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現状の把握とスキル

最速お気に入り一件ありがとうございます!!

とりあえず現状の把握が必要だろう。


ランドールの世界において俺の住むラダ村は小さな村らしい。


人口70人程で仕事は主に野菜や米など農業主体の村で余ったそれらを行商人に物々交換や買い取ってもらい外貨を得ている。


村の周りには申し訳程度の木の囲いがされてある。


ハッキリいって防衛力に関しては舐め過ぎだろう。


この世界には魔物がいるのだ。


魔物とは人間と長年争いを続けてきた異形のモノたちであり、見つかれば問答無用で襲い掛かってくる存在である。


記憶をさらってみたところ付近で見かけられる魔物は兎や猪といった動物系の魔物が中心で比較的弱い部類の魔物が多いようだが、それでも村人一人となら対等、もしくは凌駕する力を持っている。


それらへの対抗策が木の囲いだけなど冗談でしかない。


今までは元冒険者の母シルフィーヌがいたからそれでもどうにかなっていたのであろうが、今はもういない。


ましてや木の囲いですら所々破損しており防衛柵として機能していない、また魔物の襲撃のせいでこちらの男手にも死傷者がでている。


これでは人材と人数的にも防衛は益々キツくなるだろう。


更に肝心の村長はそのことに気付いているのいないのか、身内をわめき散らしているだけで問題に対処しようとしない無能である。


この村詰んだな。


兄であるケインはなんとかしようと打開策を探っているようだが、あのヴォルスが聞き入れる可能性は低いだろう。


どうみてもワンマン経営タイプである、しかもできの悪いというのが達が悪い……。


思い入れがあるわけではないがシルフィーヌも浮かばれないな。


とりあえず朝食をとって村の中の状況を見てまわる。


そういえば朝顔を洗っているときに鏡を見たが、アルスは中々良い顔立ちをしていた。


ケインのような甘いマスクとは違い、どちらかというと少女のような可愛い顔立ちをしていた。


この顔なら女受けもいいだろう、微笑んでやればいくらでも油断させられそうだ。


俺の能力についても重大な発見があった。


それがスキル【ゴーレムメイカー】だ。



スキルに関してはアルスがあまり知識を持っていなかったので、神から贈られしもの、希少なものということしか分からない。


ただ、俺が読んできた数々のファンタジー小説の知識から推測してスキルの有無・効果は物凄く重要である可能性が高い。


アルスがなんでスキルについて知らないのかと思ったら、どうやら母親が死んだときに得たスキルのようだ。


シルフィーヌ仕事したなGJ !!


早速スキルを試してみたいがこれがヴォルスにバレると何らかの制限をされる可能性がある。


ヴォルスのために身を粉にして働くなんて真っ平ごめんだ、シルフィーヌを死なせた無能になんて誰が使われるか。


なのでケインに母さんのお墓に参ってくるといって抜け出す。


墓は村の外れにあるので隠れてスキルを使うには良い場所だろう。


ついでに村の様子をうかがうが未だに復興には至っていない、まぁ村長がアレだしな。


先代が優秀だったみたいだから蓄えを切り崩してなんとかなってたんだな。


日本人の俺としては村がなくなると本籍を証明するものがなくなるのでちと不便かとは思う、今は積極的に村を潰すようなことはしないが戸籍はケインがいればどうにかなりそうなので、ヴォルスは邪魔かもしれない。


そんやことを考えながら墓の近くへと着く。


念のため更に少し奥へといく、深く林には入らないが護身用に台所からナイフを持ってきている。


辺りを見回して誰もいないのを確認してからスキルの実験に入る。






━━━━━━━━━━━━━━━━━




試行錯誤した結果ゴーレムメイカーのことを大体把握した。


ゴーレムメイカーはゴーレムと呼ばれる身長3mの巨大な人形を作成するスキルのことだ、ゴーレムはマスターの命令に絶対服従で動く半自立型である。


例えば【あの木を殴れ】という命令をすれば指定した木がなくなるまで殴り続ける。


また感情はないようだが知能はあるようでこちらの命令に対して多少アバウトでもキッチリこなしてくれる。


もしかしたら思考がリンクしていてこちらの命令がより詳しくわかるのかもしれないが喋れるわけではないので実際のところは分からない。


まぁ今のところはそれでよしとしておこう。


ここでゴーレムの性能について考えてみる。


作成には手っ取り早く地面の土を使用、身長3mでパワーは大木をパンチでへし折る程度、最大同時作成数は1体、装甲は岩より硬いようでゴーレムに自身の腹を殴らせてみたが10発程で亀裂が入り、15発で砕けた。


