第五十一話
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勇者の任命。それは王宮における一大行事と言ってもいい。そのため任命式の後は貴族らを含めた立食形式のパーティーが行われる。交流の場ではあるが、駆け引きが行われる場でもある。そのような事を知らないエレン。だがリリアがカバーする。
「無事に勇者となりましたね。おめでとう」
「ありがとう。でもまだ始まったばかりだから。これからよろしくね」
「もちろんです」
少しだけ近寄りがたい雰囲気をエレンとリリアは出している。リリアの事は宰相の派閥以外は知らないため、勇者とその仲間が仲良く話していると周りは思っている。そのため『エレンに話しかけたいが機嫌を損ねたくない』、と皆が思ってしまっている。それでも行ける者はいる。
「初めまして勇者様。私はシャルディナ。この国の第二王女ですわ」
「は、初めまして王女様」
「堅いですわ。レーベルクに仕えるのですからそのように緊張せずともよろしくってよ?」
「申し訳ありません王女様。エレン様も慣れない場ですので」
と、リリアもフォローする。すると、
「そうだぞシャルディナ。いきなり王族が挨拶していては緊張もする」
「レディリオス兄様。そうおっしゃられても、せっかくの交流の場ですのよ?話さなくては意味がありませんわ」
レディリオス、レーベルクの第一王子。現在次代の王にもっとも近いと言われている。最初に生まれたから当然ではあるが、貴族を上手く懐柔している事も挙げられる。彼が優秀な事もあり、また男女が憧れてしまうルックスも武器である。端正なマスクと一度声を交わせばもう一度となってしまう程に耳に心地よい声音。それだけではない。引き締まった体もまた魅力である。見た目だけでなく戦争で彼は魔法も剣も扱い大活躍した。苛烈な攻撃に、犠牲をいとわない戦略家だというのは伏せられているが。
だが本人に実力があるのは間違いがない。
そのため彼に惹かれている貴族の娘も多く、第一王子であるレディリオスについて甘い汁を吸おうと考える者が多いのだ。
第三王子も実力があると言われているが病気がちであり、余命幾何もないと診断されている。それがつい先日発覚、第三王子派は流れている。
第二王女派は後手後手に回っている。王女自体が乗り気ではないのが原因でもある。
このように次代の王を巡る争いは勢力図が変わりつつある。勝手に貴族たちが思い思いに動いたからだと言えるこの勢力争い。
あれが王になるのが嫌だからと、敵対者になりそうな者を支持する。しかし自らが支持した者が上手くいかない。そうなるとまたその誰かは何かを画策する。乱れ暴走していく事を謀った者の望んだように。
もはや王家の中に燻る陰謀は止まりようがないところまで来ている。
含みを持たせすぎているのかなと思い始めてきましたが如何でしたでしょうか。
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次回もよろしくお願い致します。




