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1回目の朝

朝目が覚めると目の前に……シャンデリア!?

なになにどゆ事!?あ!夢か。

混乱覚めぬままふわふわベッドから降りようとして思いっきりこけた。


 いや、パジャマの裾長!!!


 そして夢の中なのに転けてぶつけた頭が痛い!!


 脳細胞が死んだーと思いつつよろよろと立ちあがって壁にかけてあった鏡をみると、超絶美女がいた。


「鏡よ鏡、世界で1番美しいのは〜あ・た・し♡」


 いや、ふざけてる場合じゃなかった。それによく見るとこの顔、さっきまでゆいぴーとやってた乙女ゲームの悪役、サファイアちゃんじゃん!


 そうだゆいぴーはどこに居るんだろう?


 辺りを見渡してみても、アタシ以外に人はいなさそうだった。


 それにしても、綺麗で広い部屋だな。うちより広いんじゃないか。


 とりあえずゆいぴー探すか。


 そう思って外へ出られそうな扉を開ける。


「わっっっっっ!あっくやっく……じゃない。サファイア様!?」


 メイドらしき人が突然のアタシの登場に驚いている。

 いや待て、今悪役令嬢って言いかけたな!てことは!


「待って、もしかしてゆいぴーじゃね」


「え、もしかしてりなちゃん?」


「そおだよーー会えてよかったーー」


 アタシたちはハグして再会を喜んだ。


 しばらくして、ゆいぴーが話を切り出した。


「これって、漫画とかでよく見るゲームの世界に転生しちゃった。みたいなやつだよね。」


「ぽいよね。アタシ、サファイアちゃんになってるし。ゆいぴーのキャラは知らんんけど。」


「私も知らないよこんなキャラ。モブだよ絶対。まあ、この話は置いといて。私たち転生したってことはさ。」


 ゆいぴーが恐る恐る話す。


「転生したってことは?」

 

「もしや死んだって事?」


わお。そっか!


「え、待ってそうじゃん。そう言うことじゃん。うちらなんで死んだんだ。」


 2人でちょっと前の事を思い出す。


「私たち確か夜な夜な徹夜でゲームして……」


「ハリセンで叩き合ったね。」


 冷静になって考えてみると、かなりアホみたいな事してたな、ウチら。


「それ?死因ハリセン?そんなバカみたいなことある?」


 確かに初めて聞くわ。死因ハリセン。


「ウチらなんか賞取れるんじゃね?ノーベル賞みたいなの。」


「あぁ。ダーウィン賞ね。愚かな死に方した人が貰えるやつね。ワンチャンあるかもね。」


「そうそれそれ。」


「普通にどうするこれから?」


「うーん。」


 アタシたちは急な出来事に今後どうしたら良いか頭を悩ませていた。



「あら、お二人ともお目覚めになっていたの?」


 悩んでいると突然頭の中に声が聞こえてきた。


「ゆいぴーなんんか今聞こえなかった?」


「聞こえた。無駄に良いこの声は。間違いない!悪役令嬢ちゃんだ。」


「聞こえているわよ。そこの凡人。私はこのセプタンブル家の令嬢。サファイアよ。様をつけてお呼びなさい。」


「待って、サファイアちゃんはアタシじゃないの?」


「だよね。りなちゃんが今悪役令嬢ちゃんだよね。魂が入れ替わったとかなのかな?」


「あなた方、私の話を聞く気はございませんの?」


 サファイアちゃんはアタシたちに若干スルーされて怒り気味だ。


「ごめんごめん。で、どゆことこの状況?」


「はぁ。私に対する態度が最悪ですわね。まぁいいわ。説明して差し上げますわ。」


 サファちゃんはそう言って今の状況に至るまでのことを話し始めた。


 「昨日の晩、私がいつもの様に自分の部屋で寝ようとしていた時に、突然目の前が真っ暗になりましたの。さらにその後、突然目の前にシステムエラーという文字が出てきましたのよ。なんのことかさっぱりでしたが、そこで私、全部思い出しましたの。自分が何回もカーネリアン王子に婚約破棄を言い渡される記憶を。なんとか回避する方法はないのかと考えていたところ、その空間に突然あなた方2人が現れましたのよ。ですのでお二人に私の婚約破棄回避を協力していただこうと思ってここにお連れしましたのよ。」


「つまり、なんかバグって、たまたま幽体離脱してた私たちの魂がなぜかここにきたってことかな?」


 なるほど。アタシにはさっぱりだ!


