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冒険者ギルド受付嬢ラーナ 感動と感涙の海鮮弁当

 冒険者ギルド  

 

 受付嬢 ラーナ 

 

 ギルドに詰めっぱなしの職員は、八百万の特性弁当が食べられる。 

 

 商業ギルドの職員も冒険者ギルドの職員も、八百万まで仕事でいけない日は皆弁当を注文するのだが、この弁当、職員の間で非常に人気が高い。 

 

 八百万で出すランチと違って、斗真の気分で弁当の中身が決められているのである。 

 

 そして流石は異世界の住人、事務仕事でカロリーなんて消費しないだろうなんて考えるが、ここはやはり異世界、座りっぱなしでも地球の人間よりも沢山食べ、カロリーを取り過ぎたと思えば魔力消費で調整するので、事務仕事だろうがスタイルのいい人や筋肉質の人が多い。 

 

 そんな大食いの人も満足させる八百万特製弁当、今日は海鮮弁当。 

 

 ギルドに八百万の弁当が、マジックボックスに届けられる。 

 

 今日はなんだ!?と駆け込むように様子を見に来る職員たち、みんなでのぞき込めば、喜びの喝采が沸き上がった。 

 

 「うぉぉぉ!海鮮弁当だ!」 

 

 その雄たけびにギルドで管を巻いている冒険者や酒、軽食で場を凌ごうとしている冒険者は一斉に視線を雄たけびの方へ向ける。 

 

 「マジ!?ギルド職員今日海鮮弁当かよ!?」

 

 「八百万でもまだ一回??だよな?二回は食ってねぇはずだ!生の魚だぜ!?弁当にだせるもんなのかよ!」 

 

 「ううぅぅぅぅみてぇみてぇみてぇ、どんな弁当なのかみるだけでもみてぇ」 

 

 職員たちは自分の分を確保すると、自分の席にあっというまに戻り食事を始める。 

 

 受付嬢 ラーナ 

 

 ラーナの前には窓口の前には冒険者が群がっていた。 

 

 他の職員には怒られるから近づかないが、ラーナならまぁ見る分にはどうぞ、といった感じだから皆ラーナの窓口に集まり弁当を見学する。 

 

 八百万特注の緑茶も準備して、ガリもしっかり置いておく、醬油も海鮮用の醬油にワサビもある。 

 

 そして満を持して弁当を開けると!!?? 

 

 美しい魚介たちが顔を出す。 

 

 もう明らかに見た目が美味いマグロの大トロ、程よく芸術的なピンクに白い差しが入った中トロ、良質な事が伺える肉質の赤身、こってり脂の多いトロサーモンに赤身の方が多く味の凝縮された赤身サーモン、キラキラと綺麗なブリトロに大粒のホタテ事、シェルジュエルがごろごろと入っている。 

 

 まだまだある!イカこと海のスケルトンデビルの身と、ウニも豪華にちらされて、卵は糸状に、キングサファイアシュリンプのでっかい身がボンボンと二本!酢飯の上にはとびっこも贅沢に敷き詰められ、その切り身たちの上にはごっそりと、いくらがぶわわわわっとかけられている。 

 

 そして最後にはほぐしたカニの身と刻みのりがちらされて、豪華絢爛の見た目を煌々とはなっている。 

 

 「おいおいおいおい!?!?なんじゃこりゃぁ!」 

 

 「ばかやろう!?こんなもん八百万でも見た事がねぇ!」 

 

 「どうなってんだよ!!ギルド職員!毎回お前らの弁当、八百万の定食より豪華じゃねぇか!?」 

 

 「おれか!?おれがまちがってんのか!?」 

 

 職員と冒険者をさえぎる、透明なガラス板に冒険者達はへばりついてラーナの弁当を凝視する。 

 

 こんなにも見られているのに、そんなもんどこ吹く風の如くにラーナは食事を勧める。 

 

 醬油をまわしかけたら、まずは赤身から!ぐいっと一掴み箸で掴むと、嫌でもついてくる卵にとびっこ、いくらとカニ、もうこの一掴みが美しい。 

 

 がぶりといくと、むっちむちとしたしっかりした赤身の噛み応えに旨味!花を彩るが如くに卵、海苔、とびっこ、いくら、カニ、赤身!!!赤身だけでも強い強烈な旨味なのについてくる付属品たちがより一層豪華に彩る!一口サイズの花束みたい舌に咲き誇る。 

 

 酢飯もただの酢飯じゃない!茶色?いや?赤?赤酢飯!この酢飯がもの凄く心地が良く、米の快感度を高めている! 

