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遠い畦道
小学校の帰り道
蛙やイナゴを探しながら
畦道を歩いた
用水路の蛙は近づくと水音をたてて
潜ってしまう
だからそうっと
気付かれないように静かに歩いた
ランドセルを玄関に放り投げて
田んぼに向かった
畦道を歩きながら
変わらない明日を信じていた
稲にのるカマキリを捕まえて
日が傾いた空を見ていた
時は流れて
寒い空に光る夕方の星を見ている
田んぼに家が建ち
アパートが建ち
駐車場が出来た
畦道はもうない
ないけれど
変わらずにここにある
そんな気もする