ウルガ山・麓の村
やっと落ち着いてきました、お待たせしました。
今俺は奴隷三人を連れて山道を歩いている。
街を出て二日目だ。
今回はウルガ鉱山というところにある採掘現場の鉱山内の巡回とそこに住み着いた魔物の掃討が目的である。
街近郊でのクエストを中心に受けてきたが奴隷たちの経験のためにも少し遠出のものを受けてみたわけだ。
ウルガ山では、なんでも質の良い鉄鉱石が採れたらしい。
なぜ過去形かというとあらかた取り尽くされてもう閉山したのだとか。
まぁ閉山しているといっても管理はしなければいけないとかで、鉱山内に巣みつく弱い魔物なんかを定期的に掃討しなきゃいけないから掃除とついでに問題がないか色々見てこいってわけだ。
山の麓から鉱山入り口までは一本道で道は分かりやすいのだが山道なため舗装されているわけはなく、傾斜もあり結構しんどい。
最近は毎日街近郊での討伐クエストばかりでマンネリ化していたし、奴隷たちに遠出を経験させるのにいいかと思い報酬金額が良かったこのクエストを受けたものの馴れない山道の移動など中々キツいものである。
ちなみに今回は台車を用意してきている。
閉山されてはいるがもし何かしら見付けた場合、ある程度の採掘ないし採取が認められているからだ。
まぁそうそんなことはないとは思うが洞窟内の魔物の数もわからないし素材の回収もあるので用意だけはしてきている。
ちなみに現在台車を引いているのはもちろんゴーレムだ。
奴隷たちのレベルも30を越えており中級者程の戦力になってきたのでゴーレムも隠さず使用している。
ウルガ鉱山へと続くこの山道はあまり使われてないので人とすれ違うことも少なく、人目を気にしなくてよい。
まぁこんな山道、人力で台車なんか引いてられるかっていうのが最大の理由なのだが。
隊列でいえば奴隷三人、俺、ゴーレムの順番だ。
台車を引くゴーレムを見て、遠出用に馬車を買って馬の代わりにゴーレムに引かせるのもいいななんてぼんやり考える。
「アルス様もうすぐ村に着くかと思います」
地図を片手に奴隷が報告してくる。
今回のクエスト、依頼は街で受けたが途中に小さな村がありそこの村長に依頼の確認と報告が義務付けられている。
事前にギルドで村について聞いてみたがタヌコの話では特になんの特徴があるわけでもない小さな村らしいがな。
閉山された鉱山の村なんてそんなもんだろう、あぁ言ってる側から見えてきた。
村といえば村なんだろうが人口は極端に少なそうである。
見た限り建物が七つ、村の回りを木の柵が囲っているがそれだけ。
この風景、なんだか俺が住んでたあの村を思い出すな。
とりあえず俺は村長の家を探すかな。
奴隷たちの中から一人をお供に選び、残りの二人は宿の手配と必要品の調達補充を命じる。
ゴーレムと台車は村の入り口の脇に待機させてきた。
あんなもん村に入れるわけにもいかないからな。
各自解散し割り振られた仕事をこなす。
村長の家はすぐに見つかった。
「遠いところようこそおいでくださった、今回はよろしく頼みます」
「よろしくお願いします、さっそくですが仕事の話をしましょう」
白髪混じりの村長の挨拶を適当に返し仕事の話を進める。
村長から詳しい話を聞いた結果、採掘場の場所はこの村から一時間程行った場所にあるらしい。
そこから鉱山内に入れるらしい、内はある程度の広さがあり枝分かれしているところもあるが巡回には約二時間かかるということが分かった。
巡回に二時間なら魔物を掃除しながらということを想定して三時間といったところだろうか、鉱山内の地図も借りれたし問題ないだろう。
夕方前ではあるが到着する頃には夜になってしまうので、やはり予定通り一泊して早朝出発になりそうだ。
話を終えて村長宅を出ると宿の手配をさせた奴隷が玄関の前で待機していた。
「宿の手配が完了しました、ただ部屋が一部屋しかないそうで……」
「ん?俺は構わんが。それより買い出しに行かせた奴隷が遅いな少し見に行ってきてくれ」
「りょ、了解ですっ」
奴隷が足早に遠ざかっていく。
それなりに仕事はこなせるようになったがまだ手足のようにとはいかないな、まぁそこまで期待するのは酷か。
残りの奴隷を連れて宿へと向かう。
こんな村では夕飯に期待もできそうにないな、明日の準備をして早く寝るとしよう。
何もない村で静かな時間だけが過ぎていった。
次回鉱山クエスト突入!
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