第十一話
お待たせしました。戦闘回となります。
ゼロは改めてギルド長と呼ばれるテムを見る。ギルド長と言いながらも高級そうな服を着ており、ほほ笑みながらこちらに近づいてくる彼はどことなく胡散臭さを感じてしまう。当然初めて出会った故のことかもしれないが、ゼロは注意しておくべきだと心に決めた。そのような風に思われているとは知らないテムは話し始めた。
「初めましてお二方。私はここハフトのギルド長を務めるテムといいます、以後お見知り置きを」
「よろしくお願いします、ギルド長。それで試験とかってどういうことなんですか?」
関わっていた者が皆思っているであろう疑問をエレンが代表して聞いてくれた。言葉通りであるならば、確認作業だけだというミーナの話に追加して何かの試験が行われるということだ。ゼロとしては今日は早めに休み、エレンと話をしておきたいところであり、自らの記憶の整理もしておきたいところでもある。
「そんなに難しいことじゃないよエレンさん。確認作業と言うのはまず、どのようにオーガと戦ったのかを聞き、真偽の水晶を使って確認するだけ。それが真実だったら事情が事情だけにランクを高めにしてあげたいんだけど、優遇すると周りも不満を覚えるからね。それでダムザ君が戦いたいということだから、観覧式の戦闘訓練場で実戦闘をして判断をしようかと私は言っているのさ」
「さすがギルド長だ!俺にはその案で不満はねぇよ!昼時だから訓練場空いてるだろ?今すぐにやろうぜ!」
「そういうことでゼロさんが認めてもらえるのなら私としてもやってほしいです!」
本人を除いて話は進んでいき、ゼロのやる気はともかく本日の開催が決まっていた。ミーナやミジー、ホゼからは同情をされた。
別室でテムギルド長とミーナ立会いの下おこなわれた真偽の判断は、無事に真とされ訓練場へと移動した。観覧式と言いながらもわざわざ見に来ている者は一握りもいなかった。ようするに建前としてここでおこなわれようとしているのだ。
ギルド長曰く、ここで戦えば体力と魔力の消費はあるものの、負傷しても外に出ると負傷していないことになるという。そのため全力で戦うことができると言われた。ここは古代の遺産らしく現代の技術では不可能だとも教えられたが。
そこに着くとダムザの方は準備万端で構えていた。一応のためにエレンとミジーが中で立ち会い、審判はテムが務める。
「それではゼロとダムザの試合をおこなう。はじめ!」
「うおおぉぉぉ!!」
テムが開始の合図を告げるとすぐにダムザがゼロへと突進した。ダムザの武器は両手剣、その体格に値するだけのものでもあり、彼の自慢でもあった。
ゼロはテムが未だにこちらに視線を向け、観察をしていることに気付いた。ギルド長とはいえ何を企んでいるのかわからない上に、現状では相手のことを何も知らない。そのためゼロは実力を隠しつつ倒すことを決める。
「そりゃぁぁ!」
上段の構えから振り下ろされたそれはいくら負傷が治るとはいえ容赦のない攻撃であった。魔物相手であれば、気を引くことができそうであり、当たれば確実に有効な攻撃となりそうであったが、対人戦であり当たらなければ意味はない。ひらりと躱したゼロは刀をがら空きの脇へと振う。
「ふっ」
「ぐお……」
今までに同じことをされたことがあるダムザは咄嗟に避けた。だがそれでも完全に回避とは至らずに負傷した。ダムザは驚きの表情を浮かべる。『太刀筋が見えんかった!』
同じことをされ慣れておらずに、避けていなければ確実に重症となっていたと思うと冷や汗を流す。
そのことと、いつもならミジーが手当をする負傷をしながら、格上相手をできはしなかった。それでもダムザは諦めずに必死に戦う。それは意地だったのかもしれない。
一方的な戦いとなったが、テムは止めずにゼロの観察につとめた。以前から目をつけていたエレンを彼は知っており、そのエレンが連れてきたゼロにも彼は興味を持ち始めていた。『エレンと言う女の魔法はすばらしく手駒に加えようと思っていたが、こいつもすばらしい』と内心ほくそ笑む。さらに彼にとっては思ってもないことが起こる。それはゼロにとってもだった。
「火よ!敵を射よ、フレイムアロー!!」
詠唱された魔法の火の矢は四、五本。それがゼロの足元へと刺さった。ゼロはその攻撃者を見、その答えを問う。
「何のつもりだエレン」
「ゼロさんこそどういうつもりですか。過剰な攻撃です」
「奴にはまだ戦闘の意思がある」
「そうだとしてもやりすぎです!見過ごせません!それ以上攻撃の意思があるならば…」
「あるなら?」
「私が相手です!」
ゼロと勇者は戦わない、なんてことはありません。次回も戦闘回となります。
上手く表現できていければと思います。
閲覧ありがとうございます。




