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「小説家になろうラジオ大賞」シリーズ

母のお弁当

作者: しゅうらい
掲載日:2024/12/03

 ある日の夕食前、私はあることを母に頼んだ。

「お母さん、今週の土日の部活は、お弁当がいるから作ってほしいの」

「あら、急に言われてもねぇ」

 母が困るのは、当たり前だろう。

 ちなみに、今日は木曜日の夜である。

「なんで、もっと早く言わないの!」

「だって、言われたの今日だし……」

「うーん……もう、ある物で作るしかないわね」

「あっ、じゃぁバランスよく『魚・肉・野菜』が入ったのがいい!」

「えーっ!」

 私のリクエストに、母は嫌だと言わんばかりの声を上げた。

 そして、やってきた土曜日。

 私が起きてくると、母はもうお弁当を準備していた。

「ほら、これ持っていきなさい」

「ありがとう、お母さん!」

 それから、部活が終わり、お昼の時間になる。

 私は自分のお弁当を、机の上に出した。

 私のは二段重ねになっており、上がおかずで、下がご飯である。

 開けてみると、私は目を見開いた。

 おかずは、鮭の塩焼き・ほうれん草のおひたし・ハンバーグである。

「いや、『魚・肉・野菜』とは言ったけど……」

 これは、極端ではないか?

 私は苦笑して、上の段をどかした。

 だが、下の段には、なにもなかった。

「あれ、ご飯が無い?」

 まさかと思って、上の段の下を見ると……

「なんじゃこりゃ!」

 なんと、お弁当の形のままご飯がひっついていたのである。

 私は見なかったことにして、ゆっくり上の段を下ろす。

 母は、私がご飯をよく食べるので、ぎっちりつめたのだろう。

 まさか、それが原因になるとは。

 まぁ、少しゆすればとれたので安心した。

次の日のお昼、私は恐る恐るお弁当を開けた。

 そして、私は頭を抱えた。

 本日のおかずは、ブリの照り焼き・きんぴらごぼう・ミートボール三つ。

 母は、私のリクエストを、忠実に守っていたのだ。

「確かに言ったけどぉ……」

 これは、無茶を言った私への嫌がらせか。

 それとも、ただリクエストにそっているだけなのか。

「お母さんの考えがよめない……」

 しかし、お弁当はおいしかったので、問題はない。

 私は家に帰って、お弁当のことを聞いた。

 すると、母はこう答えたのである。

「言ったでしょ、家にある物で作るって」

 そして母は、鼻歌を歌いながら、キッチンへと戻っていった。

 今度は、ちゃんと自分で作ろう……

 私は、上機嫌の母を見ながら、そう思ったのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
ご飯つぶや、ふりかけはよくくっつきましたけど、ご飯全部はある意味すごい!w( *´艸`)<想像するとビックリ面白いですね♪ 種類は違えども、お弁当事情は皆さん同じみたいですねw、残さず食べることが感…
思っていたのとは違ったのでしょうけど、自分で作ろうと思える機会になったのも母の目論見だったのかな?と思いました。 読ませていただきありがとうございました。
お弁当のご飯が上蓋(※この場合は二段重ねの弁当箱の上段の底部になりますね)にそのままくっついている絵面は、想像すると面白いですね。 お母さんの「家にあるもの」という発言から察するに、弁当のおかずは朝食…
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