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のり弁!商業ギルドのフィリア

 八百万 

 

 最初の頃こそ人手不足で商業ギルドから人員を借りて行っていた大量の仕込み、休日を返上しての料理を大量にアイテムボックスにストックする事によって調理時間の短縮をはかっていたが、いただいた超貴重な魔道具により、様々な料理の簡略化、時間の短縮が可能になり、大量の仕込みも簡単にすませることができるようになった。 

 

 他にも煮込みなどの長時間の出汁の抽出の簡略化などは非常に便利で、様々なラーメンや煮込み料理に簡単に挑戦する事が出来るようになるなど、時間的に余裕がもてるようになった。 

 

 前よりも店の拡張を行い、ちょっと広めの店から、お座敷に団体さんなどを受け入れる畳の部屋が出来、お客さんが多い時は番号札を配布してとりにきてもらうシステムに変更。 

 

 ねねとリリもかなり楽になった。 

 

 お酒を熟成させる魔道具までもらってしまったのだが、ここで問題が一つ、日本では違法になってしまうのではないか?という疑問だ。 

 

 扉のスイッチ一つで、異世界か日本かを選べるこの家、異世界で作り、日本には持ち込まなかったらセーフだと思うのだが、正直怖くて仕方がなかった。 

 

 最初こそ梅酒の様に異世界の果物と氷砂糖とホワイトリカーで漬けるだけのちゃんとした合法の元作っていたのだが、熟成したお酒を造れる魔道具、材料と水だけであっという間に数十年、数百年寝かせた名酒が作成できてしまうという、まさにぶっ壊れ魔道具、例えばここに安価に買った泡盛を並々といれて熟成させてみよう。 

 

 あら不思議、名酒も名酒、古酒の出来上がりでございます。 

 

 古酒とは泡盛を何十年、凄い物では100年は寝かせた物であり、十年単位でその味わいは深く広く変わり、まさに沖縄の宝、嫌、日本の宝と言っていい程超貴重で簡単言えばお金でどうこうできる代物ではない、まさに名酒なのである。 

 

 ブランデーの山崎、響、知多、白洲、竹鶴、などは非常に美味でこれらの年代物、山崎50年などは一生に一度は飲んでみたいと言わしめる程のお酒である。 

 

 日本には持ち込む事すら出来ないが、異世界であるならセーフと言う事で八意斗真は禁断の領域に踏み込んでしまった。 

 

 これらの名酒を寝かせて、超高級酒を少しだけ作成してしまったのだ。 

 

 本来なら樽の中で50年100年と寝かせ、今生きている現代人は飲みたくても飲めない、金をいくら払っても物理的に出来るはずがない酒の創造、だれしもに流れている時と言う概念を吹き飛ばした禁断の酒、これらが斗真のマジックバックには深い深い眠りについているのだ。 

 

 本人が酒を飲めないからくる、無知な故に作られてしまったとんでもない酒、異世界と現代を融合したかのような魔の領域のアルコール、異世界の果物で出来上がり熟成されたリキュール、パンドラの箱。 

 

 とそんな魔境になっているアイテムボックスなのだが、今回は酒回ではない。 

 

 調理に余裕が出来た為に、少しずつ試験的に販売していた日替わり弁当、商業ギルドや冒険者ギルドの職員が毎日楽しみにしている弁当。 

 

 今回は弁当回である。 

 

 商業ギルド 職員 フィリア 

 

 ギルド職員の受付は交代制で中々職場を離れる事は出来ない。 

 

 自分達も毎日八百万でご飯が食べれたら?そんな想像をしつつも、パンにスープに焼かれたお肉、サラダなどのまぁこれだけあれば腹は膨れるだろうといった食事で過ごして来た。 

 

 たまに時間がある日も列を見て断念する事も多い、店を拡張して沢山のお客さんを受け入れるようになった今なら!と思い店に向かうも、みんな考える事は同じで列の人の量が変わらなかった時は流石に大笑いしてしまった。 

 

 なんだよ~みんなもっと別の店にいけよ~なんて思いながらも、人々は並ぶのだ。 

 

 街の住人はもちろん、旅行客による一見さんも多い。 

 

 そんな中職員に朗報が走る。 

 

 八百万の弁当がいつもお世話になってる職員様へって事で、お弁当がこれから定期的に食べれるかもしれないのだ! 

 

 ワクワクしながら、マジックバックを確認すると、届いてる届いてる!マジックバックの転移機能でお弁当が届いてる!この声に職員の歓声が上がる。 

 

 馬鹿な食いしん坊が二個とか確保する前に、自分の分をしっかり確保する。 

 

 このお弁当が中々に大きい!流石斗真さん!職員が日頃魔力消費などするので動いていなくても結構なカロリーを消費して、お腹ペコペコなのをよく理解していらっしゃる。 

 

 お米もおかずもいっぱい入って、お味噌汁までついている!!! 