「待って待って、連れてきたってことは。」


 ゆいぴーは何か思いついたようだった。


「元の世界に戻れるの私たち?」


「えぇ、あなた方を元に戻すことも可能ですわよ。」


 おおおおおおおお!よかった!ウチら死んでなかった!


「まぁ、カーネリアン王子との婚約破棄を回避していただければ、元に戻して差し上げるわよ。」


 うわああああああああああ。サファちゃんの意地悪ーー!!


「この悪役令嬢め!」


「なんとでもいいなさい、凡人が。まぁせいぜい頑張るのね。私はここから見させてもらうわ。」


そういうとサファちゃんの声は聞こえなくなった。


「どうするゆいぴー!?」


「婚約破棄回避するしかないっぽいよ。アホな過去の自分を恨むわ。」


「ま、元の世界に戻れるなら最高じゃん!サクッと婚約してこの世界楽しんで帰ろう!」


「そうだね。ところで婚約するのいつなんだ?」


 確かに。


「サファちゃんのパピーに聞いてみるか。」


「そだね。多分ゲームやった感じだと最上階の真ん中の部屋あたりにいるはず!」


「よし行こう!」


 アタシたちはサファちゃんパピーのいそうな部屋まで駆け足で行った。


「多分…………ここ。」

 

 着く頃にはもうアタシたちはヘトヘトになっていた。

 広すぎる。この家。しかもこのパジャマ無駄に裾が長くて走りにく……ってパジャマ!!


「今気づいたけどアタシパジャマできちゃった。」


「え?あ。ほんとだ。私も気づかなかった。りなちゃんパジャマじゃん。」


 私たちは悩んだ。もう一回往復するなんでめんどくさすぎる。


「とりあえず、悪役令嬢ちゃんのお父さんがここにいるかも分かんないし……」


 それもそうだね。ウチらの予想だし。着替えてここに戻ってきていなかったら疲れ損すぎる。


「よーし!とりま行ってきます!」


「言ってらっしゃーい!」


コンコンっとノックをして。

 あ。2回ノックはトイレだったかも。まいっか。

 

「お邪魔します!」

 

 扉を開けた先にには。


「誰だ?あぁ、サファイアか。どうした?こんな朝早くにしかもろくに着替えもせずに。」


 サファちゃんパピーは優しいイケおじって感じだった。

 よかったー。うちの担任みたいに怖い系じゃなくて。


「いやーパピーに」


「パピ、パピー?」


 あ、やべ。


「お、お父様?に聞きたいことがありましてざます。」


「ざます?」

 

 難しいな。お嬢様言葉。


「あー。聞きたい事とはなんだ?」


 優しいお父様は若干の違和感を感じつつスルーしてくれた。

ありがとう優しいパピー大好き。


「あた、私の結婚式?っていつだったかしらと思って。」


「結婚式!?あぁ、カーネリアン王子とのパーティーのことか。確かにこのパーティーが成功すれば結婚式も近いかもしれないなぁ。なんだか私は寂しいような嬉しいような。明日だっただろう。私は用事があっていけないが、楽しんできなさい。」


 明日!?!?!?


