第三十六話
章を付けました。
とはいえ大した事はありません。
挟撃にはなったが他の冒険者たちとは少し距離があり、戦闘になるまでゼロたちの厳しさは変わらない。追われながらだったことで戦いの継続が難しくなっている者もいる。
「アサギ、他の連中を一塊にして戦わせてくれ」
「それは構わぬが…、主様?」
その問いには答えず、ゼロは単騎で魔物の中へと向かって行った。
答えはもらえなかったが思考を改め、アサギはすぐに行動。冒険者たちをダムザに無理やり集めさせ、囲まれないようしのいでいく。
一騎当千。それがふさわしい。
ゼロは己へと向かってくる攻撃を躱し、斬りつけ、また弾き飛ばす。それを行い続ける。
一切の攻撃がゼロには当たらず、囲まれていながらも後ろに目があるかのように死角からの攻撃も躱す。時折飛ばす斬撃は数体以上を巻き込み、倒す。
異世界に来て初めて戦ったオーガもあしらう。力は隠しておくべきだったかもしれない。だが今はそれを忘れて刀を振るう。
戦争。それは九条として生きていた頃には関わりのなかったもの。
今己がやっていることを忘れようとするかのように、しかし冷静にゼロは魔物を斬り捨てていった。
そのような時間も突如として終わりを告げた。反対側から来ていた冒険者の魔法が届くようになってきていたのである。
「少し周りが見えていなかったのかもな…」
そう呟き、ダムザらの下へと戻っていった。
魔物たちの動きが悪くなっていたのもそれと同じくしてであった。
エレンを中心としたマテヴ率いる冒険者たちは丘付近に来ていた。
「エレンの嬢ちゃん、そんなに急ぐと他がついて来れねぇぞ」
「少しでも他の方のためになるのなら多少は気にしなくても大丈夫です。私が行きますから」
『何を言っても聞かねぇなこりゃ』、そうマテヴは思い、ゼロを哀れむ。
なんとか着いてきたマテヴとエレンは丘の上の開けた場所に出た。真ん中に何やら魔法陣を浮かべる物がある。魔力源と言われていた物だろう。そのそばには誰かがいる。
当然誰もいないと思っていた二人。使命に駆られているエレンは
「それをすぐに破壊してください!」
「あー、とうとう来ちゃったか。あの程度の魔物じゃいくら支配できても止められないよねぇ」
「聞いていますか!?」
「命令される筋合いはないよ」
「退かないのであればそれもろとも攻撃します!」
「それは無理な話だよ。壊されちゃったら僕が怒られちゃうからね」
エレンには目の前にいる者がよくわからない。だが倒すべきなのはなんとなくでもわかる。
「今の君じゃ僕を倒せない。それだけは言っておくよ」
「やってみなければわかりません。火よ!敵を撃つ、火炎弾!」
火の弾が向かって行く。しかし、
「水よ!盾となれ、ウォーターウォール!」
水の壁が何者かわからない者を守る。
『どこからだ』、マテヴが見回すと、ここにいるはずがない者がいる。
「お前はこっちにいる奴じゃねぇだろ、どうしてここに」
「成り行きですね」
そこにいたのはギルドの調査官であり、魔力源の場所を報告してきた者である。
「あははは。魔物がたくさんいるところの奥なんて見に行けるわけないじゃん」
「ギルドは目の前の事で精一杯の奴しかいません。ね、マテヴさん」
次回もよろしくお願いします。




