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色々なレバー

 八百万 

 

 今回は常連さんの中でも夜の部によく来てくれて、それでいて影響力のある人、特に食べ物の情報を良く発信してくれて、尚且つ信用度の高い人に集まってもらった。 

 

 まずはもちろんニーアさんと黄金のレオンさん、それとヒルデガルドさんに情報屋のトムソンさん、王都周辺の冒険者や貴族にも影響力のあるガウェインさんに集まってもらった。 

 

 「それで?俺達を集めて何しようってんだ?試食か?」 

 

 「それもあるかな?まずは味をみてもらいたいんだけど、その前に夜の部の話から、みなさん知っての通り夜の部には内臓メインの料理がでます。モツ煮にモツ焼き、ウナギの串焼きに焼き鳥、魚の兜煮に煮つけや刺身なんかですね。それ自体はいいんですが、レバ刺しやセンマイ刺しなどの様は動物や魚の肝といった部分や、八百万では魚の心臓、ハツに胃袋、エラに卵、珍しい所では浮袋まで丁寧に処理してあるんです。まぁハツ、胃、エラ、浮袋はこの際中々でなくても仕方ないとは思うんですが、レバ刺しやセンマイ刺しが中々商品として出ないのは結構な問題でして、しかもあちらの世界とは違い、僕の店では一切の危険なくレバ刺しやセンマイ刺しなどノーリスクで食べれるのに。しかも魔物によってレバーの味も大きく変わります。鶏レバーは白レバーもあれば、普通はフォアグラ化しないような鳥系のレアなフォアグラや牛系や豚系の羊に山羊、馬にアナグマ、クマなどのレアなレバーもあれば、更に個体によって鳥系でしかみられない、レバーのフォアグラ化なんて多分物凄くレアな食材なんかもあるんです。特に龍種のレバーの脂肪肝なんて、きっと王族でお金いくらでも出してでも食べないと思う人がいるくらいの激レア食材もあるんですが、まずレバーが出来ないんですよね・・・・・」 

 

 「それで、レバーの味を俺達に見てもらおうと?」 

 

 「そういう事ですね。エイやサメなんかのレバーもあるんですが、今回はまず動物のレバーの味をみてもらおうかな?」 

 

 「あたしはレバー好きだぞ!てか龍種のレバーがあるなんて聞いてたら、まっさきに食べたのに!?」 

 

 「龍種のレバーはただでさえ貴重だから、おいそれと出せないし、なんなら薬としても高価でしょ?だから黙ってたんだ」 

 

 「わたくしはレバーは実は苦手なんですけど・・・・・焼いたレバーもちろん食べた事ありますわ。でもあのねとっとして下にべったり張り付く感じと鉄分の香が苦手で・・・」 

 

 「う~ん、俺も特段に美味いもんだって記憶はないねぇ」 

 

 「俺もだ、ありゃぁ癖があるぜ」 

 

 ヒルデガルドさんとトムソンさん、ガウェインさんは焼きレバーは苦手の様子だ。 

 

 「ばっかだな、お前ら、焼きレバーと生の刺しのレバーじゃ、味も風味も全然ちがうんだぞ!?まず生レバーは全然臭くねぇ!血の香なんて一切しない!焼くと確かに身がしまってねとっとした感じになるが、生は違う!ザクザクサクサクとした食感にコリコリ感、ゴマ油と塩がこれまた合って美味いんだ!日本酒でも焼酎でも美味いし、ウォッカなんかもまた美味いんだよなぁ!ありょあ火酒との相性がいいから、ドワーフなんかの奴らはきっと大喜びで食べるぞ!斗真の旦那も人が悪いぜ!龍種のレバ刺しなんかあるなら、まずは俺に言ってくれればいいのによぉ!」 

 

 「今回はレオンさんの為に、地龍のレバ刺しと火竜のレバ刺しに、どっちもフォアグラ化して脂肪が乗ってるのも用意したよ。龍種のレバーはデカいから沢山とれるけど、超貴重だから常連さんだけの秘密のメニューだね」 

 

 そういうと滅茶苦茶嬉しそうにレオンさんがガッツポーズをする。 

 

 「じゃあまずはお馴染みの黄金牛のレバ刺しから味みてもらおうかな?」 

 

 トムソン 

 

 「あずき色が綺麗だが、血とわかるとやっぱりちょっと怖いな、どれ、もにゅもにゅ、ザクザクク!ん!おぉ!これか!ザクザクって奴は!確かに見た目と違って血の匂いなんて一切しねぇ!んでもってザクザクゴリゴリの食感が気持ちいいな!味も焼いた奴とはべつもんだ!こりゃぁ生なら食えるぞ!」 

