持するのぅ。してこれからどうするつもりじゃ?」
「さぁな。とりあえずは旅を続ける。ついて来てくれるか?」
「もちろん」
「ありがとう」
世界の平和は保たれた。しかし誰がどのようにして守ったのか。
後年、ゼノピアと呼ばれる元騎士の女史が戦いの歴史について記すまで誰一人として知る事はなかった。秘匿されていた様々な証拠との一致点があったため、事実として、現実として受け入れられた書籍は国お抱えとして販売された。
書籍が出版されゼロの名は一躍有名になったが、どこにいるのか、何をしているのかといった情報はわからずじまいだった。唯一情報源となりそうなゼノピアは語る事を良しとせず、二巻に渡って綴られた書籍が答え、返事はそれだけだった。
数百年経った今でもその書籍は売られている。
出会いの女勇者との悲哀、自立した兵器の存在、勇者と魔王が手を組む等、まる御伽話のようにも感じられるこのお話はここで終わりを告げる。
またどこかで戦いが始まらない限りは。
ここまで読んで下さった方々には感謝しております。
最後をどうするのか考えているのにその道中が書けないという状況が続いておりました。実際に書く時間が…、というのもありましたが。
中身が思いつかないのにいつまでも更新しないというのはどうかと思い、苦渋の決断ではありますが今回で強制完結とする事にしました。
これからは他の作品を書いていく事になりますが、よろしければ見て頂ければと思います。
ありがとうございました。




