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ガンダルフ アーサー・フォン・ドラゴンの頭痛

 夜の部 今日の夜の部に来る人はラッキーな人だ、なんていっても地龍の内臓を、長ネギ、生姜で一度茹で、内容物や臭みを丁寧に抜き、二度ボイルして、串焼き用にカット、それをこの世界のイールを漬けては焼いて漬けては焼いて、内臓の旨味とウナギの旨味が溶け込んだタレで焼く! 

 

 こりこりの食感にぷるぷるの甘い脂!ピイイイイイイ!これはご飯案件です!米が食いたくなる!。 

 

 センマイ部分、ザックザクのこりっこりで歯ごたえよくて、ごま油と塩で食べてるけど美味い!最近はセンマイとハチノス、牛タンの薄切りを刺しで出す日もあるんだけど、地龍のタンもやばいくらい美味い!サクサクじゃなくてしゃくしゃくって感じで心地よい噛み応えに脂がジュっと出て来る! 

 

 レオンさんから丸々一頭もらったからハラミにサガリまでついてる!肉肉しい柔らかいお肉がタレに合って、改めて地龍の肉は美味いんだと実感する!ああっ米が!米が欲しいが!まだまだ味見する肉はある!サガリももちっとして肉の味豊かで美味い!メスだったらチチカブやコブクロなどもあったかもしれないけど、この個体にはないのでオスかな?。 

 

 そしてレバー、俺は実は焼いたレバーが食べれなかったりする、独特の臭みや血の匂いにねっとりと舌に残るのが苦手で駄目なんだ、だがレバ刺しなら食べれたりする、血の味が全然しなく、サクサクとして程よい肉の味で、生だと食べれるのだ、それにフォアグラ、これも大丈夫だったりする、フォアグラがレバーと知った時は驚いた、全然違う食べ物に感じたからだ。 

 

 神様の特殊な加護で、雑菌や寄生虫を除去できる魔法を授かっているから、レバーもレバ刺しで出せるのが大きい、きっと驚くだろうな。 

 

 「あぁ!お兄ちゃんだけずるい!それ地龍の内臓でしょ!!」 

 

 つまみ食いしてるのが、ばれてしまった。 

 

 「今日の夜ご飯は地龍のもつ焼きにご飯、万能ねぎと長芋のキムチ、タケノコと鳥マイタケとサトイモの煮物、ひじきとこんぶの小鉢、スープ、食べたかったら、レバ刺しやセンマイハチノスタン刺しもあるよ」 

 

 「美味そうじゃのぅ、どれ儂にも米をおくれ」 

 

 「「「・・・・・・・・・・・だれ?」」」 

 

 いつの間にか小さな爺さんが、横にいた。 

 

 「ここは飯屋じゃろ?儂にも食わせてくれ」 

 

 「夜の店はまだなんだけど、まぁ一人増えるくらいいいか」 

 

 「お爺ちゃんお名前は?」 

 

 「儂か?儂はガンダルフ、魔道具と鍛治を仕事にしとるもんじゃ、最近ここいらに越してきての」 

 

 「へぇ~そうなんだ、あっ鍛治を仕事にしてるなら包丁なんかあつかってないですか?この間地龍を捌いたんですけど、硬くて硬くて、包丁もボロボロになって大変だったんだ」 

 

 「飯を食った後ならやらん事もないぞ」 

 

 「じゃあご飯食べたら見せてもらおうかな?爺ちゃん店の飯じゃなくて、いつも俺達が食べる様なご飯だけどいいのかな?」 

 

 「かまわんかまわん!それにこれ地龍の内臓じゃろ?肉は食った事があるが、内臓は初めてじゃ、楽しみじゃのぅ」 

 

 「じゃあ食べようか」 

 

 「「「いただきます」」」 

 

 うっは!やっぱり米と良く合うなぁ!美味い!! 

 

 「地龍のもつ焼き美味しい!!お米と良く合うね!もっと硬いかと思ったけど丁度いいかも!」 

 

 「甘い脂がじゅわっと出てタレと絡んで、お米が美味しいです!長芋のキムチも美味しい!これ今度お店で出してもいいと思います!」 

 

 「ひじきと煮物も美味しい!タケノコが特に好きだなぁ」 

 

 「今度、タケノコの炊き込みご飯作ろうか?ストックもまだあるし」 

 

 「本当!?やったぁああ!」 

 

 「爺ちゃんはご飯どう?」 

 

 「美味い!!地龍の内臓はこんなにも美味いとは!!」 

 

 「レバ刺しとかもあるよ」 

 

 「これは生じゃないかの?」 

 

 「うん、新鮮なら生でも美味しいんだよ、俺は女神様に腹痛や病気になる物を寄せ付けない魔法をもらってるから安心して食べれるんだ、センマイにハチノス、タンは一度ボイルしてあるし大丈夫だよ、安心して」 

 

 「そんな魔法があるとは、お主神様に相当好かれとるのぅ、どれ・・・・・うん!これは美味いな!!だがこれは米より酒じゃないか?」 

 

