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五話「ミケラの日 03」

 白妙はまだ自分が幼かった頃の光景を思い出す。

 次々と炎を上げ焼き崩れていく忍びの里の家々。

 逃げ惑う里の者達。

 炎の真ん中に立ち、次々と魔法を放って周囲の物を焼き払う幼い頃のタマーリン。

 どうしてそうなったのかは幼かった白妙は判らなかった。

 ただ、ひたすら魔法を放ち、村を焼き続けるタマーリンお姿を恐ろしくも感じたが美しくも感じたことだけは覚えている。




後から聞いた話では、希代まれなる天才少女が現れたという噂を聞き、腕試しとばかりにまだ8歳だったタマーリンを里まで拐かしてきた者がいたとか。

 拐かしてきた男の誤算はタマーリンが予想以上の魔法の天才であり、とんでもない癇癪持ちだったこと。

 たかだか8歳という油断もあった。

 座敷牢に閉じ込めておけばおとなしくしているだろうという考えも甘かったのだ。

 タマーリンをさらってきたなら子供などと甘く見ず、手足を縛り、猿ぐつわをして身動きできなくし魔法の詠唱もさせないようにするのが正解だった。

 タマーリンがさらわれる時に使われた薬から目覚めてから、僅かな時間でそれは始まったのだ。

 風の魔法で自分が捕まっている屋敷ごと座敷牢を吹き飛ばし、その風魔法が消えないうちに次々とファイヤーボールを放つと炎の竜巻となって暴れ狂う。

 とても8歳でやれる芸当ではない。

 それからタマーリンは同じ物を幾つも作り周囲に放つ。

 炎の竜巻が暴れまくり、忍びの里は見る間に炎に包まれ、タマーリンを止めるどころか逃げるのに精一杯になったのだ。 

 焼け野原となった里の真ん中にぽつんと立つタマーリン。

 それを里の者は刺激しないように遠くから見ているしか出来なかった。

 報せを聞いたお妃様が駆けつけてたお妃様が引き取っていったのは白妙も見ていた。

 いきなりタマーリンの影の中から現れると、驚くタマーリンに見事な手刀をタマーリンの首筋に当てて気を失わせ、意識の無くなったタマーリンを担ぎ上げると一度、里長の方に頭を下げてから自分の影に消えていったのを覚えている。

 大人達の顔が唖然としていたことも。

 その後で、どんな折檻を受けたのか判らないが、タマーリンに「この婆には逆らってはならぬ」というトラウマを植え付けられたという噂も聞く。

 あくまでも噂話だが。




「そうだね、タマーリン様はうちの国の最終兵器だもんね」

 無邪気に喜ぶ妹とは別に、白妙は心配するように砦のある方へ視線を向ける。

 そこへ子供を連れた婦人が声をかけてきた。

「あら、今日はミケラ様の護衛?ご苦労様」

「あ、はい。ありがとうございます」

 頭を下げる白妙。

「黒妙、黒妙。忍術教えて、教えて」

「今は任務だから、後でな、後で」

 子供になつかれてどうしようと白妙の方を見る黒妙。

「ほらほら白妙も黒妙もお仕事なんだから、邪魔しちゃダメよ」

 と言って母親が子供の手を引いて去って行った。

 入れ違いにおばあさんがやってきて、

「白妙、黒妙。これお食べ」

 と言ってお菓子を渡してくれた。

 それから通りすがりの人たちに次々と声かけられ、お菓子も幾つも貰う。

 こうして二人による、貰ったお菓子を食べながらの護衛は続くのであった。


後書きに近況報告を書くのを忘れていました。

壊れたはずのエアコンが何故か復活しました。

あまりの暑さに耐えられず物は試しとスイッチを入れたら、そのままなんの問題もなく動いてくれました…謎だ。

止めたら二度と動かなくなりそうな気がするので、その日以来動きっぱなし。

電気代がやばいことになりそうです。

月曜から仕事なので昼間は必要ないし、夜は外も涼しくなってきたので窓を開けて寝ればなんとかなりそうなので明日には電源を落とします。

再稼働したらラッキーくらいのつもりでいます。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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