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中学校
今年は桜が咲くのが早くて
4月上旬には咲いていた
新しい制服を着た生徒たちが
花の散った公園の桜の横を歩いていた
公園の横を流れていた川は
道にふたをされて
もう見えない
あの川にふたをされたのは
中学に入って何年目だっただろうか
はっきりと覚えてはいない
ただ
入学した年に水面に浮かぶ桜の花びらが
流れてゆくのを見た
それを時々思い出す
中学はあまり楽しくはなかった
なかなか成長しない身体
うまくいかないことが多かった人間関係
忘れたい記憶が沢山ある
友の何人かはもういないし
学んだ校舎も大半は建て替えてしまった
学校の近くにあった田んぼも団地になった
仕事が早く終わった時
近くを通りかかると人のいない校舎は暗い
暗い校舎に重なって
かつての校舎やもういない友
自分たちより前にいた誰かの気配
そんなものがあるような気がする