第三十一話
閲覧ありがとうございます。
「えっと、それでそちらの方は?」
「答える義務はない」
「どうすればいいですか?」
「………」
エレンの質問を突っぱねるアサギ。休むためにテントに戻ってからはエレンがアサギに話しかけてはいるものの、無視か先ほどのように返すだけで進展はない。マテヴが話しかければ多少の対応はするものの、他の者が話しかけても一切応じない。見かねたゼロが対応するというのがアサギと共に外に出てからであった。
「エレン、彼女はアサギ。これから仲間になる存在だ」
「そうなんですか?それは嬉しいです」
言える情報はそれくらいだろう。むしろそれ以外の事は理解されない可能性があった。
「エレン、少しアサギと話してくる。先に寝ていてくれて構わない」
「はい、ではまた明日」
そう言ってアサギと共に外へ出る。離れたとこまで行き、ゼロは話しかけた。
「俺と共に来るなら周りとも仲良くしてくれ。じゃないと俺も困ってしまう」
「気を遣わせてすまぬ主様。勇者だと言われる者と旅しているとは思っても見なくての。それになんとなくじゃが相容れない気がして仲良くなる気になれぬ」
「その辺りは会って時間も浅い。これから理解していけばいい。それに親密になれと言ってるわけでもない。ある程度会話が成り立つぐらいには話してくれ」
「…了解したのじゃ」
少し頭を冷やすとアサギが言ったためゼロは先に戻っていった。その後ろ姿を見送りつつアサギは考える。
ゼロの記憶はほとんど見ていた。それはこの世界に来てからだけでなく、日本にいた頃もであった。それで彼の全てを理解したとはアサギも思っていない。今までゼロが何を考えていたのか、その時々の気持ちを見たとはいえ一方的でしかないためである。
ただそれを除いてもゼロに対する恋慕は止まらなかった。簡単な己を笑ってしまうが、それだけ彼は魅力的であった。夢といったものを持ち合わせていないゼロ。それは生まれてから誰と関わるでもなく、孤独に生きてきたアサギにとっても同じであった。『いつか己はここで何もすることなく終わるのだ』、そう思っていた。己の暇を紛らわすために冬眠状態のような事を繰り返しながら生き、どれくらいの年月が経ったのかとっくの昔に忘れてしまっていた。そんな中アサギはゼロと出会い、やっと外の世界へと出た。
遺跡管理上戦う事を義務付けられていたとはいえ、一生を終えるのだと思っていたところから救われたゼロには感謝してもしきれない。
「ゼロ様をお慕いし、支える。それが我の夢」
ゼロは勇者に関して悩んでいるだけでなく、自身の事にも悩んでいる。それを助ける、そう決めたアサギ。『とりあえずは勇者とやらも立てて、主様の邪魔にならぬようにせねば』
朝、ゼロが起きるとエレンとアサギが一応話していた。業務連絡的な感じは否めない上に、アサギが壁を作って話しているところも見受けられるが、お互いの記憶を見たゼロとは違うため、そのうちに仲良くなってくれればと思う。
魔物の異常発生の原因も未だ不明、この世界に関してゼロもエレンも知らないことがある。古いとはいえ知識の多いアサギの存在は大きい。『これから頼りにさせてもらうか』、そうゼロは思った。
本日は二話投稿しております。
二話と言っても次の話は人物のまとめのようなものです。
必ずというものでもありませんが目を通していただけると、より理解が深まるのではないかと思われます。




