⑥あなたがヒロインでルイ様の結婚『予定』相手ですか
私が希良梨さんと教室に入ると、教室で座っていたお嬢様の人たちが「ごきげんよう」といってあいさつをしてきた。
「ごきげんよう」
慣れないけど、なるべく自然に。あいさつを返す。
あいさつをしてくれたお嬢様のうち一人が、優雅に私のところに歩きよってきた。
その人は、茶髪で一つ結び。一つ結びの付け根に大きなリボンがついており、とってもかわいらしい。歩くたびに胸は揺れる。
「光莉様、おはようございます」
「おはようございます!」
その人はにこっと微笑んでいるけれど、その笑顔は逆に作り笑いのようで怖くって。
私は背筋をピンと伸ばした。
「あらあら、光莉様。私にいつものあの態度はどうしたんです?」
「へ?」
私はわけがわからなくて素っ頓狂な声を出す。
「しく。そんな、悲しいです……ルイ様は私の結婚相手なのに……光莉様にベタ惚れじゃないですか……!私がどんなにアピールしても、ルイ様は振り向いてもくれなくて……!」
またわけがわからない、はず。でも、私の脳が言っている。あなたは悪役令嬢、この子はヒロインだって……
まわりのお嬢様たちが「あらあら…」「大丈夫ですよ」と慰める。
「みなさま、ありがとうございます。覚悟しておいてくださいね、光莉様。今はルイ様は光莉様を溺愛しております。ですが、絶対振り向かせます! ルイ様は私の結婚相手のはずなんです! まだ結婚してないけど! 夫なんです! 二人の赤ちゃん産むんですからね⁉」
感情を爆発させたその人。
いや、まず………
あなたの名前、なんですか……?