ドキドキ告白大会
「さて、パーティー当日がやってまいりました。実況はアタシ、りなが。解説にはゆいぴーにきて頂きました。ゆいぴーさん、よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします」
「さて、今回は2回目のパーティーですが、前回の反省を活かして頑張りたいところですね。どうですかゆいぴーさん、勝算はありますか?」
「そうですね、資料を見ていただければわかると思うんですが、ヒロイン、脇役共に好感度の数値がですね、非常に高い状態です。これは勝ったと言っても良いのではないでしょうか。しかし油断は禁物…………っていつまで続けるんだこの変な喋り方」
「わーい、ゆいぴーノリツッコミ〜」
アタシたちは会場に向かうまでの馬車の中で駄弁つつ緊張をほぐしていた。
さて、パーティー会場に到着したわけですが。中に入るのはゆいぴーだけ。アタシは近くの広い庭で、昨日みんなで考えた作戦のイメトレをしていた。
「成功しますかね、この作戦」
ふと、サファちゃんが話しかけてきた。
「成功させるよ。サファちゃんのためにもさ!」
「そうですか、頼みましたわよ」
それからサファちゃんが話しかけてくることはなかった。
さて、そろそろダンスパーティーが始まる時間かな〜
あたしはゆっくり会場へと向かった。
ゆいなside
私はただいまぼっちである。
りなちゃんがいないからだ。
パーティー会場でワイワイしてるみんなを横にひたすら空気になっている。
誰も話しかけてきませんように、と祈りながら。無になり続けること数時間。
「皆様、本日はパーティーにお越しいただきました誠にありがとうございます」
と、カーネリアン王子が話し始めた。
ついに始まる! ダンスパーティーが!! そう考えると胸がドキドキしてきた。いやまあ私はとりわけ何かするわけではないのだけれども。今回失敗したら、エメラルドちゃんと仲良くなったのも全部水の泡だ。それに私は少し考えていることがあった。もし仮にこの世界で過ごした1日が現実世界の1日だとすると、私たちはもう四日も現実世界で気絶してることになるわけでして。それは少しまずいのではないかと。とにかく早く帰るに越したことはない! 私は今回のパーティーが成功することを切に願っていた。
「では、ダンスパーティーを始めましょう」
カーネリアン王子がそういうと、会場内に音楽が流れ始める。王子はゆっくりと会場の真ん中まで歩くと、そこにいるエメラルドちゃんに手を差し出す。
「僕と踊っていただけませんか?」
「はい、喜んで」
会場のみんなはざわめき出した。それもそのはず。だって本来王子と踊る相手は悪役令嬢ちゃんなんだから。だけどそこはさすがはヒロインというべきか、2人の美しいダンスにみんなは見惚れ、まぁなんて素敵なのかしら……みたいな空気になり始めた。
さ、さすがエメラルドちゃん。それにしても絵になるなぁ。
私もつい、2人のダンスを見入ってしまっていた。
そして曲も終盤に差し掛かり、ダンスが終わると同時に扉が開いた。
そこに現れたのはそう、りなちゃんだ。主役は遅れてやってくるってね! 服装も表情も完璧悪役令嬢ちゃんになりきっているりなちゃんは美しく、会場の視線を釘付けにしていった。
りなside
はわわー。ほぼみんなあたしの事見てんじゃんはっず!
内心ビビり散らかしながら、脳内でゲームの中のサファちゃんを思い出しながら凛とした表情で自分史上最高に美しく歩いて王子の元に向かった。
王子の前に着くとあたしは一礼し、
「遅れてしまって申し訳ございません」
と言った。王子は微笑みを向けながら、構わないよ。と言うとスッと片膝を床につきあたしの手を取った。
「きてくれてよかった。今日は君に伝えたいことがあるんだ」
「何でしょうか、王子」
と言いつつ、この後の流れはガネガネ提案の元事前に王子ともエメちゃんとも話し合って決めていた。ここで王子が結婚の申し出をしてエメちゃんとガネガネが魔法で派手な演出をだしてお祝い。と言う流れだ。わかっちゃいるけどあたしはもう、心臓がバクバクだった。こんなみんなに注目されてる中こんなクソイケメンに告白とか流石にギャルでも耐えられん! しかも、失敗したらやり直し、責任重大だ。
「ずっと君のことが好きだった。僕と結婚してくれないか」
キャーっと会場は大盛り上がりだった。
あたしは一旦深呼吸して、返事をしようとしたが
「……と、言うつもりだったんだけど」
???????????
ちょ待てよ王子。
「僕では君に釣り合いそうもないよ」
そんな事ないからねぇ! 自信持ってこ!
「実は昨日、エメラルドの部屋をたまたま通りかかった時に君たちの声が聞こえてきてね。とても楽しそうに話してたからつい気になってしまってドアの隙間からちらっと君の顔をのぞいてしまったんだ」
カーネリアンっち居たの!? 全然全く気が付かなかった! 流石に解釈違いサファちゃんすぎてドン引きしちゃった感じか……?
「そしたら、見た事ないくらい楽しそうに笑っていて。きっと僕といるより君は、ガーネットといる方が幸せになれるよ。君の幸せを僕は誰よりも願っているよ。では、サファイア様。ずっとお慕いしておりました。どうかお幸せに」
なんかあたしが振ったみたいになってる!!!
王子は立ち上がり一礼するとまっすぐ扉の方へ向かって行った。
ヤバイヤバイどうしよ。追いかけて誤解を解くしかないか。ガネガネのことなんか一ミリも好きじゃないって伝えなくては。
しかしあたしが動くより先に、会場にいたガネガネが動いた。
「待て、カーネリアン王子、俺が、俺が好きなのはエメラルドただ1人だ!」
なんかあたし振られたみたいになってる!!
「え? え? ガーネット様……?」
もう! エメちゃんがめちゃめちゃ困ってるじゃないか!
「それでも僕は、彼女のことをあんなに笑顔にする事はできなかったよ」
え? カーネリアンっち……泣いてる? カーネリアンっちの声は僅かに震えていた。
「待って王子、それは違うよ」
あたしはそう言ってカーネリアンっちを追いかけようとしたが
「どうか追いかけないでください。サファイア様」
と言い残し走って会場から出てしまった。
あたしはもう呆然と立ち尽くしてしまった。
この絶望的な空気を破ったのはガネガネとエメちゃんだった。
「エメラルド、ずっと君のことが好きだった。返事は後でいい。僕と踊ってくれないか?」
「えぇ、いいですよ。皆さんも踊りましょう!」
エメちゃんがそう言い、2人が踊り出すと、みんなも戸惑いながらも次々に踊り出していった。
未だ茫然としていたあたしに2人はすれ違いざまに、作戦を失敗してしまってすまない。今はゆっくり休むといい。会場のことは私たちに任せてください。などと声をかけてくれた。
ありがとう2人とも。
こうなったらもうあたしはやけ食いするしかない。会場からゆいぴーを探し出し、あたしたち2人は会場の端っこのテーブル席でやけ食いをした。
今回は絶対にいけると思ったのにーーまたやり直しだよーーごめんゆいぴーーーサファちゃーーん!!
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