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驟雨
昼間は暑くて仕方ないが
吹く風からは秋が来ていることがわかる
街路樹の葉がいつの間にか散りはじめ
夜は虫が鳴いている
近くの合歓は切られてしまったから
今年はついに花を見られなかった
時季も過ぎて
それでも思い出した少し遠くの並木
少しだけでも残っていたらと思って
病のあとの重い体で自転車をこいだ
わかってはいたけれど
花はとうに散り
跡形もない
あと何回
合歓の花を見られるだろうか
そんなことを思っていた時
ぼたぼたと音を立てて
雨が降りだした
降りだした強い雨を避けて
公園のあずまやに佇んだ
にわか雨は一時間もたたずに止んけれど
空も花が消えたことを悲しんでくれたようで
そんな筈はないのに
救われた気がした