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冬の夕暮れ
日が落ちた後に残った
柿色の空
すぐに無くなるその色が
いつかの夕暮れを思わせる
とても懐かしく
けれど具体的にいつかはわからない
冬の夕暮れの空の色
暗くなりつつある街を歩くと
卒業式以来会うことのなかった
古いクラスメートや
子どもの頃によく見かけた人
そんな人たちがそのままの姿で
ふらりと現れそうな気がして
消えてゆく橙色の空の下
ふと立ち止まる
今日はいつかのあの日ではない
それでも
いつかの冬の夕暮れと
なんだか混ざっているようで
気づかないまま
時間旅行をしているのかもしれない