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魔法少女DS  作者: 壱壱零五
第一部 魔法少女DS
5/28

魔法少女ダークストーカー -Ⅴ-

●ついせき


俺「ディーティーが見つかったって、本当か?」


レミ「正確には痕跡だけ、だけどね…この周辺を移動したみたい。移動予測範囲は合流してから教えるわ」

ハル「………あれだけ切り刻んだのに…しぶとい」

病みモード一歩手前で呟くハル。この状態の扱いは非常に難しくて困るのだが……何故こんな状況になっているのかと言うと―――


遡る事20分前…


俺はハルからの電話で目を覚ました。

ハル「大変です!レミちゃんからの連絡で…ディーティーが、見付かりそうみたいなんです」

俺「…本当か!?今すぐ行く。場所は?」

ハル「えっと…まずはカフェで落ち合う事になってます。準備をするので、今から20分後に来て下さい」


という経過を経て、今に至っている。


レミ「それじゃ、まず現時点で見付かってる痕跡を教えるわね?まずはここ…それからここ…」

集合した喫茶店で地図を広げ、赤いペンでその軌跡を書き込んで行くレミ。

その内容からは…俺の部屋を開始地点として、少し歪みながらも西へ向かう痕跡が見て取れる。


俺「西へ向かってるが…あのディーティーが闇雲に逃げてるとは思えない。この先に何があるんだ?」

ハル「判りません。以前ディーティーから聞いた限りでは…この辺りに何か隠して居た訳でも、特殊な場所がある訳でも……」


と言いかけた所で、不意に…途中で言葉を止めるハル。

その表情は明らかに強張り、顔中に汗を浮かべて硬直している。

明らかに異常なその様相から見ても、何か心当たりがある事…いや、何かに行き付いた事は明白だ。


俺「ハル……何か気付いたのか?」

ハル「い…いいいい、いえ…そ、そんな何も……」


そう言えば…最近気付いた事なのだが、ハルは俺に対して嘘を吐くのが物凄く下手らしい

こんな風に…どもりながら返答する時は、大抵何かを隠している時だ。

いや…それが判ったからといって、俺はハルを言及するだけの勇気も厳しさも持ち合わせては居ない。


………ので、レミに聞いてみる事にする。


俺「レミは何か知っているか?」

レミ「………」

が…こちらもまた沈黙。しかしハルの浮かべる恐怖のような表情とは異なり、何か決意を胸に秘めているような面構え。

確実に何かがある…だがそれを二人とも明かそうとはしない。



暫しの間、その場に流れる沈黙。だが…その沈黙を破るようにレミが口を開く。

レミ「これは憶測だけど……ここがディーティーの目的地ね。多分ここで、アタシ達が来るのを待ち構えてると思う」

そう言って指差した場所は、町外れの工場。確か、随分前に取り壊しが決まった廃工場の筈だ。

そして…そんなレミ言葉を聞いて、ハルは我に帰り…

何を思ったか、そのまま勢い良く立ち上がってこの場を去ろうとする………が、そんなハルをレミが止める。


レミ「言ったでしょ…待ち構えてる筈だって。急ぐ必要は無いし、万全の状態で行くべきよ」

ハル「だって…このままじゃ…あの場所に…あの場所に彼も行く事になって………もしかしたら、知られるかもしれない…」

前言撤回。全く我に帰っていない。本人を前に隠し事を隠す事すらも忘れている。


レミ「だったらハルの口から直接言えば良いじゃない」

ハル「無理…それ無理。無理、私には…無理…!!」


いまいち状況が掴めないが…ハルの狼狽がディーティーの策略であるなら、間違いなく成功している事だけは判る。

だが…背景を知らない俺では、どうするのが最善なのか判断する事が出来無い。

