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街・奴隷舘

お気に入りが3000人越えそうです、こんなにも多くの方に話を読んでもらえてるのかと思うと嬉しく思います。



武具屋を出たあと、オッサンに言われた店を探すため裏通りを歩いている。


裏通りといってもそこまで治安が悪いわけではないが人通りでいえばメインストリートよりは少ない。


歩きながらつい鎧ムカデのプロテクターを触ってしまう。


なんだか妙に触り心地がいいんだよなコレ。


周りから見えてれば鎧を撫で回す気色悪いやつだろうがマントの中なので例え見られても右手をモゾモゾさせているようにしか思われないだろう。


おっ、ここかな?


結構デカイ屋敷だな、さすが人身売買はどこの世界でも儲かってそうだ。


門に近寄ると門番がこちらを見てきた。


「ゲーマスの奴隷舘に御用でしょうか?」


鋭い目付きで筋骨粒々、結構強そうな門番だ。


「奴隷を売っていると聞いてやってきたのだが」


「購入希望のお客様ですね、屋敷の中へどうぞお進みください」


おぉ、中々躾の行き届いた門番だな、どこぞの糞門番とはえらい違いだ。


言われるがまま屋敷へと進む。


途中庭があったが綺麗に手入れされており、高そうな調度品も置いてある。


大きな扉の前に来ると扉が勝手に開いた。


「いらっしゃいませお客様」


どうやら中からこの男が開けたようだ。


接客が今まで利用したどこの店より凄いな。


内装もシンプルであるが嫌味にならない程度の調度品が置かれてあり、どこか上品さが漂っている。


「本日は奴隷の購入希望ということでよろしかったでしょうか?」


「あぁ、すぐ見ることは可能か?」


「お客様のご希望をお聞きし準備しますので少々お時間を頂きます。申し遅れました、私今回担当させてもらいますバトラと申します」


どうやら少し時間がかかるらしい、バトラに案内されて応接室へと案内される。


このバトラという男、相当出来るやつだと思う。


年齢は40〜50代だろうか、白髪混じりで執事服を着て先を歩いているのだが全く隙がない。


おそらくただの執事ではないだろう、年齢から考えても実訓練を相当こなした傭兵、もしくは元冒険者か何かだろう。


応接室へと通される。


その場で希望の奴隷について幾つかバトラに質問される。


嘘をいってもしょうがないので初めての利用であること、購入希望だが手持ちの金額がそんなに多くないことを正直に話した。


実際金なんてプロテクター買って全然残ってないのだが、そんなに多くないと言っておけば多少は金持ってると相手は勘違いするだろう。


バトラは俺の答えに頷くと色々な奴隷から何人か選んでくるといって部屋を出ていった。


途中メイドのような女が飲み物を持ってきた、飲んだ感じ多分紅茶みたいなものだろう。


暇だったので部屋のなかを観察していたが奥に鉄製の扉があった、避難用か?


10分程してバトラが帰ってきた。


バトラの合図と共に先程気になっていた応接室の奥の扉が開く。


ゾロゾロと奴隷らしき者達が入ってくる。


多分あの扉の先が奴隷の部屋か、運ぶための通路になっているのだろう。


バトラが奴隷達を4人づつに区切り俺の前に並ばせる。


「それではアルス様にご紹介させていただきます、右手から順に男女各2名づつで一般奴隷、戦奴隷、亜種奴隷となります」


俺の前に12名の奴隷が並んでいる、亜種奴隷以外は全員人間である。


亜種族は蜥蜴族の雄牝と鳥獣族の雄牝らしい、リザードマンとパーピィーといった方が俺には馴染み深い。


バトラの話によると戦闘能力の強さは戦奴隷≧亜種奴隷>>一般奴隷で、金額の高さでは戦奴隷>一般奴隷≧亜種奴隷らしい。


亜種族の奴隷が安い理由は人間に嫌われているのと言語の違いが原因のようだ。


今は表面上は迫害とかされていないらしいが根深いシコリはまだまだあるってことか。


何やら大昔の争いが原因で嫌われているらしいし、道理で街でもあまり亜種族の者を見掛けないわけだ。


亜種族だからと問答無用で捕まるわけではないらしいが人間とのいざこざで罪に問われれば分は悪いだろうな。


おっ、戦奴隷はいい面してるな。


俺を値踏みするかのような視線を送ってきやがる。


一般奴隷は覇気が感じられない、ヤル気なさすぎだろ。


ちなみに値段は一般奴隷で150〜200万、亜種奴隷で120〜150、戦奴隷に関しては技能とレベルによってピンキリらしい。


ただ戦奴隷が他より安いわけがないので最低でも200万以上はするのだろう。


ちなみにどの奴隷でも性奴隷として使ってOK な金額らしい。


現代の価値に比べたらかなり安い気がする。


軽すぎだろ命の価値。


「いかがでしょうかアルス様」


「実に良いですね、ところで年齢は大体25歳くらいが多いんですか?」


「いえ、今回は見本として成人の男女を連れてきましたが未成年や老体も揃えることは出来ます」


「やはり未成年や老体だと金額も安いのですか?」


「そうですね、老体だと労働力として成人に劣るので安くなります。また未成年は成人並みの労働力として育つまでに費用がかさみますので金額は安いですが結果としてかかる費用は成人とあまり変わりません」


