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十二星座団 レオのライオニア

 十二星座団 レオのライオニア 

 

 十二星座団というクランは黄道十二の星座の異名をもつ団長達をリーダーとした団体であり、黄道十二の通り、アリエス(羊)タウラス(牛)ジェミニ(双子)キャンサー(蟹)レオ(獅子)ヴァルゴ(乙女)ライブラ(天秤)スコーピオン(蠍)サジタリウス(いて)カプリコーン(山羊)アクエリアス(水瓶)ビスケス(魚)と十二の団長とその団長達をさらに束ねるユピテルを頂点とする団であり、八百万が店として活動を始めた次の日にはダンジョン遠征でダンジョンに出発していた冒険者達だ。 

 

 ギムレッドのライブラの異名もこの天秤の意味からきている、何事にも公平に誰が相手でも天秤の様に善悪をはかる事からライブラと言われている。 

 

 十二星座団の団長は少女達や女性で構成されている、孤児だった女の子達をニーアとクリスタが鍛え、一人前の戦士へと育てた。 

 

 団長は女性だが団員は来るもの拒まず、行き場に困った人間などを率先的に引き入れている慈善的団でもある。 

 

 団長の一人、レオのライオニアは帰ってくるこの日を夢にまで見ていた。 

 

 何故かって?八百万の飯が食いたいからだ! 

 

 ニーアねぇさんが何やらやたらと気に入ってた店、イールを食わせると言う事で大層驚いたが、食ってみて初めて分かる、人生初めての味!旨味!衝撃!しかも値段も手ごろ、そんな店が明日から開店する。 

 

 だけど十二星座団は明日から長期ダンジョン探索に突入する。 

 

 次に帰ってこれるのは一か月後か?二か月後か?そんな状況の中、八百万のイール、ウナギの味を知ってしまったライオニア、遠征で出される序盤の料理も街の料理と比べて悪くはない、なんなら現地の食材や魔物を捕まえて豪勢にすることだってできる。 

 

 キャラメル豚の丸焼きや花蜜牛のステーキなんかは大好物だ!うん!美味い!やっぱりダンジョンの肉は美味い!そう思いながら何故か心のにぽっかりと穴が開いてしまったかのような物足りなさを感じていた。 

 

 なんでだ?いつも通り食べた、満足もしている、それなのに何かが物足りない・・・・・。 

 

 ダンジョンの下層に行けば行くほど食材は美味く、また倒した魔物の肉は高級で美味くなっていく。 

 

 極上の地龍!バリアントサウルス!マッスルタウラス!金剛亀!クアトロラビット!どれも地上じゃ食えない超一流の肉!大金を払ってでも食いたい貴族王族が山ほどいる肉を純粋に塩と胡椒でシンプルに味わって食べる。 

 

 うん!やっぱり美味い!間違いなく極上だ!ダンジョンと言う命のやり取りは、あれど同時に食の楽園でもあるダンジョン、美味い! 

 

 美味いのに何故こんなにも心に風が吹くのだろうか? 

 

 こころの中で思い浮かぶのは八百万の店、そうあの店で食べた、貧民も食わないと言われていたイール!あれが美味かったんだ! 

 

 米もだ!米なんか家畜のえさだと思ってた!それがあんなにも美味かったなんて! 

 

 ほくほくに炊かれた米、むっちりとしてもちもちとして、それでいて独特の硬さがある。 

 

 その米にはタレがかかっていて、その上にイールの身がど~んと乗る、噛めば三層に分かれている歯ざわりの食感はまず皮をぱりっと突き破るとプルンとして脂の乗った身がまずはでてきて、その次にはしっとりさらさらとしているのに、繊維がしっかりとした身が現れる。 

 

 タレに存分につかった身はタレと身の旨味と脂の旨味と絡まりあい、じゅわっと口に広がっていく、それなのに身はしんなりサラサラと繊細だ。 

 

 そこに米!米の粒の立った食感が魚の解けた身と口の中で混ざり絡まりあうと、口の中には今までに味わった事のない表現の難しい味が再現されていく! 

 

 咀嚼し喉奥に運ぶ感覚がまた、食べ物を食べていると実感させられ満足感が高くなる、そして味噌汁を飲んで一息。 

 

 海藻の出しの効いた旨味と味噌の上品な塩味は程よく口を洗い流す、ああっいいなぁこれ。 

 

 八百万のあの味を思い出すと喉が鳴る! 

