第四十七話
閲覧ありがとうございます。
練習場に近づくと、おそらく剣と剣または槍等がぶつかる音。それに掛け声や魔法のような音も聞こえる。
建物の角を曲がるとこの国を守る騎士や兵士たちが訓練に励んでいた。剣や槍、他の武器に励む者、魔法に励む者等がいる。映画等でしか見たことのないような光景にゼロは思わず『凄いな』、と声を出した。訓練のレベルは抜きにしても励む様子というのはかっこよく見えるものだからかもしれない。
「外部だからそんな風に見る事ができるかもしれねぇけどよ。実際毎日目的もなくやるってのはキツいもんだぜ?上の役職の人たちは別だけどよ」
知っている訳ではないが戦国時代の武士みたいなものなのだろうかとゼロは思う。三人でしばらく眺めていると一カ所だけ雰囲気が違う。上級騎士らしき者が指示しながら訓練に励んでいるのは他とあまり変わらないが、ずっと同じ者が相手をし続けている。
「あれは?」
「確かにずっとでは疲れてしまうじゃろ」
指差した方向を見た案内役の騎士はなんとも言えない表情をした後、説明をした。
「あーあの人か。詳しくはオレも知らんけどさ、騎士の家系。貴族だけどもう落ち目と言うか、あの人で終わりな家なんだよ」
「どういう事だ?」
「それには私が答えよう」
違う声がしてそちらを見ると明らかに貴族であり上の役職の者。騎士ではないためか場違いな感じがしている。
「お前はここまででいい。訓練に戻れ」
「はっ!」
案内役は逃げるが勝ちと言わんばかりに素早く行ってしまった。それを見届けた貴族の男はこちらに向き直り、
「初めまして勇者のお付きの人。私はこの国の貴族であるダグラルだ。それで彼女が気になるのかね?」
「他が交代で訓練に当たっているのにずっと訓練を続けさせているんだから気になって当たり前だと思いますが」
「そうか」
『他意は無いように見えるが…。一応あれをこの男に付けさせておくか。上手くいけば共に処分できる』。そう考えたダグラルは、
「そうでしたか。それでは近くに行ってみましょう。なに私がいれば問題はありませんからな」
はっきりとは答えをしなかった。
案内されてみれば異様さが目立つようになった。他の騎士たちも彼女を見ながら微妙に笑みを浮かべてみているからだ。まるで、
「まるであの者が苦しむのを楽しんでいるの」
ゼロの代わりにアサギが言う。ゼロにしか聞き取れるように言ってはいない。
「指揮官殿お勤めご苦労様ですな」
「これはダグラス閣下。迎えを出さず申し訳ありません」
「私が勝手に来ただけよ。気にするでない。それよりこちらは本日来られた勇者殿のお供の方であるゼロ殿だ」
指揮官と簡単なあいさつをした後、問題の彼女へと視線を移す。その彼女もゼロを見ている。ゼロは彼女の瞳に違和感を覚える。すると
「気付いたかね。彼女は呪われているのだよ」
次回もよろしくお願いします。




