プロローグ
初めての投稿になります。
一人の人間が歩いている。頭まですっぽりと覆う大きなローブによってその顔をうかがい知ることはできないが、長い距離を歩いてきたのか、本人も気づいていないであろう少しの汗によってまとまった髪が、頭まで覆うローブから覗いている。銀色の長く美しいそれによってかろうじて女だとわかる程度ではあるが。
遺跡と思われるその通路は、それほど暗くはなく、人一人が歩くのには狭さを感じることはない。また、他に人がいるようなこともなく、ただひたすらに奥へ奥へと向かう。しばらく無言で歩き続けた女は、そこが最奥であろう扉の前に立つと、
「やっとたどり着いた……」
と一言つぶやくと、どこからか取り出した鍵を扉の鍵穴に差し込む。そして、
「我、勇者の末裔なり。召喚の祭壇への道を開けよ」
と言い、鍵を回す。するとまばゆい光につつまれ、女はあまりの眩しさに目をつぶってしまう。しばらくして女が目を開けると、そこは目指していた場所である祭壇のある広間であった。そこは派手さはないものの、得も言われぬ厳かな雰囲気に包まれており、女はしばしの間、動くことができなかった。女は、はっとすると一歩一歩その場を確かめるように歩き始め、祭壇の中央へ進んだ。
中央にたどり着いた女は、これまたどこから取り出したのか、かなり古い本を大切そうに持つ。中央には何を示しているのかはわからない魔方陣があり、その真ん中に女は古い本を開いて置いた。開かれたページには何も記されておらず、また女とてこの本が召喚に必要なものとしか知らなかった。魔方陣の中央から女は少し離れると、ひざまずき祈るように手を合わせた。無言のまま祈るその仕草は、傍から見ると絵になるとともに、想いの強さを感じ取ることができそうなほどである。召喚の方法は、ここの祭壇にある魔方陣に本を置き、ひたすらに祈ることであった。だが、なんとも不確かな方法にも感じるこの方法には、ここまでたどり着いた女にとって不安を感じていた。だがそれでも、祈るしかなかった。
どれくらいの間そうしていたであろうか。我慢しきれなくなったのであろうか、女が一言
「……お願い、来て。強き者。お願い……」
その言葉に応えたのであろうか、それともそれまでの祈りに反応したのかわからないが、魔力を感じ取れる女には、本が光始め、魔方陣とも共鳴しだしたことを感じていた。辺り一面がまばゆい光に包まれる。そして、その光がおさまると、先ほどまで本と魔方陣があった場所に男が立っていた。男は女に気づき、口を開くと、
「お前が俺を呼んだのか」
字数はこれからとしても、思ったほど伸びませんでした。
これから冒険が始まりますが、零とともによろしくお願いします。