第十二話
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思ってもいない。それはここで戦いを見ていた誰もが思っていたことだろう。
仲間割れとも思える戦いが突如として始まったからである。
エレンは見過ごせなかった。それは勇者としてもだが彼女の思う平和に必要な、救済をすることを広めていきたいという想いだ。
ゼロが活躍するのは自分のことのように嬉しい。口数が少ないが、話しかければ返してくれ、悪い人ではない。だが彼の今の行動を見逃すわけにもいかない。そのため『ゼロさんの勘違いを正したい』、彼女はそう考えての行動であった。
「火よ!敵を射よ、フレイムアロー!!」
先ほどよりも数の多い魔法の矢が出現し、ゼロへと向かう。当たるとは思わないが、ダムザから離れたゼロは、再度詠唱され己へと向かってくる火矢を避ける。ゼロとしてはダムザとの戦いが終わったならば終わったであまり戦いたくはないのだ。
エレンの意志の強さは短い間ながらも理解していた。弱者のために動こうとする彼女は立派だと思う。が全てが救える、そのようなことは不可能だろう。
「待てエレン」
「待ちません!火よ!敵を撃て、火炎弾!!」
「っ!」
魔法は扱う者によって左右される。詠唱、魔力の運用、イメージ等あるが初めに重要なのは魔力量である。ゼロの持ち合わせる魔力量を本人は知らないが、この世界では多過ぎると言ってもいい。だがそれを上回るほどにエレンは持ち合わせていた。実戦闘ではまだ難しい、と本人が言っていた。その理由として火の魔法が最も得意なため周りを気にしなければならなかったためである。
エレンとしてはゼロに剣で勝てるとは思えず、得意な魔法で攻めようと思った結果であった。
フレイムアローは難度の低い魔法である。火の矢を敵に当てるこの魔法は魔力量を調整しやすく、練度の高い者が使えば威力は当然のことながら矢の本数を増やすことで敵を圧倒することも可能である。
片や火炎弾は火の球体を操り敵にぶつける。数を出すことは練習が必要だが威力もあり、低級中級程度の魔物であればひとたまりもなく、当然人もだ。
その火炎弾が二つゼロに向かってくる。『さすがに戦うしかないか…』、そう思ったゼロだが再びエレンが違う詠唱を始めたのに気付き回避を選択した。
一つを避けるが二つ目がゼロにぶつかるはず。普通ならばそうだが相手はゼロ。エレンは手を抜かずに次の詠唱を始める。
「炎よ!敵を焼き尽くす、炎龍!」
魔法により現れた炎の龍がゼロへと向かう。火炎弾と比較するまでもなく威力があり、さらに魔力を流し続ければ追尾、またその場で爆発させたりでき、上位魔法に該当する。
それを見ながらもまだ見ているであろうテムを見る。笑みを隠しきれずに見ているその表情からは企みがあることは明らかであった。だが避けるにしてもまた違う攻撃がくるだけ。見られても仕方ない、ゼロは刀に魔装を施す。
『ドン!!』と何かが炎龍とぶつかる音がした。煙が立ち込める。
ゼロは刀を振り、煙を払った。何事もなかったかのようにそこに立つゼロを見て、皆が圧倒される中、ゼロはエレンの元へと向かう。刀を向け、
「もう気は澄んだか?」
エレンはそう言われて自らのしたことに気付かされる。試験を邪魔した上にゼロを信じなかったのだ。うつむきながら小さな声で『はい…』と言った。
「ギルド長もいいだろ」
「あ、あぁ。関係者は私の部屋に。他の者は解散だ」
ゼロはダムザたちのところへ行き謝罪した。ミジーはエレンを慰めてくれており、ダムザとホゼもはじめは驚愕していたが、『まずい奴にケンカ売っちまった』と言い出す始末。さらにどうやったら強くなれるかと聞かれた。
そんな中なんとか目の前の驚愕をなんとか受け入れたテムは、どうしたら二人を取り込めるかと考えをめぐらせつつ、ギルド長室へと向かっていた。
魔法の説明等上手く伝わっていれば幸いです。
次回もよろしくお願いします。




