第五十話
五十話となりました。
読んで下さった方、ありがとうございます。
勇者と行動を共にするのではなく、違う場所に行けと言う命令。少なからず違和感を覚える。
「違和感を覚えられるかもしれませんが勇者様たってのお願いだそうです。心強い仲間が後詰めにいてくれると助かると。ですが私への当て付けの意味が強いと思います」
「当て付け?」
「数年前、私の父がラグスに務めていました。しかし謀反を働き、その罪を問われ処刑された場所でもあるのです。家こそ残っていますが処刑後に一度もそこに行く事は許されていません。ところが今回そこを見てもよいと言われました。勇者が来たことで、いよいよ追い出そうとしているのではないかと思います。いくら建国以来従っているとはいえ、謀反人の家系を置いてはおけないでしょう」
「他に家族は?」
「いません。当時私が王都で働いていたので後から伝えられました。戦功をあげていたので見逃されたという事もあるのかもしれません」
朝から重要な情報だけでなく、ゼノピアの重い過去を知らされて雰囲気が悪い。その悪い空気は今後に関する知らせが来たことで追い払われた。
「皆聞け。三日後にヴォルテリアへと出陣する事となった。魔物を討伐するためだが勇者殿も同行してくださる。勇者殿の加護がある。皆も経験だけではなく実力をあげるように!」
「「「「おぉ!」」」」
勇者の話は当然騎士にとっても幼少より聞かされており、憧れである。いくつもの伝記があり人気は高いのだ。最近では勇者が現れた事もないためおとぎ話染みてしまっているが、今回は違う。本物の勇者と戦えるのだ。騎士たちには少なくない高揚感を与える。だがゼロたちには関係のない話だ。
「それとゼロ殿にはラグスに向かってくれとの知らせだ。そこの奴も連れて行って構いません。案内くらいはできるでしょうからな」
ラグスには常駐の騎士や傭兵、兵士がいるため他に帯同者はいない。ゼロとアサギ、ゼノピアだけだ。道中に何があるかはわからないのにこの扱い。よほど勇者との関わりを絶とうとしているのか、はたまたゼロの実力がわからずに持て余しているのか。ゼノピア個人の事で自身を巻き込む必要性を感じていないゼロはそう考えている。
王都レーベルクからヴォルテリアまでは一日と少し、そこからオルダイト山までは三時間もいらない。しかしラグスは王都から三日ほどを要する。そのため馬に乗る三人。正確にはアサギが乗れないためゼロと一緒だ。
「城塞都市ラグスが陥落した場合に備えて街道は整備されていません。悪路という程でもありませんが村もありません」
「早めに着くように努力するしかないな」
ゼノピアから聞かされたゼロは無難に返すしかなかった。『マテヴが予想したようにならなければいいが』、そう考えずにはいられない。何事も問題は多くない方がいい。
今後の展開を心待ちにして下さると嬉しいです。
次回以降もよろしくお願い致します。




