旅立ちの前日
じわじわお気に入り件数増えてきたのでストック追加投下。
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やはり一人称の方が分かりやすい分、伸びが良い?
ポイント評価してくださった方もありがとうございます。
あれから更に半年が経過した。
俺は毎日レベル上げに勤しみ今ではおそらくレベル25である。
実践経験ゼロだが。
あぁ遠隔操作でならヴォルスや魔物なんかも幾らかぶっ殺してるか。
魔力もかなり上がりゴーレムも2体同時作成可能にまでなった。
村の方はケインが村長としての才覚を発揮し復興も順調だ。
現在では木の柵の周りに堀が囲まれている。
村の近くは動物系の魔物が多いので、地面を掘って堀を作るだけでも効果がある。
水堀にしたいところだが川から水を引いてくるのは面倒なので空堀である。
俺がケインに助言したことだが、元ネタは適当に本や旅人の話しで聞いたと
はぐらかしておいた。
良いと思ったものを取り入れる姿勢はケインの長所だろう。
今もいざという時のために自警団を作るといって村の若い男達を集めて会合をしているところだ。
元からアイデアや村の未来の構想はあったのだろう、ヴォルスが死んで解き放たれた感はある。
たまに弱い魔物をゴーレムを使って囲い混み漁のように追い立てて村へと流したり、殺した魔物を村の近くに捨てたりしている。
動物系の魔物の肉は食料になるからな。
その都度村のやつらが魔物を見付けて倒したり、素材を剥いだりしている。
俺には怪しまれずに素材を捌くルートがないからな。
まぁあまりやり過ぎてもかえって怪しまれるので調節してだが村の発展のために流している。
それ以外の時は2体に増えたゴーレムは村道を避けるように左右の森の中を巡回させている。
今の俺の魔力ならゴーレム3体は無理だが2体作成(内一体遠隔操作)が限界か。
感覚での話しだが、遠隔操作にはゴーレム1体の150%~200%程の魔力を消費するようだ。
ゴーレムの遠隔操作を通して森に生息する色々な魔物を見てきた。
そのお陰で魔物に関する知識も増えゴーレムへの命令が【村の周辺を巡回しながら魔物を倒せ】という細かい命令でもミスなく実行出来ている。
命令の難度に関してはゴーレム作成者のレベルが関係あるのかもしれない。
村の経営も軌道に乗ったことだし、そろそろ街へ行こうと思う。
会合を終えたのかちょうど良いタイミングでケインが帰ってくる。
「兄さん、ちょっと時間いいかな?」
「どうしたんだアルスそんなかしこまって」
ケインが椅子に座るように促してくる。
「村を出ようと思うんだ」
「なんだって、アルス!」
ケインが椅子を飛ばして立ち上がる。
「落ち着いてよ、兄さん」
「……すまない、話を続けてくれ」
まだ若さが目立つな。
「俺は冒険者になりたいと思っているんだ」
「冒険者っておまえ……」
「俺は母さんみたいな冒険者になって困っている人達を助けたいんだ」
冒険者にはなるつもりだが、無論困っている人達を助けたいわけじゃないし母さんのように誰かのために死ぬ気はない。
「おまえの気持ちは分かる、だけど冒険者としてやっていく力なんてないだろ……」
ケインの問い掛けに椅子から立ち上がるとその場で近くにあった花瓶を手に取る。
花瓶を宙に向かって投げるとバク転してキャッチし、また宙に投げると今度は逆立ちして足の裏でキャッチする。
「どう?これくらい出来たら冒険者としてやっていく力あるかな?」
ケインはポカーンと口を開けている、まぁ無理もないな普通の弟だと思ってたら雑技団もビックリの腕だったんだから。
自動レベル上げで暇だった時間、体術に励んでみた結果がこれである。
まぁレベルによる身体能力の向上効果が大半だろう、俺が出来るということは同じレベル帯の冒険者なら皆出来るだろうし。
俺の体術は戦うというより逃げるためだからな。
「お……驚いたよ、アルスにそんなことが出来るなんて……」
「ずっと隠れて訓練してたんだ、冒険者になるために!」
どうだ、これなら断れまい。
ケインが何か考えている。
「……分かった、旅立つことは認める。だが定期的に連絡はするように」
「ありがとな、兄貴」
旅立つのも一苦労だな、別れに涙する弟の役は疲れる。
「で、いつ旅立つんだ?行き先は?」
気持ちを切り替えたのかケインが真面目な顔で聞いてくる。
「明日発つつもりだよ、行き先は一番近いアニーズの街かな」
「明日か……分かった準備しておく。」
何を準備するのか知らないがまぁ悪いことではないだろう。
アニーズの街までは街道を歩けば3日くらいだが、村から森を突っ切れば2日で着くし軽装で行くつもりだ。
金もないが必要なら街で稼ぐが持ってるやつから奪えばいいだろう。
そういえば、以前ヴォルス一行を殺したとき荷物に手をつけるのを忘れていたな。
まぁ村人は大木に吹っ飛ばされてミンチだし、ヴォルスはゴーレムに踏まれてペシャンコだったから回収は無理だったかもしれないが。
いくら俺でもミンチの中から金を捜したくはない。
とりあえず、話しは終わったので寝ることにする。
さて、明日はいよいよ街へ向けて出発だ。
ゴーレムは個人的にゴレムス(ドラ○エ)が好きで、作中に出てくるゴーレムはゴレムスのイメージでレンガ調ではなく少しゴツゴツしたゴレムスと思っていただけるとよいです。
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