表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/592

魔王襲来 その8

「ええ、多分。凄い音や光が出たのは神龍の持つ聖属性と、マオと言ったかしら?」

 タマーリンはマオの方を見る。

「あなたの纏った闇属性が衝突してお互いを打ち消し合った結果でしょうね」

 タマーリンの話を聞いていたマオは、唐突にある事に気が付く。

「打ち消し合った?ちょっと待て、つまり予の纏っていた闇は・・・」

「光と音になって消えたようですわね」

 タマーリンは口元に手を当てて静かにホホホと笑う。

「そ、そんなバカな」

 闇の力によって力を使うマオにとって到底信じられない、衝撃的な話だった。

 力の元である纏っていた闇が全て光と音となって消えてしまったのだ。

「待て待て待て、予は今使える力って勇者アンテナだけ?」

 脂汗を流すマオ。

「そうじゃ、あれは!」

 マオは腕を背中に回し「ウィング」と叫ぶ。

 背中から闇の翼が広がった。

「良かった、翼は健在のようじゃ」

 ホッとするマオ。

「凄い、凄い」

 ミケラが興味津々にマオの周りを跳ね回る。

「ははははっ、そうじゃろう、そうじゃろう」

 途端に上機嫌になるマオ。

「飛べるの?飛べるの?」

 ミケラがキラキラとする目でマオの顔を見上げ、マオもミケラの方を向き目が合う。

「あっ、なんか今、闇の力が増したような気がする」

 マオは今一瞬起こった事を不思議に思い、改めてミケラを見直す。

「ミケラ、お前は面白い奴じゃな」

「わたし、面白い?」

 ミケラはマオの言葉が理解出来ないで首を傾げる。

「わははは、予はお前が気に入った!よし、一緒に飛ぼう」

 マオはミケラの身体をしっかりと抱きしめると翼を羽ばたかせた。

 ミケラを抱いたマオの身体がゆっくりと浮き上がり、建物の屋根の高さまで登る。

「ここが限界か」

 マオは翼に力を込めたがそれ以上高く上がる事が出来ない。

「まあ良い、それでは飛ぶぞ」

 翼の羽ばたきを変えて前に進み始める。

 その速度は大人が走るより少し早い程度だった。

「進むのもこれが限界か」

 先程、草原の上を飛行した超高速飛行に比べたら雲泥の差であった。

「凄い、凄い」

 それでもミケラはマオの腕の中できゃっきゃっと喜ぶ。

「お姫様の力、闇のモノにも効果あるんですね」

 のたうち回っていたはずのクロが既に復活してタマーリンの横に立っていた。

 溜息交じりにクロを見ながらタマーリンは、

「そうですわね、ミケラ様の優しい心そのものの力ですからね」

 口惜しそうに言葉を吐く。

 倉庫の周りを一周してきてミケラを抱いたマオが帰ってきた。

「楽しかった」

 ミケラは空の遊覧を充分に堪能したようで、上機嫌で戻ってきた。

「ミケラ様、それは宜しゅうございました」

 タマーリンを笑顔をでミケラを迎える。

「そこの貴方、自分の力がどの程度残っているか確かめてみたくはありませんか?」

 タマーリンはマオに聞く。

「それは確かめてみたいが、どうするのじゃ?」

 その返事を聞いてタマーリンはウフフフフと笑う。

「あっ、また体育大会やるの?」

 ミケラは武茶志と草原で出会った時の事を思い出した。

「おっ、またあれやるのか」

「うわぁ、またやるんだ」

 チャトーラとチャトーミも食いついてきた。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