不甲斐無さこの上無い事だが、俺はレミに助け船を求めて視線を向け…続くようにレミが口を開く。


レミ「行くしか無いわよ…三人で。そうね、少しでも魔力を温存するためにもバスで行きましょう」

結論は至ってシンプルで、至極当然の判断。だが…俺の求める解決にはなり得ない物。


しかし何故だろう。一つだけ…レミの発した言葉『バス』という単語が気にかかった。



●けっせん


俺「……ここ、この廃工場が目的地か。ここにディーティーが居るのか?」


レミ「多分…ね。アイツの嫌な気配がプンプンしてるわ」

ハル「…………」

目的地…廃工場に到着しても、未だに落ち着く様子を見せないハル。

いや、正確には…出発前と比べて、外面での様相は大人しくなっているように見えるが…内面の動揺は隠し切れていない、と言った感じか。


俺「そう言えば……痕跡ってどんな物なんだ?血痕みたいな物は途中に無かったんだが…」

レミ「あぁ、言ってなかったわね。痕跡って言うのは、アタシたちには結構馴染み深い物………そう」

言葉を交わしながら、廃工場の中を進む俺達三人。

やがて扉の前に辿り着くと、俺達は揃って足を止め…レミがその扉を押し開く。


そして………開かれた扉の向こうから現れたのは―――


レミ「ダークチェイサーの…瘴気よ。それも、アタシの所に居る子達とはまた異質の…ね」


マスコット姿の身体を巨大に肥大させ、更に様々な部位から手足…それも人間のような物から昆虫のような物まで多種多様な物を生やし

顔の中心からは見た事の無い少女の体躯が飛び出している。という奇怪な姿の……


辛うじてディーティーの面影を残した………肉の塊だった。



ディーティー「やぁ…キミ達…よく来たね。驚いただろう?この身体……見てくれは悪いけど、なってみると中々使い勝手が良い物だよ。ふふふふ…」

腕程の長さの舌を伸ばし、俺達に向けて語り始めるディーティー。

本当なら、他にもっと表現に相応しい言葉があるんだろうが………正直、気持ち悪い以外の言葉が思いつかない


レミ「そんな姿になってまぁ…元の世界に帰るのは諦めたようね?」

ディーティー「減らず口を叩かないでくれないかなぁ!?誰のせいだ!誰の!?キミ達が大人しく殺されてくれていれば、こんな事にはならなかったんだ!」

俺「逆恨みも良いところだな…自分が蒔いた種が大輪の花を咲かせただけだろうに」


ディーティー「黙れ!黙れ黙れ黙れ!良いさ…僕はポジティブなんだ!あの世界に戻れないなら、この世界を僕の好きなように変えるだけの事さ!」

ハル「………あっちの世界の調査隊が来たら、その無駄な足掻きも終わる筈」

ここに来て初めてハルが話す言葉。単語自体は初耳だが、その語調から察するに…ディーティーを追い詰めるに足る存在であろう事が伺える。


ディーティー「ハハハッ、そんな物…殺せば良いんだよ。調査隊もその次の調査隊も、実行隊も国軍も、全部全部殺せば良いんだ!」


うん……こいつは完全に狂ってるな。

言った所でどこまで耳に入るか判らないが……とりあえずは宣言しておくか。

レミ「それは出来ないわね…アタシたちが…」

俺「俺達が…」


俺&レミ「「今ここで、お前を倒すんだから」」


レミと俺は声を合わせるが、ハルはそれに乗るどころか声すら発さない。

この様子からしても、マトモに戦う事は多分不可能…戦力としても期待できない事を考えると、厳しい戦いが予想される。


と言うかまず俺が戦力ではないから、実質上レミ一人に任せてしまう形式になるのだが…


俺「レミ…何とかなりそうか?」

レミ「正直判らない。悪い予感が当たらなければ良いんだけど…」