 

 ヒルデガルド 

 

 「べっとりした感じがしないわ!どっちかっていうととろとろしてさらりとした軽やかさ!口の中で咀嚼しても、確かに大丈夫みたい!これは悪くないわね!」 

 

 ニーア 

 

 「うん!美味い!けどこれは流石に米!ってより、酒!って感じだな。確かに夜の部にはぴったりだ!」 

 

 ガウェイン 

 

 「ちょっと前まではってか、今でも内臓を食えない奴は多いが、この味を知らないのはもったいないぜ!」 

 

 レオン 

 

 「くうぅ相変わらずうめぇなぁ、んでもって酒を・・・・たっは~!日本酒がまたうめぇんだ!スルスル飲めちまう!すっきりして華やかで、味わってみると果物も風味まで感じる!へっへっへいくらでもいけるぜこりゃぁ」 

 

 「やっぱり味に問題はなさそうだね、次は地龍のレバ刺し食べてもらおうかな」 

 

 地龍のレバ刺し、これがまったく別物といっていいくらい美味い!ちなみに僕は焼いた普通のレバーは嫌いだ、美味しいとあまり思えない。 

 

 所が地龍のレバーは焼いても、べたつく感じもせず、血の香もしないまったくのレバーやフォアグラとは別物の味になるのだ。 

 

 どことなくハツや砂肝なんかに近い味がして、ニンニクやニラなどと痛めるとご飯が進む。 

 

 動物のレバーというより、魚のレバーや白子の様な感じでとろりとして美味い!天ぷらやフライでも滅茶苦茶濃厚で美味いと思う。 

 

 トムソン 

 

 「これが地龍のレバーか?フォアグラってのとはまた別物なんだろ?もゆもにゅもにゅ、おおおおおおしっとりとろとろなのにこりっとしてとろける食感と歯ごたえが絶妙だな!!脂っぽい感じもあるが、スルスルはいるな!こいつは上品だな!酒との相性もいい」 

 

 ヒルデガルド 

 

 「どこか高級なお肉の脂の感じもありつつ、上品で滑らか、舌の上で淡く溶けていく感じ、これは万人受けしますわ!権力者が龍種の肉や肝を求める理由も頷けますわね!」 

 

 ニーア 

 

 「ああ、だから龍族や高位龍種と人間の間で戦争が起きるくらい、龍は武器防具はもちろん食事に薬、美術品として未だに人気だからな、ダンジョンの知能なき龍や邪龍、悪龍なんかと最初は全部一緒にされてたけど、今じゃちゃんと区別されてるからなぁ」 

 

 ガウェイン 

 

 「神魔戦争に龍種と人族の龍人戦争、奴隷解放戦争や邪神討伐戦、でかい大戦だけでも結構あるからな。今なんか魔物とも取引や街に住む奴らもいるくらいだ。穏やかになったもんよ。それにしてもこりゃうめぇな!でも斗真の旦那!こりゃアーサーや王家に献上してもいい品だぜ!」 

 

 レオン 

 

 「くわぁ~好物が一つ増えちまった!しかもこってりしてんのに、全然胸焼けしないぞ?お前ら気づいてたか?薬ってだけあって妙に胃の中がすっきりと整理さえたみたいな感じになってるぞ!こりゃいくらでもくえる!」 

 

 地龍のレバーは流石薬と歌われただけあって、胃の調子を整え、消化を手伝い、更には体内の有害物質を体外に排出しようとしたり、体や腹回りの余計な脂肪、内臓脂肪を溶かす作用もあるみたいで、食べてすぐに効果があるわけでもないけど、便秘にもいいみたいだ。 

 

 天ぷらやクリームコロッケの様に俵型にして揚げてもいいし、刺しでも十分に美味い、アンキモみたいに蒸して寿司ネタにするのもありかもしれない。 

 

 量はそれなりにあるけど、こればっかりは常連さんとか特別なお客様の分しか確保できてない。 

 

 他の種類のレバーなら山ほどあるから、刺しでもなんでも夜の部でもっと沢山出る様に広めてもらえるとありがたいのだが。 

 

 そして今度あの理性が飛んでしまうほど美味かった、肉を店でだそうと考えていたのだが、ねね達からは大反対された。 

 

 あんなの出したら店がパニックになると、出すなら常連さんをあつめて出すべきと言われた。 

 

 たまにこうやって常連さんに味みてもらうのもいいな、その時に出そうかな? 

 

 相手は誰にしようか?

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