 

 そりゃこんなもん一口口にすれば、下品な笑顔も飛び出すもんよ!と言わんばかりに笑いが止まらない。 

 

 職員の他のブースからも「ひひっ」とか「あっはっはあ!」とか笑い声が我慢できずに漏れている奴が何人かいる。 

 

 各いう私も、咀嚼しながら小刻みに揺れる!おおぅ・・・・・・・快感フレーズ・・・・・・・・。 

 

 そのとろける顔に冒険者達は目が離せず、どんだけうめぇんだよ!!!と叫び声があがる。 

 

 「なんでだぁ!なんでこんな日にギルドに詰めとかなきゃいけねぇんだ!!」 

 

 「だぁ!俺もだ!せめて八百万にいきてぇ!!!」 

 

 「ああっなんて日に伝令係になったんだ、俺は」 

 

 人員が豊かなクランなどでは、緊急で何かあった時の為にギルド番をしている冒険者達が結構いる。 

 

 より細かな情報を持ち帰った方が、クランの為になる事多いので、伝令の宝珠だけではなく、こんな古臭い人員配置というのも馬鹿に出来ないのである。 

 

 恐らくこの冒険者達の悲劇的な叫び声は、商業ギルドでも繰り広げられている事だと思う。 

 

 商人たちもいる分、あっちの方が悲鳴が多そうだ。 

 

 サーモンも赤身が強いサーモンがあれば、脂のこってりサーモンもまた上品で美味い!ぶりんぶりんのザクザク食感のホタテを口いっぱいに頬張る嬉しさ!甘く!噛み応えも快感で美味すぎる!!! 

 

 中トロも大トロも脂がきつくて苦手なんて人もいるが、それは地球での話、異世界では脂で気持ち悪くなるなんて事がないから最初から最後まで上品な脂を美味しく楽しめる! 

 

 こりっこりのイカが美味しすぎる!ほたて、また違う甘さ!ねっとり感!同じ様な感じをしていてちょっとの差でこうも甘味も旨味も変わってくるのだから!味覚の世界とはなんて緻密、きめ細やかな世界なのか!?味わいがちょっと違うだけで全然別世界の別次元のベクトルの美味さを生み出す! 

 

 ブリトロ!魚なのに食感が一噛み事にサクっ!サククっ!として、やはり独特の甘味があるのに、全然他とは違う甘味!塩味でもおもったが、魚介一つ一つにそれぞれの違った脂の乗り方、味、甘味、風味、なんかが存在している。 

 

 それを舌で味わい分ける事ができるのだから、舌って本当に凄い! 

 

 鯛やスズキなんかのさっぱり系の身が顔をだし、トロ系の魚とは全然違うさっぱりとした味わいに、凝縮された身の味が己の身の濃さを表現する! 

 

 魚を生で食べる!これは一見原始的にみえるが、もしかして至高の食べ方の一つと数えてもいいのでは??? 

 

 食べるのも終盤になり、別についてきた二つのおにぎり?寿司?に目をやると、一つは鴨肉の炙り押しずし!!! 

 

 きゅわわわ~~ん!!!魚の脂とはまた全然違う!鳥のどうぶつ性の油!しかも鴨の分厚い脂の甘味と肉のしっとりコントラスト!クセのある鴨肉!このクセが実はいいのだ! 

 

 ジビエ系とかジンギスカンの羊とかクセがなくて食べやすい!なんていうが、全然違うのだ!クセとはある意味でその動物だけが独自にもつ風味の事なのだ! 

 

 クセがない肉なんて、どれも同じもんを食ってるとかどれかどれだけわからないって言っている様なもんで、鹿には鹿の羊には羊の!猪には猪の独特の風味が属に言うクセってやつなのだ! 

 

 また臭みとクセは全然別物なのだ!一緒にしてはい神崎なのだ!!! 

 

 ラム肉にはラム肉の風味がある様に、鴨には鴨独特の風味、香り、味わいがある!この独特のクセが旨味を放って酢飯と調和しがっしりと私を離さない!!まさにフィーバー状態の鴨葱状態なのだ! 

 

 快感の波を味わいつくす!冒険者の前で優越感に浸り、ラーナの一人食事ライブショー、最後にはおにぎりがころり。 

 

 小さめの茶碗に、おにぎりを乗せ、お湯をかけると、ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぐぐあわああああああああああああああ!!!!!!なんて香り高い、いい香り! 

 

 ギルド全体に豊かな香りが果樹界降誕の如く全体に広がる! 

 

 こここ!これは!アワビの肝と調味料たちの香!肝のお茶ずけ!!!お湯で濃さを調整して、自分好みに仕上げれば!ずずっと掻っ込む! 

 

 CRアワビの肝の茶ずけ!!!きゅぃんきゅぃんきゅぃんと脳汁が出る音が脳内に響き渡る!なぁにぃ!いいいいいい今までの海鮮達は前座だったのか!!??いいいいいいいいいいいなあああああああああああああああ!たぁしかにぃ!確かにぃいぃぃ絶妙な美味さの海鮮弁当だったはず!ぬかりなど何一つなく!満足度の高い!高貴な味だったはず! 

 

 なのにだ!この肝の茶ずけ!これが最後の円を閉じる、その最後の瞬間の如し!濃厚なコスモの煌めき!まさに小宇宙!!! 

 

 口、鼻腔、胃でビックバンが起こったかのような旨味と感激!感涙の感情!コース料理の様に物語る最後の最後の最後の終焉での最後の煌めき! 

 

 迸る一瞬の生命!ほわわわんわんわんわー・・・・・・・・・・ヒックヒックヒック・・・・・なんてなんて美味しいんだろう。 

 

 ギルド全体から聞こえる、ホラーの様なすすり泣き。 

 

 八百万の今日の定食とは別に、今日の八百万の弁当は泣くほど美味かったらしいと言う話が、冒険者ギルドと商業ギルドからあふれ出し。 

 

 近くに住む近隣住民からは怖いと言う苦情が入った。

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