俺「…そういう事は言うな、当たるフラグだろう」

ディーティー「どうだろうねぇ?とりあえずはかかっておいでよ。さぁ!さぁさぁさぁ!!」

うるさい、お前は会話に入って来るな。



制服、影、バッグ…レミのありとあらゆる所持品から姿を現す、ダークチェイサー達。

生物の形どころか、形容する事さえ難しい物まで…多種多様の姿を持つそれらが、レミを取り囲みながらディーティーへと向き直る。

そして召還を終えたレミは、大きく息を吸い込み…


レミ「行けーーーー!!!!!」


と、声で張り上げて号令をかける。

そして、それを合図にしたダークチェイサー達は、文字通り解き放たれた獣のように

…一斉に、ディーティーへと襲い掛かる。


巨大な爪、幾つもの牙…甲殻の足に角。生物の持つありとあらゆる武器を用いて繰り出される攻撃は、正に一撃必殺の集中豪雨。

…にも関わらず、其れ等は一向にディーティーの本体に届かない。

攻撃の一つ一つをディーティーが確実に四肢で受け流し、致命傷どころか有効打すら的確に外されてしまっている。


俺「…どういう事だ。数では圧倒的にこっちの方が優勢の筈だろう?」

レミ「悪い予感的中…って所かしらね。腐っても生みの親…あの子達の行動ルーチンを全部把握してるみたい」

俺「それは不味いな…他に手は無いのか?」

レミ「やってみる。けど…ちょっと集中するから、話しかけないでね」

そう言ってレミは断り、また息を大きく吸い込んで…



レミ「アイン!右側面に回り込んでパターンA!ツヴァイン!サードのサポートに回ってパターンD!」


ネーミングと思わしき部分はスルーするとして……披露されたのは、レミが司令塔になって指示を行う戦法。

ダークチェイサー達はレミの指示に従って動き、そこから繰り出される連携により今までに無い善戦を見せた

…かに思えたのだが、残念ながらこれも打破されてしまった。


作戦指示のパターンも無限では無く、それらもすぐに看破され…加えて指令という行動により、動作がワンテンポ遅れてしまったためだ。


ダークチェイサー達による攻撃では勝機は無し…

ハルに至っては戦闘を行えるような状態ですら無し。いや、それ以前の問題だ。


何が原因なのかは判らないが、ここに来てからはハルの状態は悪化する一方…

今では足元さえおぼつかずに、その場にへたり込んでしまっている始末。


非常に不味い。こんな状態を狙われたら…狙われたら……そう

そういう事を考えている時に限って、悪い予感は当たる物らしい。

ダークチェイサー達の猛攻のあしらいに慣れ、そこから更に余裕を持ったディーティーの脚が……


無防備なハルへと向けられた。


レミも同じ事に気付いたのか、ハルを庇うべく飛び出す。が……その身体には一体のダークチェイサーも纏っていない。

ディーティーの前に立ちはだかったとしても、文字通りの肉壁にしかならない。あの攻撃を受けたら…確実に死ぬ。


だったら…同じ肉壁になるなら、より戦力にならなくて分厚い肉壁の方が良いだろう。

答えがが出た以上、後はそれを実行に移すのみ。ただ問題は…

その結論に到るまでに余分な事を考えていたせいで、出遅れてしまったと言う事。


間に合うか?間に合ってくれ。頼む、間に合え。間に合って欲しい…いや、意地でも間に合う!!


意思の力が作用したのか…奇跡でも起こったのか…

自分でも驚くほど身体が俊敏に動き、突き出されたディーティーの足の軌道を変える程の体当たりに成功。

レミにもハルにも怪我を負わせる事無く、やり過ごす事が出来た。正に大成功とも言えるファインプレーだ。


そう…これだけの成果を出せたんだから………安い物…だよな?



