第五十四話
「私の屋敷で宿を取りませんか?」
ラグスに着くとゼノピアはそう提案した。騎士や兵士のいる兵舎で休むと様々な憶測がゼロたちにも向けられるからだろう。既にゼロたちが来るという情報は伝わっているのは確かなのだ。
ゼノピアが一応は所持している屋敷はそれなりの大きさだった。しかし内部に入ると、
「これは…」
「荒らされているな。これだけ大掛かりとなると王家がやったのかもしれない」
ゼロがそう判断できるほど内部は荒れていた。調査と言う名目で大人数が入ったようで、本棚から階段下の部屋に至るまであらゆるところに人の手が付けられている。
「話には聞いていましたがここまで荒らされているとは思いませんでした。これでは休めそうにもありません。近くの宿を取りましょう」
ゼノピアの悔しそうな気持ちを察しながらもどうすることもできないゼロは『そうだな』、と返事をするにとどめた。ふと見るとアサギがいない。どこからともなくアサギが戻ってきた。
「二階の一番奥の部屋、それと地下室への扉だけは開けられた痕跡が無いようじゃ」
「地下室があるのは私も知りません。ですが移動の疲れも考慮して二階だけ見てみましょう。一番奥は寝室だったと記憶していますから」
二階も荒されてはいるが一番奥の部屋は扉もしっかりと閉まっており、開けられた様子はない。ただ扉には無数の傷跡が残されておりどうにかして開けようとしたのだろう。
ゼノピアが開くとは思わないがドアノブに手をかける。すると今までも開いていたかのように問題なく扉は開いた。
「問題なく開いた様じゃが」
「家の者だけが開けられる仕組みだったのかもしれないな。ここが見張られていないとも限らない。注意はしておくべきだろう」
「外から攻撃されていましたが壊れた様子はなかったはず。一応は大丈夫でしょう」
部屋の中は綺麗に整頓されており、今の今まで誰かがいたかのようだ。ベッドも整備されており休むことができるのを確認した三人は、屋敷の外で遅めの夕食を取った。
ちなみにこの世界では大衆向けの風呂がある。そこで疲れを癒し、一日を終えた。
翌日朝食を済ませるとゼノピアは何か指令がないかを確認に兵舎へと向かった。代わりにゼロとアサギは問題の地下室へと向かう。
「特に罠の仕掛けもないの。もしあればここに血やらがあるじゃろう」
「そうだな。とはいえ中で死者が出ているとも限らない上に外からではこれ以上わかることもない」
困る二人を他所にゼノピアは帰ってきた。指示等はなにもなかったという。
「二階の事もありますし私なら開けられるかと。それにここに来るように頼んだのは私なので」
「気にするほどでもないさ。何か罠が無いとも限らない」
「はい。気を付けます」
ドアノブに手をかけ、回す。やはりそれまで閉まっていなかったかのように扉は開いた。その時、
「伏せろ!」
いち早く気付いたゼロが叫ぶ。扉を開け放つと奥から無数の矢が飛んできたのだ!
告知するか迷いましたが、新しく小説を書き始めました。
「開放都市の起源」という題名です。
よろしければ見て頂ければと思います。




