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魔王襲来 その13

「それでは組み分けをしましょう、取りあえず女の子組と男の子組に分けますわよ」

 タマーリンが勝手に割り振りを決めてしまう。

「あなた達もこちらよ」

 小妖精達を手招きして呼び寄せた。

「あたい達も参加していいのか?」

「あたい達飛ぶの遅いじゃん」

「四露死苦?」

 ミミ達は本気で飛んでも子供が走る程度の速さしか出ない。

 高さもせいぜい屋根少し上ぐらいが限界だ。

「構いませんわ、鬼ごっこでは速さより素早さが必要ですから」

 素早さと聞いて、ミミ達の目がキランと光る。

「素早さなら任せときな」

「あたい達は飛ぶのは遅いけど、小回りは利くじゃん」

「四露死苦、四露死苦」

 小妖精達は任せなさとばかりに胸を張る。

「ふふふ、羽虫を落とすなど容易い」

 話を聞いていた虎次郎が含み笑いをする。

「虎次郎、貴方は武器禁止です。素手でお願いしますね」

 唐突に武器禁止を突然言い渡され、虎次郎は「え~っ」と言う顔でタマーリンを見る。

「当たり前でしょ、ミケラ様も参加するんですよ。貴方、まさかそれでミケラ様に斬りかかるおつもり?」

 タマーリンは虎次郎の手にするハリセンを指差す。

 虎次郎はしばし、ミケラと手にしたハリセンを交互に見ていたが、唐突にハリセンをぽいと捨てた。

「判れば宜しい」

 満足げに頷くタマーリン。

「それではあなた達、宜しくね」

 小妖精のミケラチーム入りが決まった。

「男の子組って事は、旦那と武茶志を一緒ってことだよな?いいのかよ、旦那だって武茶志だって運動能力は高いぜ」

 虎次郎は武器を封じられたが瞬歩がある、武茶志も勇者として能力は高い。

 武茶志がその気になれば家の屋根の上までジャンプが出来る、幾ら小妖精達が小回りが利くとは言え武茶志なら追い詰める事は不可能ではない。

 チャトーラの言葉にタマーリンはクスッと笑うと、

「運動能力の差が勝敗に直結するとは限りませんわよ」

 それからタマーリンは意味深な笑みを浮かべた。

「そうだよ、鬼ごっこは力だけじゃ勝てないからね」

 チャトーミもニコニコ笑っていた。

「わたし、鬼ごっこで男の子に負けた事ないよ」

 ミケラも自慢するように胸を張る。

「ねぇ~っ」

 ミケラとチャトーミが顔を見合わせてハモる。

 この後、チャトーラ達は鬼ごっこでミケラの恐ろしさを身をもって知る事になるのだった。


体調を少し崩して投稿するのが少し遅れました。

急に暑くなったり寒くなったりするので体調を崩しやすいですから、みなさんも気をつけて下さいね。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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