 「やっぱりそうだよね、米のおかずより酒の肴って感じだね。爺さんお酒飲む?」 

 

 「もらえるのか!?それなら頂きたいのぅ」 

 

 「もらいもんの米焼酎、吟香鳥飼美味しいんだって」 

 

 「うぉ!香がいいのぅ!どれ!んぐっ!おお!美味い!これはいい酒じゃ!!」 

 

 喜んでくれているみたいだ、酒の味はわからないし、飲めないんだけど、相手方のご厚意でおすすめのお酒をいただく事がある、美味しい状態で管理するのが大変だったけど、アイテムボックスがある様になってからは、劣化もしなくなりかなり助かってる。 

 

 「このもつ焼きのタレは米にあうし酒にもあうのぅ」 

 

 「これだけでご飯何杯でも食べれちゃう!!」 

 

 「おかずがこんなに沢山なんて贅沢です!お兄ちゃん大変なら無理しなくてもいいんだよ」 

 

 「無理してないから大丈夫、二人ともしっかり食べてくれるから作ってて嬉しいし、サラダなんかもちゃんと食べてくれるから、作り甲斐あるよ」 

 

 「ふむっどれお前さんには儂の打った包丁をやろう、よく切れるので気をつけて使う事じゃ」 

 

 綺麗な色の出刃に柳葉、ペティナイフに中華包丁、ぱっと見でもお高いのがわかる。 

 

 「それにこれもやろう、神刀 八神」 

 

 「これって日本刀?」 

 

 「やはりわかるか・・・・・・これはお前さんのものじゃ使うもよし飾るも良し、金に困ったら売るのもいいだろう。好きに使うがいい」 

 

 「否こんな高そうなものもらえないですよ。ただでさえ日本刀って高いのに、包丁も凄い高そうだし」 

 

 「何、これからも暇さえあれば飯を食いにくるでの、飯代にしといてくれ」 

 

 「それでも貰いすぎな気がする・・・・・」 

 

 「お前さんは儂の知り合いに似とるが、あやつと違って謙虚じゃのぅ、何儂がお前さんを気に入っただけじゃ、その刀飾るのなら店に飾った方が、商売繁盛してええ縁に恵まれる事じゃろうて」 

 

 そう言うと爺ちゃんは帰っていった、立派な日本刀をもらってしまったが、俺に剣を振る技術や力などないので、店の神棚にどどんと飾っている、う~んどこか神々しい、拝みがいがあっていいかもしれない、高そうだけど。

 

  -アーサー・フォン・ドラゴンー 

 

 最近何かと私の領地が騒がれている、だがそんなのは慣れっこだ、ただでさえSSS級の冒険者が住みやすさを重視して住み着いているのだ、それが気に入らない馬鹿な下級貴族が、虎を刺激する様にねずみを送り込む事など跡を絶たない、馬鹿だから相手がどれだけ強大で気まぐれで残酷で冷徹なのか測れないのだ、自分は尊い貴族と言う青い血を引いていて、力ある冒険者ですら自分達の前では跪かなきゃいけないと本気で思っている、超ド級の馬鹿共をわからせるためにも力も金も必要になってくる、頭が痛い事だ。 

 

 その頭痛の種の一人、ライブラのギムレッドから招待状が届いた、今は亡き邪神討伐戦の英雄の娘達が宿を開業させる為、一番最初の客として、ぜひ僕に街まできてほしいと、久々に嬉しい報告だ!あの英雄ガロの娘達、まだ幼いはずだが無事に両親の悲願である宿を開業できたのかと、安心した。 

 

 これは急ぎ街までいって大々的に祝わなければいけない!そう思った矢先に、ラウンズに王命が下り、王都に待機して厳戒態勢をとれと言われたのだ、神からの神託により異なる世界からの客に備えよとの命令だ、まさかこんな時に稀人が現れるとは、我が祖父が尊敬してやまなかった稀人、私は会う事は叶わなかったが、彼の話は沢山お爺様から聞いた、わくわくするような夢物語を沢山聞き、稀人が作る故郷の料理でパーティーを開き、お爺様にとっては彼との一時はまさに黄金の時だったと言う。 

 

 私自身強く憧れ、そんな黄金の時を共に過ごす友が出来ないかと強く焦がれたものだ。 

 

 そしてもう一つ情報が入った、英雄の娘達に保護者なる人物がいつの間にか出来ていると聞いた、何かの聞き間違いかとも思ったが、何やら妙に懐いているとか、SSS級の同朋じゃないのかと確認するも、急に街はずれに料理屋を開き、その店の手伝いを娘達はしていると聞く。 

 

 うん?宿を開くのではなかったのか?どうにもSSS級の冒険者達の差し金の様で、鮮血姫がその八意斗真なる人物を聖堂教会から聖人認定して、これを教会本国が正式に許可、最善の注意を払う様にとのお達しだと、英雄の娘達に急に現れた聖人が保護者をやっている?これはどういう事だ?教会が英雄の娘達を教会側に引き込みたいが為の策略か?私はラウンズより太陽の英雄の加護をもつ騎士、ガウェインを調査に向かわせた。 

