第二話
話と話の間を空けるようにしました。文章は別にしても、少しでも読みやすく感じて頂ければ幸いです。
なんとなく明るさを感じた九条は、目を開けてみた。すると目に入ってきたのは真っ白な天井であった。彼自身の部屋の天井も真っ白ではあるが、普段から見慣れているそれよりも白く感じる。さらに距離感のつかめないものがあり、はたしてそれが寝ぼけから来るものかどうかなのか、目覚めたばかりの彼には判断ができなかった。ふと、九条の友達にいるアニメ好きが喜びそうな『知らない天井だ』というセリフを思い出したが口に出すことは無かった。
少し口調がぶっきらぼうである彼は、口数が少ないことでも有名である。しかし、口数は少ないながらも、勉強も部活もでき、さらに彼はイケメンでもあった。整った顔立ちに少し鋭いと思われる目つきではあるが、部活をしているだけあって細身な筋肉質の体型がその目つきと絶妙にマッチしており、同級生だけでなく下級生にも人気があった。しかしながら、一匹狼とまでは言わないものの、部活のとき以外であまり多くの人といることを嫌うそぶりがある彼に話しかける女子はほとんどいなかった。
それでもあきらめずに声をかけにいく猛者もおり、その際には二人きりとは言えないものの、4,5人で出かけることができ、なおかつ彼の垣間見えるやさしさに惹かれ、さらに熱中してしまうものもいた。それでも、彼が特定の異性と付き合うことがなかったのは、九条の高校には彼以上の成績優秀者や運動ができるという者が少なからず存在しており、そのほとんどがイケメンであり、女子の誘い方や誘われ方をうまくやっていたためであった。
閑話休題。
九条はゆっくりと起き上がると、辺りを見渡した。比較的平和な国である日本と言えども、凶悪な事件がまったくないというわけではない。そのため彼は気を引き締めたが、これといった情報を得ることはできなかった。あたりは上方と同じように真っ白であり、360度同じ風景なため代わり映えがしない。さらに物もないため、九条は自分の部屋ではないことは把握することができた。動揺がなかったわけではないものの、比較的冷静に彼は動けていた。だが突如後ろから声を掛けられ、
「っ!!」
と声にならない言葉を発してしまった。緊張している中でそのようなことになれば当然と言ってもいいだろう。
「すまんの。驚かせるつもりはなかったんじゃがのぅ。」
と妙に安心をしてしまう調子で言われては怒る気もしない。九条は振り返らずに、そして警戒しながらも声の主に尋ねてみた。
「……あんたが誰だか俺にはわからない。だが状況の説明位はしてもらえると助かるんだが?」
「もちろんじゃ。そのまえにこちらを向いてもらえると助かるんじゃが…、どうじゃろう?」
九条は警戒を解かずに、ゆっくりと振り向いた。そこにいたのは人ではあったが、普通の人には思えなかった。なぜなら頭の上には光る輪が浮かんでおり、りっぱなひげを撫でながらこちらを向いてほほ笑んでいる老人が立っていたからである。なんといっていいかはわからないが、九条にはその人物が物語等に登場する神や天使の類に似ているように思えた。
確証はないながらもそう彼が考えていると、その老人は『座って話すべきかのぅ』などとつぶやき、指をふるとどこからか豪華そうな机と椅子が二人の間に現れた。老人は自分が先に座ることで、彼にも座るように示してきた。九条自身も座らなければ老人がなにも話してくれないと悟った彼は、渋々座り話を促した。それを確認した老人はどこか嬉しそうに
「さてさて、どこからはなしたものかのぅ」
と言った。
時間が取れずに確認が遅れましたが、話数が少ないながらもアクセス数が増えており、大変恐縮しております。
兎にも角にも閲覧して下さった方にお礼を申し上げます。次回もどうかよろしくお願いします。