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都市伝説

作者: 奥野鷹弘
掲載日:2015/06/03

 朝露がさらりと野原に咲いた花を濡らす時期に、僕は深い眠りから目を醒ました。

 微かにまだ残るストレスに胸を痛めながら、黄ばんだ服を着替えて散歩へでた。


 ジメリとした空気の中、マイナスの嫌悪感を失くすようなイオンを少し感じて、何だか穏やかな気持ちをまとってみた。

 まだ静かなこの町のどこからか、ザワザワという騒がしいような気になるような音が耳に入り込んでくる。

ふと、動かした目先では鳴いているスズメが飛び込んできて、恐くなって焦点を遠くのほうに持ってた。


ここは山に囲まれた小さな田舎町。山をてっぺんから下に目を沿っていくと、胸の奥にしまいこんでいた宝箱が蓋を開けた。

「そうだ、川の音だっ!」

と思わず僕は叫んで、跳び跳ねた。まだ静かなこの町で、ザワザワと騒がしいこの音は、川の流れ音だと気が付いた。



 そう…その音は、田舎町に住む人の半分も知らないというウワサ都市伝説の一つ、『山談話』。


そのウワサ話をする人は、

 「朝散歩すると、その者は心を奪われてしまう。」

とだけ呟いて、本当は何なのか明かされてこなかった。

知らない人達は、「どうせ、この町の景色がいいからじゃろ。」とか「人口減少を留めるための、宣伝文句。」などと勝手な話が飛びかわしていたけど、これは決して言葉に表せる感動ものではないと気が付いた。

それはそれだけ僕らは自然と共有していながらも、自然という存在と供に、当たり前に生き支えられてきたという事だった。


 ここから距離にしてみれば、約1キロメートル先の川。

春先で川が増水して聞えてるだけかもしれないが、それにしたって考えてみれば、興奮このうえない。



 今さらながらだが、仕事を辞めていなければ自分を傷つけるだけ傷つけて、この素晴らしさを知ることはなかっただろう。でなければ、こんな早くから目を覚まして…ということも無かったに違わないのだから………

 


そうして僕は、少し聞き惚れたあと、また歩きだした。


ゆっくりと昇りくる太陽を、小さな公園のベンチから眺めることにした。何億光年の向こうから、太陽は僕を照らしてくれている。

例えばの話、太陽が今消滅しても僕は何も知らず家に帰るだろう。そしてのどを潤しているだろう。それはどうしてか…。それは、僕らが今観ている太陽の八分前の姿を見ているからだ。太陽が意思表示をしたすぐの姿を、僕らは見ている訳じゃないからだ。僕らに気持ちが届いた時には、八分という時間が過ぎているのだ。なんていう残酷な話なんだ…。太陽がないと生きられない僕たちにとって、最大の辛さだと思う………


では、眺めてからのこの8分…僕は幸福だと言い切れるのだろうか。逆に、今見ている太陽は8分前なのだ。そんな中で僕は生活しているのだ。もっともっと解りやすくいえば、そんな8分以上の前の悔しさや涙を抱えているのがバカらしくないのか。思い返すのも悪くはないが、もし今気持ちを切り替えて感謝の気持ちを改めて太陽に思っていても、その間8分間は太陽は苦しみ続けてるのかもしれない。その間に、もう二度と取り返しの付かないことになっているかもしれない。それだけ、想いというものは複雑なんだ…………


携帯などというものが加速して、想いなどがすぐ届くけど…何だろうかと考えた。云われてすぐ結果が出ないから。て、何だろうかと悩み苦しんだ。




 仕事を辞めてまだ一週間も経たないけど、まだ直ぐには仕事を探さないようにしようと芽生えていった。間違っているのかもしれない、子供なのかもしれない、わがままなのかも知れない。

でももう少し、生きるということについて考え直したいて悩み抜いた。





 「あっ、あとであの人に都市伝説を話したい。きっと、笑われてバカにされるんだろうけど。でも、あの人だからこそ伝えたいんだ。」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自然というか地方の朝、都心部にはない癒しを読んでいて感じました。 [一言] 作者様が自然が好きなんだという気持ちが感じられました
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