第十四話
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早めに目覚めたゼロは時間がわからず、時計がほしいと考えながら食堂へと降りた。手伝いをしている子に井戸の位置を聞き、顔を洗う等でさっぱりしたゼロは先に朝食をとることにした。
昨夜は味わう余裕がなかったが今朝は違う。名前こそ違うものの見た目は洋食の朝と言った感じの料理だ。バターのような調味料は名前が同じだったのは幸いであった。パンにそれをつけて食べ、野菜類を食べ終え一息ついた辺りでエレンがやってきた。
「早いですね、おはようございます」
「おはよう。時間がわからなくてな。早く起きてしまった」
「時間がわかりたいと言う人を初めて聞きました。いつも定刻に鐘がなっていますし。そういうことでしたら何かマジックアイテムを今日は買いに行ってから依頼を受けましょうか」
エレンは座ると運ばれてきたゼロと同じような朝食を食べ始めた。その間ゼロはククーゼと呼ばれる飲み物をゆっくりと飲む。はじめは普通の水だったが後から運ばれてきたこの飲み物。名前が違うためわからなかったがにおいが似ており、飲んでみるとコーヒーであった。
「ゼロさんよくそれ飲めますね。もう少し甘くないと私にはちょっと」
「俺は甘くても甘くなくてもどちらでも大丈夫だ、おいしいからな」
飲めることを少しだけ羨ましそうに見られながら飲んでいると、エレンも食べ終わったため出かけることとなった。
マジックアイテムを買いに行く。金銭的余裕はあまりないが元現代人としては時間がわからないというのは不便、あればぜひ買う必要がある。宿の女将曰く、貴族様なら持っているという話を聞いたと言っていたため期待できないこともないだろう。
他にもエレンが持っていたようなアイテムボックスも必要になりそうだ。
しばらく歩き、着いたそこは店の表にまで様々な物が置かれている。置かれていると言えば聞こえはいいが、実際には乱雑に放置されていると言ってもいい。それを見た後エレンに目で『大丈夫なのか』と問う。それに気付いたエレンは苦笑しながら
「外に置いてあるものはお店を閉める時にいつも片付けていますから気にしなくても大丈夫ですよ。それに店内も物がたくさんあるのであまり気にしても意味がないです」
『そういうものなのか?』という疑問はあえて口にしなかった。買えればそれでいい、そう思うことにした。
店に入るとそこかしこに物が置かれており、店主がいた。エルフである。とはいえかなりのお爺さんだが。
「何をお探しかな?儂に準備できるものなら何でも売るぞぃ?」
思わずピクリとしてしまった。考えすぎかもしれないが試されていると思ったからだ。『後で一人で来ても面白いかもしれない』、そうゼロは思った。こちらの世界に来てから妙に冴えているのはこの体の仕様なのか記憶の仕様なのかはわからないが。
「アイテムボックスが一つと、時計ってありますか?」
「ほぅ。時計かの。お主が使うのかの?」
「いえ、私でなくてゼロさんが」
そう言われて店主を見る。エルフのお爺さんはなにやらうなずき喜ぶ。
「困ったことに最近はアイテムボックスばかりよく売れる。面白くないと思っていたところにお主のような者が現れると嬉しいのう」
「貴族のように金はあまり持ち合わせていないぞ?」
「よいよい。あんな価値がわかっているのか、時間が本当に知りたいのかわからん奴らよりも、本当にほしい者に売るのが商売の楽しさよ。ちょっと待っておれ」
そう笑いながら奥に引っ込んでいく。
「いいお爺さんですよね。私も初めてのときお世話になりました」
「そのようだ。何か必要な物があるときはここを訪れたい」
「嬉しいことを言ってくれるの。お探しの物じゃが調整に少しばかり時間がかかりそうじゃ。夜にでも取りに来てくれるといいんじゃが」
「それなら…」
「わかった。夜に一人で来よう」
「そうしてくれるかの」
何か話すことがありそうならそれに乗るべきだ。そう思ったゼロはエレンに決めさせずにエルフと約束をする。エルフが長生きというのがこの世界でも当てはまるのなら面白い話を聞けるかもしれない。
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これからも努力していきたいと思いますので、次回もよろしくお願いします。




