第四十九話
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「それで私はどうすればよいのですか?」
アサギは部屋にゼノピアを連れて戻ってきた。そして落ち着きを取り戻した彼女はさっそく聞き始めた。
「タダで教えろと言うのかの?」
「それは…」
アサギからそう言われ悩むゼノピア。彼女の今後が変わるかもしれない情報だが、お人よしに教えてもよいものでもない。世の中上手い話しばかりではないのだ。
「しばし時間を頂けませんか?」
「よかろう。ゆっくりと悩むがよい」
こうしてその日を終えた。その後ゼノピアはゼロたちと共に過ごす様になり、他の騎士からの嫌がらせは徐々に影をひそめていった。何事もなさそうに時は過ぎていたが、代わりに彼らの知らないところで勇者が正式に任命されていた。王国を巻き込む事件が始まるキッカケでもあった。
「おっ、いたいた。探してたんだぜ?」
三人で食堂にて朝食を取っていると、初日に案内をしてくれた男がやってきた。
「聞いてないと思うから伝えておくけどよ、昨日勇者が任命されたってよ」
「本当なのか?」
「今朝からその話しばっかだぜ。オレたち下級騎士含めなにか大きな行動するらしいんだが伝わってなくてよ」
「ではゼロ様。代わりに私が」
現れたのはゼノピア。『お、お、オレは用事があるから』、と男は逃げていった。おそらく武の家系にいるゼノピアが男よりも上位の役職にあるため何か言われる前に逃げ出したのだろう。
「件の話ですが、勇者は軍勢を率いてヴォルテリアと呼ばれる都市の近くにあるオルダイト山に魔物討伐に向かうようです」
「討伐?」
「はい。数年前からその山にAやBランク相当の魔物が多数出現したらしく、生半可な商隊では山越えが難しくなりました。そのおかげで武器加工に使われる一部の鉱石や珍しい食物等が高騰し始めています。AやBランクの冒険者に毎回依頼するというのもお金がかかりますし、かといってランクを下げますと…」
「品物だけでなく冒険者を失って外聞が悪くなる…か」
「その通りです。勇者がそれを助けるために現れたとは上層部も考えてはいないようですが、何のために勇者が呼ばれたのかがわからない現状では、勇者自身の実力をあげてもらう事と騎士にも戦場を経験してもらう事が狙いのようです」
「ちょっといいかの。最後の見解は誰の考えじゃ?今までのお主の状況ならそちに考えを伝える訳があるまい」
「恥ずかしながら私の見解です」
事前の情報から立てられた見解。調べればわかる事なのかもしれないが説得力のあるものだ。騎士や貴族に問題視されているのは瞳の問題以外にも彼女の優秀さもあるのかもしれない。
「それとゼロ様の処遇についても命じられました」
「俺の?」
「後詰めの部隊と同行して、ヴォルテリアより離れた城塞都市ラグスに向かってほしいと」
だらだらと展開が続いてしまい申し訳ありません。
次回もよろしくお願い致します。




