作戦会議
「くらえ!サファイアアターーク!」
「きゃあ」
「エメラルド!?」
「わーい! 私3ポイント!」
「隙あり! くらえ! モブメイドスウィング!」
「グア。」
アタシたちが何をしているかというと、エメちゃんの部屋で枕投げをしていた。
パーティー会場でエメちゃんとガネガネの2人と仲良くなったアタシは、2人の掃除を手伝い、早く終わらせて遊びに誘ってみたのだ。
にしても掃除手伝うよって言った時の2人の驚きようといったら、しばらく信じてもらえなかったし。
遊びに誘ったときにはもうだいぶ打ち解けてきたけど。
この会場から1番近い私の部屋で遊びませんか? とエメちゃんがいってくれるくらいには打ち解けた!
最初チェスで遊びますか? とか言われた時は、ルール知らなすぎて焦ったけど結局トランプとか枕投げとか提案しいたら乗ってくれたし。よかったよかった。
ちなみにゆいぴーも連れてきた。多い方が楽しいしね!
遊びの提案した時にはボソッと、修学旅行かーいってつっこまれちゃったけど。
「まさか、サファイア様がこんなに面白い方だったなんて思いませんでした」
ニコニコ楽しそうにエメちゃんがそういう。
「俺もまさか、サファイア様と楽しく遊べる日が来るなんて思いもしませんでしたよ」
まあそうだろうね! 今まで悪態ついてたし!
「2人が今までの事水に流してくれたおかげだよー」
ワイワイ楽しくみんなで遊んでいると、ゆいぴーがこそっと耳打ちしてきた。
「早くエメラルドちゃんにダンスのこと言った方がいいんじゃない?」
そうだ。そのために仲良くなったんだった。
「そうだね、忘れるとこだったありがとうゆいぴー」
明日のダンスパーティー、踊れないダンスをエメちゃんに押し付け大作戦の途中だった。
……なんか改めて考えてみるとちょっと酷いことしてる気分になるな。優しいエメちゃんなら断らなさそうだし。元の世界に帰るためだ。許してくれエメちゃん! そんなことを思いつつ、アタシは話を切り出す。
「エメちゃん、明日のダンスパーティーについて、ちょっと相談があるんだけどいいかな?」
「何ですか?」
「実は、王子とのダンス私と変わって欲しいんだ」
エメちゃんは大きな目をさらに大きく見開いて驚いていた。ガネガネも同様に驚いている様子だった。
「どうしてですか? 大事なダンスでしょうに、私に譲ってくださるなんて」
「そうだ、王子だって楽しみにしていたぞ」
うむ、なんて言い訳しようか。ちょっとお腹痛くて、いやだめだな。前髪の調子がわるくて……却下だな。明日踊ると死ぬ呪いにかかったとか? あながち間違ってない気がするし。よーしこれでいこーう! だが、アタシが口を開く前にゆいぴーが口を開いた。アタシが考え込みすぎて何とかしなきゃと思ったらしい。
「実はサファイア様、明日ダンスを踊るとチアダンスを踊ってしまう呪いに……」
「ちょいちょいちょい違うよー」
あほぴー! それはないでしょゆいぴーー。いや、アタシが考えてた言い訳と似たり寄ったりか!?
「もしかして、今までのお詫びにダンスを譲って下さると言うのですか? でしたらお気遣いなく。明日のダンスはサファイア様が踊ってください。」
エメちゃん!!
ナイス謎解釈!!!
ダンスってもしかして踊りたいものなの!? だったらめちゃ譲りたいんですけど!
「いや、まぁそうなんだけどさ。やっぱり今までのことを考えると譲っても良いかなって。エメちゃんはやっぱりダンス踊るの嫌?」
「いえ、嫌だなんてそんな。あんなに綺麗な会場でカーネリアン様と踊れたらとても素敵な思い出になると思います。ですが、明日はサファイア様とカーネリアン様のパーティーですから、私が出しゃばるわけにはいきません」
優しいなエメちゃん。なーんでサファちゃんは意地悪するんだかな。
でもダンス嫌じゃないってわかったのはよかった。安心してゴリ押しで押し付けられる!
「いや、それじゃあ私の気が収まらない。どうか踊ってください!! お願いします!! 一生のおねがい!! 今世紀最大のお願い!」
「ですが……」
エメちゃんは困った様子だった。
「では、ダンスを譲ってもらう代わりに、エメラルド様からも何かサファイア様にお返ししたらどうですか?」
ゆいぴーが助け舟を出してくれた。ありがとうゆいぴー。さっきはあほぴーとか思っちゃってごめん。
「明日のダンスに釣り合うお返しなんて……」
「明日のパーティーをもっと盛り上げる演出をするなんてどうだ?そうだな例えば……」
ガネガネの提案にアタシたちみんなは納得した。
「何にせよ早めにカーネリアンには伝えておいた方がいいだろう」
「では、私が今から伝えに行ってきますね」
「ありがとうエメちゃんよろしく頼んだ! 私たちは明日の作戦考えてここで待ってるね」
「私もカーネリアン王子とエメラルド様の尊いからみを近くで拝みたいからついていきます」
そうえばゆいぴーの推しカプはこの2人だったな。オタクが出てるぞゆいぴー。伝わるのかそれ2人に。まぁ一応アタシが通訳しておくか。
「ゆいぴーもついて行くって」
こうして2人はカーネリアンっちの元へ向かい、アタシはガネガネと2人で明日の作戦会議をした。こういうのってなんかワクワクして楽しい。アタシは夢中になって色々考えていたから、近くにいたカーネリアンっちの声に気づくことはなかった。
「そんな表情もするんだね、サファイア…………」