俺の腕…それと脇腹くらい…



●ぜつぼう


「嘘…嫌……いやぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!」


ハルの声なのかレミの声なのかも判らない悲痛な叫びが、廃工場の中で反響する。

………しまった、二人の反応までは考慮していなかった。

嫌な物を見せちまったよな……本当にすまない、悪いと思う。


ディーティー「…何勝手な事をしてるんだい。今のは庇ったレミから死ぬ所だろう?君の出番はまだの筈だったんだよ?」

勝手な事を言うなこの肉塊。


ハル「あぁ……ぁ……ぁ…ぁー…あ………」

聞こえるのは…ハルの声だ。壊れたラジオみたいに、音にならない声が響いているのが判る。悲しませてすまない。

そうだな……せめて、俺の死をきっかけに奮い上がってくれれば…と願うが、さすがにそれは高望みが過ぎるらしい。

…声の調子からみて、逆に気力が削がれてるのが手に取るように判る。


レミ「死なないで!起きて!ねぇ!」

そして今度は…レミの声だ。いや、起き上がってもこの様では戦いようが無いだろう。


ディーティー「仕方が無いなぁ…予定は狂ったしもう良いや、二人とも一緒に死んでよ」

何を言ってるこのケダモノ野郎。お前は大人しくダークチェイサー達と戦って………ん?いや…戦ってないのか?

そうか…あいつらもやられちまったのか……さぞ無念だったろうな。


いや、待て…だったら誰がハルとレミを守る?どうすれば守れる?何をすれば守れる?


ディーティーを殺せば守れる

ディーティーを殺すにはどうすれば良い?

ディーティーを殺す手段を使うしかない

ディーティーを殺す方法はどんな物がある?今何ができる?


最短ルートで思い出せ、全速力で考えろ


どんどん回れ走馬灯。俺の脳細胞よ、焼ききれるまで回転しろ


『コイ……ツカ……』

『彼女のような狩猟者は、奴らへの耐性を持っているからね。奴らが放つ瘴気は勿論。魔力によって物理的干渉もある程度軽減できるのさ』

『確認されている個体数は126体…内78匹は殲滅済みで、生殖能力は有していないからその点は心配要らないと思う』

『やぁ…キミ達…よく来たね。驚いただろう?この身体……見てくれは悪いけど、なってみると中々使い勝手が良い物だよ。ふふふふ…』

『そんな姿になってまぁ…元の世界に帰るのは諦めたようね?』

『だから嘘だって。脳幹にちょっと残ってるのは本当だけど、爆発とか害は無いわよ。と言うか…むしろアンタに適応しちゃってるんじゃない?』

『あの子達は、元々ディーティーに作られたのよ………生物兵器としてね』

『じゃぁ続き。複数の個性を持ちながらも核に意識の中心を持ち、各々の状況に特化した個体で殺戮行動を行うように作られた兵器…それがあの子達』

『ダークチェイサーって…元々は生物兵器なんでしょ?その…こっちの世界で危険は無いの?』

『無い…と言えば嘘になるだろうが。何のために生まれたかと、何をするために生きるかは別問題だろ』

『現に、レミとは上手く共生出来ているみたいだしな』


多すぎる。もっと厳選しろ


『やぁ…キミ達…よく来たね。驚いただろう?この身体……見てくれは悪いけど、なってみると中々使い勝手が良い物だよ。ふふふふ…』

『だから嘘だって。脳幹にちょっと残ってるのは本当だけど、爆発とか害は無いわよ。と言うか…むしろアンタに適応しちゃってるんじゃない?』

『じゃぁ続き。複数の個性を持ちながらも核に意識の中心を持ち、各々の状況に特化した個体で殺戮行動を行うように作られた兵器…それがあの子達』


これだ…そうだ、あるじゃないか



●はんげき


ディーティー「さぁお別れだ…何だかんだ色々あったけど………うん、碌な事が無かったや。さよなら」


ハルとレミ、二人に向けて狙いを定め…振り下ろされる二本の前足。

その先端が、空を切り裂き二人の眼前へと迫る。

当たればまず間違い無く即死…二人の命はディーティーに奪われてしまう。

だが…そんな事はさせない。


俺がさせない!!


