第二十六話
今回は少し短いかもしれません。
それとユーザー名と作者名を変更しました。
ゼロは日本にいたころから熱い人ではなかったが、もちろん無気力な人でもなかった。口数が少ない彼に少ないものの友達はいたが、真の理解者がいなかったことはどうしても孤高に見られ、偉そうに見られていたのかもしれない。周りに結果を示し続けたことで彼は彼自身を保ったが、夢や目標を見つけられず、機会を経てこの異世界へとやってきた。
未だに何かを成すという事は見つけられていない。焦りはない。必ずしも人は夢が無くても、夢を成せなくとも生きてはいける。だが近くにあれだけ眩しい存在がいるというのは、ゼロに何とも言えない気持ちを抱かせていたのは確かである。それに彼は懸念していた。彼女が歩む道を。
五体の騎士に囲まれる。魔法を扱うのが一人、弓を扱うのが二人、剣を扱う二人という構成は厄介である。弓を避け、剣をも避ける。簡易な魔法、人にとっては十分に脅威となるそれを刀で弾き、魔法騎士へと一気に向かう。横薙ぎに払われる刀を弓騎士がかばう。思わず舌打ちをする彼の気持ちはわかるものにはわかる。これが三度も続いている。
攻めあぐねているわけではない。ここまで来ている事がそれを証明している。
『仕方ない』、そう考えたゼロは通常よりも魔力を籠め、魔装の威力・精度を上げる。そしてそれを飛ばすように騎士たちへと振う。まるで重力に押しつぶされたかのように鎧は凹み、行動不能へと追い込んだ。
「さすがに疲れる、これは。記憶にこんな攻撃方法がなければやっていないだろうな。まぁあれを扱うよりはいいか」
そう思い直す。
ここへ入る際にも通った門と似たものがゼロの前にある。ここまでは一本道となっており、ここ以外に道はなかった。
「ゲームなんかだとボスが現れる雰囲気なんだが」
『鬼が出るか蛇が出るか』、そう思いながら門を押す。開きはしなかったが代わりに中へと吸い込まれた。
目を開けるとそこは畳に襖と、和の世界であった。元々ここが和風であったためか違和感はない。薄暗かったが徐々に明るくなっていく。すると少し先に何かがいる。気配はなかったにも関わらずそこにいるということにゼロは警戒を高める。
ようやく明るくなり、正体がわかった。一人の女性がいる。距離が近いわけではないため顔色はうかがえないが服装はわかる。ゼロがまず思い描いたのは陰陽師だった。巫女装束かもしれないと思われるそれは、詳しくない彼にとって一番わかりやすい己への説明として、『映画等で陰陽師が来ている服装』がしっくりきたのである。
色は上が少し濃いめの紫であり、下は黒。服装だけ見れば男に見えなくもないが、まぎれもなく女性である。
だがこの世界に来て様々な人と出会ってきたゼロにはもう一つわかる事があった。動きやすさに特化されて改良されたそれは戦闘に対応するためであろう。今まで出会ってきたどの敵よりも強さを感じる。
手には扇を持っている。戦闘扇と呼ばれるのだろうか、そんな事を彼は考えてしまう。
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