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ノスタルジア〜白猫に惑う律動、紅薔薇に捧ぐ輪舞曲〜(新版)  作者: 藤咲紫亜


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第39話 皇都ヴィオラの大門

 バイエルが皇都を発った後、ソリストは元老院の定例議会に出席した。

 

 定例議会は何日もかけて皇帝や貴族が意見を戦わせる。

 ソリストは今後も続く議場での闘いに備え、息を整えた。



   ☆☆☆



 シルキーは連日、白銀の髪をなびかせて皇都ヴィオラを駆け回り、朝から晩まで暴徒達を成敗していた。


 第二皇子邸で働く老執事は、屋敷からシルキーにせっせと握り飯を届けてくれた。おかげで闘い続けることができる。特に塩で味付けされた焼き魚が中に詰められている握り飯が美味しい。


 白の姫君の身のこなしの速さに誰もが圧倒された。

 皇都の街中で、細い腕で鮮やかに男達をのして回るシルキーの暴れっぷりは多くの帝国民達に目撃され、民達が抱いていた淑やかな『白の姫君』のイメージはガラガラと崩壊した。


 『白の姫君』が現れたら計画を変更して逃げろ———

 そんな言葉が暴徒達の合言葉になり、暴徒達の中に逃げ出す者達が出てきていた。


 『白の姫君』が来てくれたなら、もう大丈夫———

 皇都ヴィオラで平穏に暮らす人々は口々にそう言った。


 返り血をその身に浴びながら凛と戦場に咲く、白い戦乙女。

 

(この街を守らなければ)

 シルキーはただその一心で皇都のあちこちを飛び回り、扇や拳で敵を沈黙させていく。


(バイエル)

 皇都ヴィオラの唯一の出入り口はバイエルが配置した帝国軍が守っている。

 元々街の中に潜んでいた者達は、シルキーが見つけ次第倒している。そろそろ兵も尽きてきた頃だろう。


(どうして……?)

 そのはずなのに、今日は朝から敵兵が多く、シルキーは嫌な予感がした。

 暴徒ではない。兵装をした者達が市街地で暴れている。

 

 馬を走らせ、皇都の大門へと急ぐ。

 大門からヴェン・フェルージュ宮殿へ続く長い大通りのあちこちで、もうもうと黒い煙が上がっている。


 皇都内に配置された帝国軍の兵士が、敵兵と戦っている。

(大門が突破されたんだ!)

 シルキーは大門へと近付いた。


 帝国軍の兵士はまだ少し残っているが、防ぎきれず外から次々と敵兵が入る。

 大門の外には、ファゴットという街と皇都ヴィオラを繋ぐ巨大な一本道、クインテット通りがある。


 皇都ヴィオラは、樹海という巨大な森林に囲まれている。

 大門を完全に突破されてしまえば、シルキー達皇帝側にとっては、喉元に刃を突き立てられたような状況になる。


 シルキーは大門の横の城壁を慣れた手つきで登り始めた。

(……凹みがくっきりしてて登りやすい)

 壁の登り心地についうっとりしてしまう。


 樹海と皇都ヴィオラを分けるように街をぐるりと囲う城壁の上部には、見張りや弓兵が配置できるようになっている。


 軽々とそこまでたどり着いたシルキーは、倒れた弓兵達の間を縫うように移動して、大門の上までたどり着いた。


 ぎぃぃぃ、という不穏な音にシルキーが大門の外のクインテット通りに目を遣ると、遠くからギラリと光る黒い筒状の巨大な物が何台も手押し車に乗せられ、こちらに向かってきていた。


(………大砲だ)

 シルキーは皇都側を振り返った。

 大門から続く皇都ヴィオラの大通り。その先には。


———狙いは、ヴェン・フェルージュ宮殿!!!

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