土を素材として作ったにしては硬すぎるので、何らかの効果で強化されているのだろう。


ゴーレムを作ると急激に体からナニかが抜け出ているような感覚があるので、恐らく魔力や気力といったものを消費してゴーレムを作成しているのだと思う。


そうなると魔力や気力などで装甲強化がされているのだろう。


あくまで仮定であるが。


無理矢理2体目を作ろうかとも思ったが物凄く悪寒が走ったので止めておいた、何かしら悪いことが起きる気がした。


こう考えるとこのスキルあまり強くないなと感じる……


たしかにスキルの効果で俺は一般人よりは強いだろう、ただ強いのはゴーレムであって俺自身ではない。


なので俺をターゲットにして攻撃もしくは使い手が俺だとバレるだけでも危険だ。


なにかしら身を守る手段をゴーレム以外で手に入れなくてはならない。


パッといくつか思い付いたがどれもほぼ無一文な俺では実行不可能なので保留としておくことにする。


ゴーレムメイカーについてはまだ色々調べる必要がありそうだ。


こんな村ではなんの手がかりもなさそうだが街に行けば何か掴めるかもしれない。


記憶によると街には図書館があるらしいからな、調べるならまずそこだろう。


あと、街の記憶のなかに冒険者ギルドというものがあった。


ファンタジー小説を読んだことがある人ならテンプレとも呼べるあの施設だ、あそこなら魔物を殺したり素材を売るだけで金が手に入る。


登録さえできれば村を離れても収入口を得られるので自立出来そうだ。


ヴォルスの所なんてサッサと出るに限る。


よし、今後の目標を家を出るための軍資金調達とゴーレムメイカーの研究とする。


あと、言い忘れたがこの世界にはレベルの概念があるらしくレベルが上がれば身体能力が強化されるそうだ。


なので当面の目標はゴーレムを使ってのレベル上げだろう。


そう決心すると作成しておいたゴーレムを森の中へと放つ。


レベル上げに実験も兼ねてだ。


命令は【攻撃されたら殺せ】


カウンター型にしてみた。


【魔物を探して殺せ】と迷ったが魔物の定義がまだ曖昧にしか分からない俺の命令では上手く機能しない場合を考慮してみた。


あまり細かく命令してもゴーレムが覚えられないのだ、現状このくらいの命令が限界だろう。


反撃対象を魔物に限定はしないがカウンターなら向こうから攻撃されて反撃という形なので問題ないだろう。



<ドスン>


森の奥から音が聞こえてくる、音の大きさからしてそこそこ距離が離れた場所からのようだが、恐らくゴーレムの初戦闘が行われたのであろう。


っと、そう考えてるとなぜか急に体が暖かくなる。


経験値か?それかレベルアップか。


何かは分からないが、悪いものではないだろう。


体を包み込んだ暖かさは心地よかった。


今のを経験値と仮定するならゴーレムメイカーのスキルもそこそこ便利かもしれない、なぜならゴーレムと俺が離れていても俺にも経験値が入るからだ。


これなら俺は森に入ることなくレベルを上げれるだろう、ただ素材などは入手できないが。


この実験成果は大きい、あとはどのくらい離れても経験値が入るかという距離の問題と森の奥の敵の強さの調査が必要か。


ゴーレムを森へと放して分かったことだがなんとなくゴーレムのいる方向が感覚で分かる気がする。


ゴーレムにはまっすぐ歩けと命令してある。


そのせいかとも思ったが不思議な感覚なのでおそらくスキルの効果だろう。


無論アバウト過ぎて距離の計測には使えないが。


とりあえずゴーレムに行ってもらってあとはする実験もないので村へと引き返す。


といっても見るものが特にない……


村の中をブラブラしていると雑貨屋が目についた。


行く宛もないので冷やかしに入ってみる。


この店が村で唯一の雑貨屋で日用品からちょっとした旅用の食糧や薬草など色々置いてある。


まぁそういうと聞こえはいいが実際は安物ばかりで品揃えも悪そうだ、村の雑貨屋なんてこんなもんだろうが。


「いらっしゃい。って……あぁ、村長さんとこの坊っちゃんか」


「こんにちは、アドバーグさん」


ニッコリ笑って挨拶してみる。


おそらく今後店をどうするか悩んでるんだろうな、この店はたいした被害はなかったようだが魔物の襲撃で村は半壊、商売相手が金持ってないんじゃ商売できないしな。


俺なら薬類を高めの値段で売りさばいてサッサと別の村にでも行くが。


「ねぇねぇ、アドバーグさんってずっとこの村でお店やってたの?」


「あぁ?そうだよ、私はこの村の生まれだからね。それも今回ばかりはね……」


む、どうやら今後のことについて悩んでいるようだが、天秤は廃業もしくは村を出る方に傾いている模様だ。


村を存続させるためにはアドバーグの雑貨屋は必要だろう。


「村の人たちが言ってたよ、アドバーグさんがいてくれて助かったって。」


「そ、そうかい?私なんかの店でもかな」


「父さんもアドバーグさんの雑貨屋があると助かるっていってたし、兄さんと何か対策するみたいだったから心配ないんじゃないかな?」


「そうか、ヴォルスさんがケイン君とね。それなら安心だろうね」


アドバーグがホッとした顔つきになっている、この分なら天秤の傾き具合も変わっただろう。


笑顔で別れをつげて店をでる。


辺りも暗くなってきたし家へと帰るか。


帰りながら考える。


ヴォルスの件を早急に片付けねばならないかもしれない。


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