レミ「え…?」

ハル「……ぇ?」

ディーティー「なっ……そんな馬鹿な。何なんだよ君…その姿は!」


ディーティーの前足二本を…根元から切り裂くのは………ダークチェイサーで形成した俺の右腕。


少ない体積で形成したせいか、殆ど糸を振り回しているような物だが…切る事に特化するならこれで十分だ。

先の攻撃で失ったわき腹も、ダークチェイサーの組織で止血を行ったおかげで、当面は問題無し。

そして勿論、それらの部位は支障無く思い通りに動く…と言うよりも、思った瞬間には動いている程の有能っぷり。


脳幹から直結しているおかげか?成る程、確かにこれは使い勝手が良い。


『ディティーコロス』『無闇に殺しちゃいけない』『アイツハ殺シテ良イ』『ヨシコロソウ』

まぁ…ダークチェイサー達が、ちょっと物騒な事を頭の中で呟くのが難点だが…

レミの教育の賜物か、善悪の判別はしっかりとできているようだ。


ディーティーに比べて、俺の保持しているダークチェイサーの組織はほんの僅か…にも関わらず、不思議と負ける気が微塵も沸いて来ない。

ディーティー「元の肉体を保ちながらのダークチェイサーとの融合だって…?ありえない…ありえないありえないありえない!」

うるさい。お前はもう少し現実を見ろ。

ディーティー「創造主の僕でさえ、こんな事になっているって言うのに…何で赤の他人の君がそんな姿でいられるんだ!?おかしいだろう?!」

本当に懲りない奴だ。今度は…背中から生やした8本の腕で掴みかかってくる。あぁ…そうだ、今度はあれを試してみよう。


俺「アイン、来い!」


瀕死ながらも、俺の声を聞き駆け付けるダークチェイサーの一体…アイン。

そして俺は、アインの頭に当たる部分に右手を沿え……同化

鋭い爪を持った巨大な手を形成し、一瞬の間にディーティーの腕を全て切り落とす。


おっとそうだ、ついでにわき腹の器官も再構築しておこう。

以前侵食された際に俺の臓器の形状も記憶してくれていたようで…俺の脇腹は難なく修復完了する事が出来た。


レミ「嘘…攻撃が通じてる?そっか…あの子達の動きじゃないからディーティーは先読みできないのね」

解説ありがとう、要はそういう事らしい。俺の攻撃は面白いようにディーチーの身体を削ぎ落とし、今までの劣勢を覆す。


俺「ツヴァイン!サード!クィンテット!来い!!」

続けざまにダークチェイサー達の名前を呼び、俺はそれに応えた者達と同化して行く。

最早、戦力差は歴然。後はその戦力を以ってディーティーを打ち倒すのみとなった。


さぁ、この茶番に幕を引く時だ。



ディーティー「ふふ………ふふふふ…」


何がおかしいのか…気でも触れたのか、追い詰められたディーティーが急に笑い出す。


ディーティー「驚いたよ…正直凄く驚いた。まさかこの身体でここまで追い詰められるとは思って居なかったよ」

俺「遺言はそれで良いのか?」

俺は、ディーティーの本体と思われる人型の部位に爪を向ける。


ディーティー「いやいや…これは対話だよ、君と僕のね。悪足掻きだと思って聞いてくれて構わない、聞くだけなら損は無いだろう?」


俺「………」

ディーティー「キミも知りたい筈だと思うんだ…あの子達が何を隠しているのか。何故此処を選んだのか…此処で何があったのか」

ハル「っ……殺して!ディーティーを早く殺して!!」

下品な笑いを浮かべるディーティー。だが…それ以上に執拗なまでに急かすハルが、俺の視線を奪う。


ディーティー「簡単に言うとね…騙されてたんだよ、キミ。ハルにね」

俺「…どういう事だ?」

ハル「止めて!止めて止めて止めて!!!」

ハルの悲痛な叫びが木霊する。


ディーティーの言葉を裏付けする根拠は、何一つ無い。だが…一片の揺らぎも無いディーティーを前にしているせいか…

俺はその言葉を遮れない。


ディーティー「ハルが子供を産めない身体になったのってさ…実は、ダークチェイサーとの戦闘が原因じゃないんだよね」

何を言っているんだコイツは


ハル「お願い!止めて!!」

ハルまで何を言っている。何故否定しない?


レミ「………」

そして…レミまで口を閉ざし、沈黙を守っている。


いや、待ってくれ。何だこの反応…この空気は。


まさか………本当…なのか?

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