料金は安いが使い捨てのジジババと半人前で餌代のかかる未成年か。


どっちも実物を見てみたがまぁそんなもんだろなという感じか、ジジババは売れ残ってるせいか目が死んでるし、未成年はガリガリだ。


見たいものは一通り見たし情報も手に入った、あとは撤収するだけだ。


そう思っていたら通路側の扉から男が入ってきた。


「これはこれは、本日は当奴隷舘へお越しいただき真に有り難うございます」


「はぁ、貴方は?」


「私、舘の主人でゲーマスと申します」


こいつがここのボスか、年齢は20代後半から30代前半で金髪サラサラヘアーを肩まで伸ばしたキツネ目の優男といった風貌か。


ここにいなければ街でナンパでもしてそうな感じだな。


「どうでしたか?今日は気になる奴隷はいらっしゃいましたか?」


「いや、皆良いとは思うのですが誰とは決められなかったのでまた後日うかがおうかと思いまして」


帰ろうかと思ってたのにマズいタイミングで来やがったな。


「そうでしたか、奴隷は消耗品でございますので吟味するよりは直感で選んでみるのもまた一興ですよ」


「いやいやそこまで私に稼ぎはありませんので」


なかなか帰らせてくれんな、もう強引に帰るか。


「ハッハッハッ、アルス様ほどの才能に恵まれた冒険者ならば奴隷の1人や2人買うのはわけないでしょう」


「…………私が冒険者という話はどこで?」


「……はてどこでしたかな?」


俺は一言も自分が冒険者だなんて言っていない、なのにこいつどうして判ったんだ。


服装からそう予測・判断したのか。


才能に恵まれたって部分も引っ掛かる……


お世辞か?


それとも俺のスキルのことを何か知っているのか。


以前、服屋のリリィに筋肉の付き方と手の平の状態から得物や職業を見破られそうになることはあったが、今回はマントをはおり手にはグローブもしてるので分からないはずだ。


何から判断し言ってきたのか、分からない。


分からないだけに油断は出来ない。


「おっとそんなに怖い顔をしないでください、降参します私は貴方に危害を加える気はありません」


信用できんな、頭の中で部屋の窓までの距離を測る。


2階だがこの体なら飛び降りても死にはしないだろう。


「早まらないでくださいよ、実は私他の方のスキルが見えるんですよ」


「なんだ……と?」


待て待て本当なのか?


単にハッタリなだけじゃないのか。


例え本当だとしてなぜそれを俺にバラす必要・メリットがないはずだ。


ゲーマスが歩きながらこちらに近付いてくる。


「なぜバラすか疑問でしょう、あぁご心配なくこの力は私のスキルによるもので私以外で持っている人にあったことはありません。」


俺の耳元へと近寄り小声でささやく。


「貴方のスキルは、ゴーレムメイカー……ですよね?」


「……質問の答えになっていない、なぜそんなことを俺にバラす必要がある?」


「信頼の証ですよ、パートナーに隠し事は良くないでしょう?」


「パートナーだと?どういう意味だ?」


「私が貴方をサポートします、貴方は貴方の好きなようにやってくれて構いません」


何を言ってるんだこいつは……


「……そんなことをして何の得があんたにあるんだ?」


「私の得ですか、ふむ……しいて言うなら興味でしょうか、貴方の目は凄く素敵だ。目を見た瞬間、善と悪が混ざり合って絶妙なバランスで成り立っている貴方の心が見えたのです」


「私は貴方を知りたい、貴方のやりたいことが知りたい、貴方がそのスキルを使ってやりたいことができるようにお手伝いしたいのです」


ゲーマスといったか、こいつは危険な気がする。


恐らく異常な部類に入るやつだろう、スキルがバレている可能性が高い上にあいつに目を付けられた以上、ここでの対処を間違えば後々大きな災いを招くかもしれない。


どうする今殺すか、2人を殺して屋敷に火を放てばどさくさに紛れて逃げることも可能だろう。


ただ危険だが扱えればそれだけ俺の力は一気に上がる。







「分かった、ゲーマスあんたの力を借りよう」


「おぉ!ありがとうございます、これから私達は同じ目標に向かって歩き続ける友人、いや親友ですね!!何か必要なものがあったら私に何でも仰ってくださいね」


「とりあえず離れろ、近い」


こうして俺にとって初めての親友が出来た、友人なんて一人もいなかった俺が全てを通り越して親友なるものを手に入れたのだ。




奴隷購入回を期待した皆さん申し訳ない、次回になります


前回皆さんに聞いた話数に関してなんですが完結を目標に最終回にキャラたちの感情や想いをより伝えることが出来るような話を一話完結や数話完結の閑話のような形で入れていきたいと思います。


各キャラの設定や主人公への感情などを盛り込んだ話ですね、これなら物語に直接の影響はなくとも物語を読む上でより感情移入できたりなぜそのキャラがこう思うのかなど分かりやすくなると思うので。


そういう感じであとは流れでお願いします(相撲


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