 

 それから数日、王都からそう離れている訳でもないのに、ガウェインから来た情報は一つだけ、宿はギムレッドが管理していて、その全貌を掴む事は不可能、その姉妹が働くレストラン、八百万を調査すると手紙が届き、以降音信不通だ。 

 

 少なくともそのレストランにSSS級冒険者が絡んでいる事は確実で、そこの店主は聖堂教会本国が認める聖人であり、英雄の娘達が懐いていると言う・・・・・・頭が痛くなってくる。 

 

 ガウェインは一体何をやっているのだ!俺が差し向けたのは、ただの情報収集の者ではない!騎士ガウェインだぞ!?万が一にもSSS級と戦闘になっても逃げるくらいは出来るはずだ!・・・・・多分・・・・・・確信はないが、それにしても話し合いの出来る相手なのだから、情報位いくらでも送れるはずだ!まさかそのレストランが美味いから任務をそっちのけでレストランに入り浸っているわけではあるまいな!。 

 

 他の影の話では、グラナダファミリアのリナリア嬢とレストラン八百万の入店する列で談笑していたと聞く、ガウェインと共に店を出ると、グラナダ嬢は大きな声で「楽しくなってきた」と大喜びでダンジョンに潜ったという話だ。 

 

 そしてガウェインも魔物繁殖地帯、デットフォレストで影がロストしている。 

 

 頭が痛くなる、腹だたしくて頭が痛くなる!!! 

 

 他のラウンズは全員隊を率いて、稀人の捜索に動いている。 

 

 王命に背く事になるが、私が動くか?一応国王陛下には私自身が動く事を伝えているのだが、お爺様の伝説の友、私の憧れでもある稀人殿を一刻も早く見つけなければいけない、それと同じくらい邪神討伐戦の英雄の娘達の事はないがしろには出来ない、英雄達が残した大切な娘達、もっと早く強引でも私の元に引き取るべきだったか、SSSランクの前では彼女達の意向を無視する事は出来ない。 

 

 なんという悩ましい状況なのだ!!! 

 

 「失礼いたします」 

 

 悩み考えていたら、ノックの音すら耳に入らないくらい頭に血が上っていたか、これは良くない。 

 

 「何があった?」 

 

 「ガウェイン様がお帰りになられました」 

 

 「何!?すぐに来いと伝えろ!!」 

 

 やれやれ頭痛の種は一つ減ったか・・・・まさかこれ以上問題を抱えて帰ってきたわけではあるまい。 

 

 「おうよ!帰ったぜ!」 

 

 「この馬鹿者!貴様!今まで一体どこで何をしていた!!!八百万なるレストランの店主の情報と娘達の情報を伝えればそれでいいものを!まっすぐ帰ってくるかと思えば、デットフォレストで何をしていた!!」 

 

 「なんだよ、そう怒るな!まぁまぁ今から面白い話を囀ってやるから、機嫌直せ。そうさな、まず八百万で働く英雄の娘達は、自分から望んで働いている、それはもう楽しそうにな、ちょっと前まで死にそうなくらい、飯も食わなかった子供達が、八百万の店主と出会った事で、希望に満ち溢れているかのように元気になった。聖人認定の話も聞いたが、確かに纏っている神気が聖女以上だ、あれが戦闘に使われると思うと、正直ゾッとするね、だが当の本人は武術の武の字も知らないド素人に加えて、笑っちまうぐらいのお人よしときたもんだ、ありゃSSSの奴らが守ってやりたくなるのもわかるってもんよ」 

 

 「ふむ、じゃあ姉妹を救ったのは心の底からの善人か、何処の者とも知れぬと言われているが、教会関係者か?」 

 

 「否、ここからが問題だ、その聖人認定された店の店主はな、なんと俺達が探してた稀人だったのよ」 

 

 アーサーが勢いよく席を立つ。 

 

 「本当か!?冗談ではすまされないぞ!!!」 

 

 「まず間違いない、神力の件も神から加護をもらってるって言うのもマジだな、それに料理、明らかにこの世界の料理人にはない発想から飛び出る料理、それこそお前さんが夢にまで見た「寿司」なる料理を作れる事が、お前の爺さんとあった稀人と同郷だって証拠だわな」 

 

 アーサーが指を鳴らすと、黒装束が何人か出て来る。 

 

 「騎士団に稀人捜索は終了したと伝えろ!以降は通常任務に戻る様に!俺は急ぎ陛下に謁見し次第、我が領地ウェールズまで最短で急行する!!!ガウェイン貴様はどうする!?」 

 

 「へへっそういうと思ってよ!ちょちょっと獲物狩ってきたって訳よ、お前の好物のキングサファイアシュリンプも大量に手に入れてきたからよ!美味く調理してもらおうぜ!」 

 

 ついに領主である、アーサーと八百万の店主斗真が会合する事になる

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