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1話「泉の妖精 その7」

 大ガエルに案内されて、ミケラ一行は湖まで来た。

 その湖は湖にしては小さく、池と呼ぶには広すぎる湖だった。

「ドラゴンはあそこだゲコ」

 大ガエルが水かきの付いた前足で指す。

 一同が指し示された方を見れば確かに巨大なトカゲのような生き物が、その巨体を飛ばすには小さすぎる羽で湖の端を飛んでいた。

 確かにドラゴンである。

「凄い凄い、わたしドラゴンを初めて見た」

 ミケラが目をキラキラさせてキャッキャッと喜ぶ。

「姫様もドラゴン見たんだし、帰ろうぜ」

 イカ耳になったチャトーラが帰ろうとミケラに催促する。

「兄ちゃん、ドラゴン怖いのか?」

 チャトーミは平然とドラゴンを眺めていた。

「ば、バカ言え。俺様がでかいだけのトカゲ野郎を怖がるわけ無いだろ」

 と啖呵を切った瞬間、ドラゴンが不気味な雄叫びを上げる。

「ひぇぇぇぇ」

 尻尾までボアボアになったチャトーラが、情けない悲鳴を上げて虎次郎の後ろに隠れる。

「兄ちゃん、カッコわる」

 チャトーミに白い目で見られ、兄貴の株はダダ下がりである。

「ドラゴンさん、なんだか苦しそう」

 ミケラにはドラゴンの発した雄叫びが、苦しそうな雄叫びに聞こえたのだ。

「苦しそうゲコ?おいらはあの声が怖くて逃げたゲコ」

 大ガエルはドラゴンの口から出る雄叫びが怖くて、泉まで逃げたようだ。

「あんたも結局こいつと一緒か」

 ミミが虎次郎の後ろで震えているチャトーラの方を見た。

「うっせぇ、怖い物は怖いんだ。仕方ねぇだろ」

「そうだゲコ、そうだゲコ」

 チャトーラと大ガエルがミミに抗議した。

「切るか?」

 ドラゴンの方を見つめながら虎次郎がぼそっと呟く。

「切らない!」

 全員が一斉に叫んだ。

「旦那は直ぐ、刀で解決しようとするのが悪い癖だぜ」

「そうそう、そう言うのは姫様の教育に良くないよね」

 ミケラの教育に良くないとダメ出しされて虎次郎は黙ってしまう。

「ケンカはダメ、みんな仲良くしくちゃ」

 ミケラから追い打ちを掛けられ、虎次郎はガクッとうなだれてトボトボと少し離れた木の下まで歩くとそこに座り込んでしまう。

「あっちゃあ、ちょっと言い過ぎたかな?」

「旦那、意外と打たれ弱い?」

 離れた場所に座って指先で地面をグリグリしている虎次郎を、チャト-ラとチャトーミは心配そうに見る。

 そこへまた、ドラゴンの雄叫びが響く。

「ひぇぇぇぇ」

 チャトーラと大ガエルが頭を抱えて地面に伏せた。

「苦しそう・・・」

 ミケラが悲しそうな顔でドラゴンを見る。


著作権表記追加                       (Copyright2021-© 入沙界 南兎)


2024/09/24 一部修正


                

                     (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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