第四十二話
遅くなりました。四十二話です。
「あまり驚かねぇんだな。オレ含めてギルド連中は驚いてたんだけどよ」
「一応本人から聞いていたからな」
「それでか、と言いたいがこれから気をつけとけ。王宮が勇者を優遇するだろうから、旦那は巻き込まれるぞ。下手すりゃ厄介者扱いで政敵共々始末ってことも有り得る」
「詳しいな」
「王が歳食ってるの知ってるからよ。息子娘がいるから必ず争うのは目に見えてるだろ」
必ずしもそうではない、と否定できるだけの情報が無いゼロには頷くしかない。するとそれまで黙っていたアサギが、
「してそのような話をどうしたいのじゃ?」
「エレンの嬢ちゃんが一直線に行っちまいそうだったからよ。ゼロの旦那たちだって知っておくべきことだってあるだろうからな。それに…」
「それに?」
「自分の信念に揺るぎ無いとこが危なく見えてよ。言っちゃあなんだが旦那たちが巻き込まれるのはお門違い…」
「そこまでにしておけ」
ゼロがマテヴを遮ったためピリッとした空気となる。
「いやオレが悪かった。とりあえずオレはあんたを応援してる。なんかあったら頼ってくれ」
「俺も悪かった。助かる」
「仲間が悪く言われて黙ってる奴なんてそういねぇ。とりあえず明日には出るように話してある」
「了解した。わざわざ話を伝えてくれてありがとう」
「こっちも世話になったからお互い様だ。明日は見送れねぇが、応援してるぜ」
そう言ってマテヴは帰って行った。
「では明日にはここを出るという事じゃな」
「そうなる。アサギにとっては色々と落ち着かないが」
「主様が気にすることではあるまい」
「そうか?明日に備えて休んだ方がいいな。アサギも休むといい」
「そうする。……ここで休んでもいいかの?」
ゼロは少し悩んでから許可した。今まで彼女が一人で淋しい思いをしていたのを知っていったためだった。
翌朝、ゼロとアサギは起きると宿で朝食を取っていた。エレンも起き出してくるとマテヴに言われていた通り急に王都へと行くことになったと伝えてきた。周りに対しての別れの挨拶も、その時間を惜しむかのように行動するエレンによって早い出発となった。
アサギはその事に多少不満を見せる。だがゼロとしてはエレン、アサギ両方の気持ちがわからなくもないため黙っていることにした。
王都までは早く着いて五日ほどの道のり。ギルドが気を利かせて商人や他の冒険者もゼロたちと同じ出発をさせていた。馬車等の準備で余計な手間をさせない配慮からだった。『歩いて向かうならくらいなら馬に乗れればいいんだが』、と思っていたゼロにとって馬車は渡りに船であった。日本にいた頃に乗馬の経験があった訳ではないが、神様からもらった記憶には馬に乗って戦う事までできるようになっていた。実際にはすぐにできるものでもないだろうと考え、五日ほどの間に馬に乗らせてもらおうとゼロは考えていた。
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