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魔王襲来 その14

「モモエル様、魔法投影具一式お持ちしました」

 荷車を引いた魔術師達がやって来た。

 モモエルが呼んだ魔術師達だ。

「ご苦労様、早速あの櫓の上に設置して下さる」

 モモエルが設置場所を指示する。

「はい、かしこまりました」

「みんな、行くぞ」

「お~~っ」

 魔術師達は荷車の荷物を降ろすと工作隊の力を借りて、魔法投影具の設置にかかる。

 ケットシー王国では建設作業にも魔法は積極的に使われていた。

 ロープと滑車で吊された魔法投影具に浮遊の魔法を掛けると見る見るうちに持ち上がり、櫓の上まで上がってしまう。

 一番重い投影具をそこまで持ち上げてしまえば後は簡単だ、瞬く間に魔法投影具の設置は完了してしまう。

 元々、魔法投影具は野外戦での使用を目的として作られている、故に設置も撤収も容易に行えるように作られているのだった。

「設置終了致しました」

 設置の指揮を執っていた魔術師がモモエルに設置終了の報告をする。

「ご苦労様」

 モモエルは櫓を見上げる。

 櫓の上には50インチの液晶テレビサイズのパネルが三枚設置され、三方向から見えるようになっていた。

「あれに映像が投影されますの?」

 タマーリンも興味深げに見上げる。

 話は聞いてはいたが、実物を見るのはタマーリンも初めてだったのだ。

 魔法道具研究所は、国家機密の属する道具も作成しているので情報管理は厳しい。

 実験段階での実物を目にする機会など、タマーリンと言えどもそうそう無かったのだ。





「あれなんだ」

 チャトーラ達も興味津々で集まってきた。

「なんなんだろうねあれ、姫様?」

「なんだろうね?」

 チャトーミとミケラも見上げる。

「あれにこれからする鬼ごっこの様子が映されますのよ」

 モモエルが説明する。

「この子達が見たモノがあそこに映し出されますの」

 モモエルの手に一つ目のコウモリを形取った人形が乗っていた。

「へぇ、空飛ぶカメラですか」

 武茶志が興味深げにコウモリ人形をしげしげと見た。

「俺の元いた世界にも空飛ぶカメラは有りましたけど、こんな生物的な形じゃなかったですよ」

 ドローンとはまるで違う形に武茶志は興味を引かれた。

「これ、どうやって操縦・・・操るんですか?」

 武茶志は言葉を選んで聞く。

「ふふふ、魔力を魔術師が供給してその魔術師が魔力の流れを操ってこのコウモリを飛ばすのよ。二・三日寝込む覚悟が有れば今から日が暮れるまで飛ばせますの」

 モモエルは自慢げに笑ったが、それを聞いた武茶志は、

「どこのブラック企業だよ」

 と思わず呟く。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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