  

 今日の弁当はなんだろな~とのり弁と書いてある蓋をあければ、まだ熱々でフライはじゅわじゅわと鳴っている。 

 

 ごはんにはおかかと明太子が敷き詰められ、キンビラに出汁まき卵、から揚げが三つ、小さ目のハンバーグにコロッケ、クリームコロッケ二個にアナゴ天が一本入ってる!神弁当!!! 

 

 明らかに地球のコンビニで売っているのり弁よりもおかずもご飯も多いと皆さま思ったかもしれない、でも異世界の人間はこれだけ食べてもスマートで太っている人を見る事がないのだ。 

 

 むしろ太っている人を見る事が逆にレアな事なのかもしれない。 

 

 はわわっわわ!幸せが!幸せの禁断の箱が開封されました!フィリアは目をキラキラさせて、しかもこれだけの料理でお安いのだから、自炊する事が馬鹿みたいに感じる。 

 

 箸も手慣れたもので、まずはお米をかぷり、おかかとお醤油の味に明太子の味がして、もうこれだけでも贅沢じゃん!?そしてから揚げをぱくり!じゅわわのむっちり!もちもちのお肉!はぐあぐと口の中に広がる幸せの味! 

 

 次はハンバーグ!ほほほほほん、本格的ぃぃぃぃ!けっして簡単に作ったものではなく、しっかりと肉の旨味!そしてこのソースの味がまた最高!これにあわせて米をまたぱくり、もぐもぐと咀嚼する事がもう気持ちいい!。 

 

 コロッケ、中にはコロッケはおかずに合わないと言う人もいる。 

 

 ほくほくのお芋さんと若干の甘味にソースの酸味、うんうん悪くないよぉ!いいよ!お芋さん!でも確かにコロッケだけだとお米があまっちゃうかも?私はこのお弁当みたいに他のおかずも一緒にあると嬉しいかなって思う。 

 

 クリームのコロッケ!中のクリームが美味しい!そうコロッケやクリームコロッケ、メンチカツなどは米とあわせて力を発揮するんじゃなく、単体でもうおいしく満足度も高いのだ。 

 

 味噌汁を飲んで、卵にきんぴら!そうそうこれこれと思いながら、またお米をぱくり、うん!おいちいぃ!そしてメインもメイン、斗真さんは本当ならちくわ天が入ってるんだけど、といっていたけど色々な人の意見からアナゴ天に変更した、そうアナゴ天!あっはっはっはっはっは!こいつがまたでっかい! 

 

 甘タレをかけ、誰を気にする事もなく口を大きくあけて、よいしょおおおおおおおおおおおおお!ばくん!!とアナゴ天に噛みつく!!! 

 

 あっ・・・・・アッ・・・・・・あまりの美味しさに小さいくてきゃわわな何かに変化してしまう!さくさくなのにホロホロでじゅわわと大量に溢れる事はなく、あくまでも口の中の範囲でじゅわっと広がる。 

 

 こいつは口の中が、なんとかなっちゃうううううううううううううううううううう!!!

 

 アナゴ天!美味しすぎるよ!アナゴ天!もうお米がごつごつと進んじゃう!。 

 

 弁当は暴食の宴の様に、様々なものに一口くちにいれては次にといった感じで、まさに食い散らかしてやったぜ!みたいな状態になる。 

 

 うひょひょ~!それでも宴は第二ラウンドに突入する! 

 

 そんな贅沢な事あっていいですたい!?と脳内に現れた謎の角刈りが驚愕の声をあげる。 

 

 美味い!美味い!どのおかずも美味い!そしてアナゴ天!知ってる?これ弁当なんだぜ?弁当ってこんなにも満足するものだったか!?こんなに楽しくてお腹いっぱいになるものだったか?もっとなんか少し物足りない、そうちょっと物足りないのが弁当であり、特に動いてる人なんかはぜんぜんたりな~い!って育ちざかりが言う、それが弁当って感じだったのに。 

 

 まるでかゆい所に手が届くように、ベストパスを出すかのように配置されたおかずの数々!フィニッシュ!そうゴールを決めるのはもちろんこの人!アナゴ天でございます!!!  

 

 アナゴの一ミリ!!!一ミリどころではないのだが、口の中にアナゴをほうばって試合終了のホイッスルは響きわたる。 

 

 ギルド職員のみんなは満足感に包まれ、久しぶりに味わった八百万の味に斗真の成長を垣間見た。

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