1-2 第12次ビュルットベンフレックター=フルッセの戦い
記憶がぼんやりしている。
気付いたら…3歳…か5歳ぐらいになっていた。
あの後急に視界が真っ白になって…
とりあえず今日は10歳の誕生日である。
私の名前はヴィクタール・ヴェッカルド。
ヴェッカルト辺境伯家の四男だ。
ここオストブルクに領主館があり、最も重要なのが戦争の最前線である事。
…ナンテコッタ。
東方の異民族が日常の様に侵入してきているらしい。
オストブルクにもたまにドラゴンが来襲してくることがある。
そのせいで石造りの領主館は穴だらけだ。
盗み聞きした事だが、西にあるサインテサンブルクに引っ越す計画があるらしい。
そっちの方が平和だと良いけど。
ん?何だー
ドカーン!
「え?」
土塁が爆発した?!
・
「アタク!アタク!」
ここはオストブルク東の防御陣地。
なんとヴェルドーニア軍の大規模魔法が土塁を吹っ飛ばしたのだ。
ヴェルドーニアは土塁の裂け目に突撃を開始した。
「作戦通り裂け目に兵を集中させよ!」
守備隊が裂け目の塹壕に集まり始める。
…だがしかしヴェルドーニア軍の方が1枚上手だった。
土塁近辺での撃ち合いが始まってから10分後、
ヴェルドーニア軍はあらかた片付いたと誰もが思ったその時、
「伝令!伝令であります!」
戦闘指揮所に早馬が駆け込んでくる。
「どうした!」
「ヴェルドーニア軍の超重騎兵がズュートブルク橋を突破してきました!」
ヴェルドーニアの中でも最も帝國軍に恐れられる兵科、有翼超重騎兵が
南部の橋を突破してきたというのだ。ヴェルドーニアの有翼超重騎兵はポーランドの
有翼重騎兵とは比べ物にならない。騎馬の足から騎手の籠手まで全てが厚い装甲に覆われ、馬は2m越えのゴルスカ馬であり、槍は騎手によっては3mを超え、強力な突破力をもつ恐ろしい騎馬兵科なのである。
つまり、土塁の裂け目への突撃は陽動作戦だったのだ。
【身長150cm程のゴルスカ族が2m越えのゴルスカ馬を操っているという事実!】
因みにゴルスカ馬は全部赤兎馬みたいなバケモンです。
『主人公のプロフィール』
名前はヴィクタール・ヴェッカルド、ヴェッカルト辺境伯家の四男。
現在10歳。出身地は高オストブルク=ヴェッカルト辺境伯領。