「ありがとうお父様。それでは失礼しましたごめん遊ばせオホホホほー」


 アタシはそそくさとパピーのいる部屋を出て、外で待ってるゆいぴーの元へ向かった。


「やばいやばい明日だってパーティー。」


「婚約破棄イベントがあるあパーティーが!?」


「そう!」


「わお。でも私考えてたんだけど。明日がパーティーってことは私たちが進めたゲームの続きからって感じじゃない?」


 確かに。意識朦朧としてたけどその辺でウチら幽体離脱したかも。


「そかもね。早く帰れてラッキーだね!」


「だね〜。婚約破棄されるのだって、ヒロインのエメラルドちゃん閉じ込めたのがバレたからでしょ?閉じ込めなきゃいい話!」


 案外早く元の世界に帰れそうで私たちは喜びあった。


「よーし!せっかくだからこの世界楽しみますか!」


「そうだねそうだね!二度とない機会だからね!」


 こうしてアタシたちは広い家の中を散策したり、綺麗な庭を見たり、美味しいご飯をたべたり、それはそれはこの世界を満喫していた。



 パーティー当日。


 服の着方は意味不明だったけどメイドさん達が着せてくれたからノープロブレムだった。

 ありがとメイドさん!


 今日でこの世界ともお別れかと思うと少し残念な気がするけど、まあぱぱっと婚約して帰りますか!


 アタシはそう意気込んで、パーティー会場へと向かった。


 ちなみにゆいいぴーは私もパーティー行きたい!って事で朝から清掃員として他のメイドに紛れて先に会場に行っていた。


 会場に着くと、賑やかな雰囲気が漂っていた。初めの方は集まってくれたみんなでワイワイお食事会をした。そこにはもちろん、今回のターゲットであるサファちゃんの婚約者、カーネリアンっちもいて、 アタシが話しかけるより先に、あっちが話しかけてきた。


「こんにちは、サファイア嬢。そのドレス、とても似合っているね。」


 と、爽やかな笑顔で言ってきた。さすが乙女ゲームの王子、笑顔が眩しい。


「ありがとう。カーネリアン王子。」


 アタシも一応笑顔で返す。


「ダンス、楽しみにしているよ。」


「えぇ。」


 えええええええええええ!?すっかりわっっっすれてた。そういやダンス踊るじゃん!!踊れるわけないじゃん!!どうしよ、体調悪いふりして帰ろうかな。いや、そんな授業サボりたい学生みたいなことできないか。


 ………………まぁ、周り見て合わせればいっか。なんとかなるっしょ!



そして、パーティーはつつがなく進み、ついにダンスを踊ることに。


「サファイア嬢。僕と踊っていただけますか。」


 できればやだ。


「もちろん。」


 なんて言えるわけない。


 そして私は詰んでいる事実に気がついた。

 これアタシと王子が最初に踊ってからみんなが次々踊り出すパターンだ!周り見えねぇ!もういいノリだ。後はノリだ!


「サファイア嬢?どこか体調が悪いのかい?」


 王子は心配そうな顔でこちらを見ている。

 

「そういうわけじゃないんだけど。王子。ごめん。アタシが踊れるのはこれだけなんだ。」


 アタシは血迷って昔少しやってたチアダンスを、一か八か踊ってみた。


ふと王子を見ると、ものすんごい心配そうな顔でこちらをみていた。


「やっぱりどこか悪いんじゃないか。」


 終わったーー。悪いとしたら頭かなーーー。いや、ちょっと前のアタシもなんでチアダンスでいけると思ったんだー?


「すまない、医療班のものを読んでくれないか。」


 ちょいちょいちょいちょい


「あ、待って。」


 有無を言わさず医療班の人たちがきて、私はそのまま病院へと連行された。


 いやいやいやいや、おかしいだろ!!!

 


 あぁ。ごめんゆいぴー。すぐには元の世界に帰れそうもないや。

 アタシは連行された病院のベッドの上で反省しつつ、今後どうしようか考えるのだった。

 まぁ、婚約破棄はされてないしなんとかなるか!

ゆいな「りなちゃん、なんでチアダンスでいけると思ったんだろ。」

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