 

 一人抜け駆けして帰ってきたライオニアは八百万の店に入る!イールが食べたい! 

 

 「いらっしゃいませ~、今日はレインボートラウトのレアカツ定食だよ!イール?ウナギの日は今日じゃないよ?今日はレインボートラウトの日だよ!」 

 

 席に座るが、今日はイールは食べれないらしい、がっかりしながらもレインボートラウトの定食を待つ。 

 

 気分はすっかりイールだったんだけどなぁ、とやはりがっかりしていると、素早くレインボートラウトの定食が運ばれてきた。 

 

 米に漬物に味噌汁、カツと生の身がたくさんのった皿・・・・・・うぇまじか?これ生じゃないか?確かに色は綺麗だけどさぁ、周りをみるとみんな驚くどころか喜んでいる、生の魚をどうしているかとみると、黒いタレ、醬油と緑の薬味をつけて食べている、ぐぬう!その食べている顔がだらしない!なんて美味そうな顔しやがる!美味いのか?これ本当にうまいのか?? 

 

 食ってみればわかるか、卵の黄身を使った卵黄のソースにカツをつけて食う! 

 

 うん?なんだ?表面はしっかりと火がはいっている食感で中はサクサクと生の食感が残ってる!生でしか味わえない脂がじゅわりと口に広がる、甘味と濃厚な旨味のあぶらが卵黄のソースと妖艶に絡み合い美味い!これはめちゃくちゃうまいじゃんかよ!。 

 

 すかざず米を食う!やっぱりだ!米にあう!一体感が半端なく、口の中で一つになっていく!今度はからしなる黄色いのをつけて一口!うん!これも美味い!ちょっと辛みのあるがアクセントになって美味い!表面の衣のサクサク感と中の身の歯ごたえのサクっとした感触が二重に楽しい!イールだけじゃない!この店他の料理も滅茶苦茶美味い! 

 

 次に生のトラウトをタレをつけて食う!タレの塩味とトラウトの脂がまざりあって、とろとろの食感と味わいが口に広がる! 

 

 生だ!私は断然生のトラウトの方が好きだ!香りもなんだか上品でいいじゃないか!肉ばっかり食ってたけど、肉とは全然違う旨味!なんだろ?とろけるような味わいなんだよ。 

 

 舌の上で濃厚にとろける脂に魚独特の身の味と風味!こいつは絶対極上な奴だよ!しかも身の赤身が濃い所は脂もそこそこに魚の味わいがしっかりとしてる。 

 

 逆に白い差しがはいっている所は脂が濃厚で美味い!米ともあう!一切れずつじゃなく何切れかまとめて口にいれて、米を掻っ込むと、これがまた爆発したかのように美味い! 

 

 次はまたカツと卵黄のソース、うんうん美味い!生にもまけてない美味さだ、これは癖になる。 

 

 漬物と味噌汁で口を休めて、米はおかわりしちゃったぞ! 

 

 ダンジョンの外の料理は美味い店はどれも、あんまり気に入らない店ばっかりだったし、美味いには美味いけど、私の求めているものとは違って見えてた。 

 

 貴族の流儀も王族の食べる食材も、美味いけど、満たされるとは違う感じ、腹は膨れるけどこうじゃない、こうじゃないんだ。 

 

 ここの店!この八百万がドンピシャなんだ!欲望を解放するというか!本能を揺さぶるというか!もう美味いものを美味いがままに食い!そして満足する。 

 

 これが調理!これこそが料理!礼儀なんか関係なくかぶりつきたくなる様な本能を揺さぶる料理!心の穴を埋めてくれる料理! 

 

 求めていたはずのイールの心はどこか別の所にいき、レインボートラウトにすっかりこころを新たに掌握されてしまった。 

 

 調理されたサクサクのトラウトと、それとは別に原始的な生のトラウト、まるで過去と未来を同時に食べたかのような満足感、なんていい気持ちなんだ。 

 

 もうこのままここで寝てしまいたいと思う満足感をこらえて、集合する宿まで帰ると、研ぎ澄まされた神経が緩んだのか眠気が一気に溢れ出す。 

 

 みんなが来るまで、ひとまず心地よい眠りにつこう。

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